CASE.3
──インタビューを開始します。ご協力に感謝いたします。あなたのことは仮にNさんと呼ばせてください。団地が閉鎖されるきっかけとなった女子高生の自殺。その女学生とお友達だったということですが、お間違いありませんか。
Nさん:
はい。……正直思い出したくもない記憶です。
当時メグミは孤立していました。というのも、例の団地に住んでいるということもあって気味悪がられていたんです。
私は転勤族で転校してきたのでそういうのに疎くて、特に気にすることなく孤立していたメグミに話しかけて仲良くなったんです。
メグミは大人しくて優しい子でした。遊んでいる内に別の子も参加してきて、あっという間に4人のグループが出来上がったんです。
あの頃は楽しかったと今でも思います。
けど長くは続かなかったです。楽しく会話できるようになれば嫌でも団地の話が飛び込んできますから。
何処にでも居る一軍女子って連中ですよ。私が来るまでメグミを無視していたくせに、話しやすそうになったタイミングでメグミに団地についての話を毎日のようにしてきたんです。煽ったり、馬鹿にしたり、とにかくメグミの神経を逆なでするようなことばかり。見かねた私が怒ると冷やかしてくるんで頭に来ました。
次の日からです。メグミは私から露骨に離れようとしていました。私がいじめられると思い込んでのことでしょう。気にしないように言ったのですが、頑なに聞こうとせず、私も次第に離れてしまったんです。
出来上がった4人グループからメグミの姿だけがひっそりと消えてしまい、寂しいながらも忘れようと3人で遊んでいました。
──クラスメイトですよね。同じ教室で過ごしていたのなら忘れるも何も……。
Nさん:
確かに同じ教室に居ましたがメグミはあれ以来口を利こうとしませんし、私も意固地になってましたからメグミから来てくれるまで話さないことにしたんです。
でもその後すぐにメグミに彼氏が出来たようで、私もお役御免だとホッとしました。最初に声を掛けたのに結局メグミをハブった嫌な奴だと思われたくなかったので……。
──彼氏ですか。
Nさん:
確かサッカー部の補欠だって言ってました。雰囲気が地味目だったのに周りを気にしてて、髪とか弄ってる感じで、とにかく周りから浮かないように頑張ってる浮いてる人って感じでした。
絶対にメグミのタイプじゃないって思えました。でも告白されたから無理にでも付き合ったのかなって考えました。自分勝手な言い分ですけど彼氏が出来て疎遠になったんだと私も切り替えることが出来たんで内心良かったと思えました。
でもその後すぐにあの騒動があって、逃げた自分に自己嫌悪しました。葬儀に参列してメグミを送ったつもりです。酷い有様だったようなので棺の中のメグミを見ることは叶いませんでした。
そのことが引っかかって夜も眠れず、次の日の放課後にあの団地に行きました。メグミに花を手向けようと考えたんです。
しかしすぐに後悔しました。敷地内に入った瞬間、急に気分が悪くなったんです。吐きそうになりながら蹲っていると耳元で声を掛けられました。周りを見ても誰も居なかったんですが、あの声は絶対メグミの声でした。
ふと上を見上げると、屋上に居たんです。メグミが。手を振って……。
──(Nさんが取り乱したためこれ以上は困難と判断)インタビュー終了。




