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飛び降り団地  作者: 大好き丸


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5/10

CASE.5

 ──インタビューを開始します。オカルト板にあった『飛び降り団地』肝試しについてをお伺いします。ご協力に感謝いたします。あなたのことを仮にAさんとして、何があったかを出来るだけ詳細に語っていただけたらと思うのですが……。


 Aさん:

 あの団地は自殺の名所で幽霊が出るって噂が持ちきりでしたから、近くにそういうのがあるって聞くと行きたくなってくるんですよね。夏ってこともあるので……。

 けどバカでした。心霊スポットなんかに行くべきではないですよ。


 俺たちは当時大学生で、とにかくはしゃいでました。あの時は酒も入ってたし、怖いなんて気持ちはなかったですね。女の子もみんな乗り気で、道中楽しく過ごしてました。


 けど団地の前に着いた瞬間、背筋が凍りましたね。あの異様な雰囲気は今思い出すだけでも恐怖でしかないです。俺も含めてみんな内心怖がってたんでしょうけど、ビビっていると思われたくなかったから勇気を振り絞って取り繕ってましたよ。


 自殺の名所ってのはみんなの共通認識でしたけど、どこに何があるのかってのはみんな知りませんでした。その場でスマホ取り出してみんなで確認してたんですけど、結局要領を得ず。とりあえずみんなで軽く見て回って帰ろうって話になったんですよ。


 昔はここで子供が遊んでいたのかとか、ここら辺で井戸端会議でもやってたんじゃないかって会話しながらだったんですけど、重い空気に口数は減っていました。幽霊とかは見なかったんですけど、アスファルトにそれらしいシミ見たいのがちらほらあることに気づいちゃったんですよね。

 気づいた辺りから不安感が湧いてきて尻込みしちゃって。同時に視線ですかね。見られてるような気がしてくるんですよ。あれってやっぱり心が弱っているからその隙をヤバイ奴が狙うとかなんですかね。


 いや、分かってますよ。怖いイメージを自分で作り出してそんな風に感じちゃうんだろうなってことくらい。


 だからでしょうか、途中で女の子の一人が『帰りたい』と言い始めて引き揚げる空気になったんです。俺たちも建物には近寄りたくなかったですし、言い出してくれて感謝すらしていました。


 でも居るんですよね。なんでかそこでハッスルしちゃう奴。

 ここまで来たのに中に入らないのはおかしいって。

 空気を読まずに『腰抜け』だのマウント取ってくるって馬鹿げてますよね。


 でもそういうものなんでしょうね。


 ──もしかして、あの……。


 Aさん:

 そうです。あいつです。田川ジュン。

 新聞にも載っちゃいましたよね。飛び降り自殺。


 でも飛び降りたわけじゃないんです。だってあいつ結局建物に入ってないんですよ。


 でも俺たちの目の前で……。


 ──4分の休憩。


 Aさん:

 すいません。あの時を思い出すと取り乱してしまって。


 ──私は構いませんが、インタビューを続行しても大丈夫なのでしょうか。


 Aさん:

 平気です。それにこれはあいつに取っての供養の意味もあります。この話をより多くの人に知ってもらい、あの団地に近づかないようにしないといけませんから。


 話を戻します。あの時、一番怖がっていた女の子が見ていたんです。屋上に立つ女性の姿を。

 俺たちも釣られて見ました。女性はこちらに手を振っていて、今にも自殺をするという雰囲気でした。

 その真下にはジュン。みんな一瞬で気づきましたよ。ジュンを建物に入れたら不味いって。


 でも違ったんですね。女はそのままジュンの上に落ちました。

 俺たちはその音を一生忘れることはないでしょうね。


 その後警察に通報してって感じですが、妙なんですよ。

 だって警察もメディアも死因は飛び降り自殺なんですから。


 ──それでオカ板に書き込んだのですか。飛び降りてないのに飛び降り自殺に仕立て上げられたと。しかし自殺者は一人。紙面にも警察の発表にも女性の情報はありませんでしたが……。


 Aさん:

 はい。

 だって女は消えてました。

 全く意味がわかりません。


 ──であればもう一つ。何故警察は飛び降り自殺で処理したのでしょうか。頭の上に何か落ちてきたのなら自殺ではなく事故死で処理するはず。


 Aさん:

 それですが……。ジュンは……ジュンはまるで……。


 ──Aさんが取り乱したために15分休憩を挟んだが、相変わらず要領を得なくなったのでインタビュー終了。

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