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ヴィジターキラー  作者: 反物質
第七章「現代でも最強のおっさん、異世界帰りの勇者でした。」見返再三
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7-1

 異世界のとある中学校のあるクラス。ここではその日、数学の授業を行っていた。

「それじゃあ久遠原(とわばら)

、この問題を解いてくれるか?」

「あ、はい!!えーっと、えーっと・・・・・・x=3、y=5です!!」

「違うなぁ」

 数学の教師に指された真菜は連立方程式の解答を口にするが、誤っていたようだ。

「仕方が無い・・・・・次は凍月イテツキ。答えてくれるか?」

「x=4、y=7」

「うん、正解だ」

 凍月と呼ばれた人物は、昨今では絶滅危惧種とも言える長ランを着た少年だった。赤黒い髪に所々黒いメッシュの混じった特徴的な髪質の少年は、このクラスでは浮いていた。しかしこの教室____というよりもこの世界で違和感を感じるものは居ない。

 それも当然。彼の本当の名前はグレイシア・ゼロ・ファーレンフリード。中学生の姿に擬態している彼は、異世界では「凍月氷河」と名乗っていた。

「さて・・・・・そろそろ時間だ。きちんと予習復習をしておくように。それじゃあこのままHRに入るぞ」

このクラスの担任である数学教師の一言で、この授業は幕を下ろした。






 ゼロに限らず、魔族はタンパク質の素体の他魔力で構成されたパーツで構成されている。それ故にある程度骨格や外見を変化させる「形態変化」なるものを行うことが出来る。ゼロは他の子供達とかなり異なる見た目をしているが、その姿に違和感をもつことが出来ないのだ。

 そしてそんな彼の素性を知る、数少ない人物がゼロに声をかけた。

「ゼロさーん!今日は部活の日ですよ!」

「なんだか最初は嫌々やっていたのに、意外と楽しんでいるじゃないか」

 上機嫌な真菜の様子を見て、ゼロはそうコメントした。

「だって、あの部活をやっているよりもゼロさんの考察を聞いている方が楽しいもん」

「って俺の方がメインかよ・・・・・まあ、それはそれで何よりだが・・・・・」

 などと雑談しながら廊下を歩いていると、部室にたどり着いた。その引き戸をがらりと開けると、

「遅いぞ凍月クン!!久遠原クン!!もう既に我々の活動は始まっているのだ!!」

 と、眼鏡の少年に開口一番、怒鳴られた。

「さっきHRが終わったばかりなんだから、仕方が無いだろう」

「そうだよ!!私たちの教室は一番遠いんだから!!」

「そういう所が気の緩みにつながるのだよ!!この学園で唯一“ゲームの持ち込み”を許されていると言う自覚を持ちたまえ!!・・・・・・・・・まあいいさ。キミたちも上がると良い」

 そう少年_____江利川学に促されて上がったのは、パソコン室だった。一クラス分の精密機械が並べられた教室で、彼ら「ゲーム研究部」は活動している。

 PC教室には既に何人か他の生徒がいて、それぞれ談笑していた。ゼロと真菜はPC教室に入るなり、座席の一つに座っていた少女の元に向かっていく。

「鏡花ちゃんお疲れ様!!」

「お疲れ様・・・・・・・彼のことは気にしちゃダメよ」

「解っているさ。間違った方向に生真面目な奴なのは解っている」

 彼女は水面鏡花。真菜達とは別のクラスに所属している少女だ。全体的に色白で、ミステリアスな雰囲気を醸し出す彼女も、真菜と同じようにゼロの正体を知っている数少ない人物だ。

「さて、それでは皆集まったところで始めようか!!」

 江利川の言葉に一斉に皆が前を向く。

「さて、前回話したとおり、ボク達はついに“RPGデキールZ”を入手し、使用許可を得ることができた!!つまりボク達は、ついに創作活動を行えるようになったんだ!!」

 部員たちからおお~、と声が上がる。

「そこで、まずはどんなゲームを作るかを決めたいと思う!!」

「そしたら部長、まずは無難に王道のRPGを目指すのはどう?」

 メンバーの発言を皮切りに、次々とアイデアが上がる。

「いや、ここは異能集団とたたかう物語外因じゃ無いか?」

「荒廃した世界でモンスターと戦うのもいいよね~」

 などと案が上がっていく。しかしそんな彼らを余所に、ゼロは真菜と鏡花に耳打ちした。

「(なあお前ら、ちょっといいか?)」

「(なあに?)」

 真菜と鏡花が耳を傾けると、ゼロは嫌な顔をしてこう告げた。

「(なんでこっちの世界では“勇者が魔王を退治に行く”っていう話が王道なんだ?)」

「(えっ・・・・・そんなの、わかんないよ・・・・・・)」

「(多分だけど、最初に発売されたゲームがそんな感じの内容だったんじゃ無いかしら。でも確かに、“魔王”のあなたからすればいい気がしないのは_______)」

「(ああ、言い方悪かった。俺が言いたいのは・・・・・・・・・)」





「(なんでこいつらは最初からプレイヤーを“勇者”って呼んでいるんだ?)」





「「(は・・・・・・・?)」」

 真菜と鏡花は、ゼロの妙な着眼点に首をかしげた。

「(いや、確かに“職業”って答えてしまえばお仕舞いかもしれないが・・・・・こっちの世界の“勇者”ってのは“困難にも臆せず立ち向かい、その勇気を示す者”って感じらしいんだが、はたしてこいつらは、何を以て“勇者”って言っているんだ?)」

「(そ、そんな事を聞かれても・・・・・・)」

「(でも、言われてみれば確かに不思議ね)」

「(だろう?)」

 真菜達は不思議そうにうなずいた。

「(そもそも“お前は勇者だから、敵国の魔王を殺してこい”って言われて、素直に引き受けるか?俺から言わせてもらえば、はっきり言ってそういうのは“勇者”じゃない。ただの“蛮勇”とか“考え無し”だ)」

「(・・・・・・・随分辛辣ね)」

「(当たり前だ)」

 鏡花の言葉に、ゼロは吐き捨てるように答えた。

「(俺はこんなゲームなんかじゃ無い、お前達からすれば本当の“ファンタジー”の世界に住んでいるんだ。こんなご都合主義全開な認識で“こっち”に来られちゃたまんねぇんだよ)」

「「(・・・・・・・・・・・・・・・・)」」

「(・・・・・・・・まあいいさ。元々こう言うのを解き明かすためにここに入ったんだ。転生者共の真理を知るにはもってこいさ・・・・・・・・・混乱させて、悪かったな)」

 ゼロは二人にそう詫びながら、PC教室のホワイトボードに目を向ける。そこには不愉快極まりない、彼らに勝手に植え付けられた「異世界のイメージ」が幾つも書き出されていた。


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