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ヴィジターキラー  作者: 反物質
氷河﨑凍耶「凍てつきし徒花は咲く」第四章
35/110

2-4

「ブッハハハハハ!!相変わらずだっせぇ髪型!!」

「サバンナだよサバンナwwwww」

 教室に入るなり、いきなり罵声を浴びせられた。

「ちゃーんとおとーさんに切ってもらったのか?」

「おいおい、この前おとーさんは捕まっちゃっただろwwww」

「あ、そっか。犯罪者なんだもんな!!お前のとーちゃん!」

「はーんざーいしゃwwwwwはーんざーいしゃwwwww」

「・・・・・・・・・・・」

 凍耶の義父が母親を殺してから、数週間。彼に対するいじめは収まる気配もなかった。毎日罵声を浴びせられるのは当たり前だし、机に彫刻刀で「犯罪者」「ちちおやはひとごろし」などと刻まれるし、物を隠されることも頻繁にある。そして髪型についてもよくやり玉に挙げられる。本当は丸刈りにするのがいいのかもしれないが、そうすると炎堂と同じ髪型になってしまうし、何よりもあの一件で「髪を切ること」事態がトラウマになってしまっている。

 それでも、そんな彼にも見方はいる。

「おい!!いい加減にしろ!!オマエら!!」

「やっべwwwwカチカチ立川が来やがったwwwww」

「おっかねぇwwwwwwにっげろwwwww」

 拳をボキボキと鳴らしながら、立川護がいじめっ子を注意する。立川はこのクラスの学級委員で、自分の信じる正義感に従って行動を突き進める熱血漢だ。故にこういったいじめなど看過しない。

「アイツら、先生に気に入られているからって調子になってやがるんだ・・・・・・・なんかあったら、相談するんだぞ」

「・・・・・・・・うん」

 護は柔和な表情で、護は凍耶に語りかける。凄惨な出来事があった凍耶のことを気遣っているのだ。それに対して凍耶は、






「(口だけの励ましなんかいらないよ)」

 と、毒づいていた。





「スー・・・・・スー・・・・・・・」

 ホームルームの時間、凍耶は眠りこけていた。誰とも話したがらない彼はしょっちゅう机に突っ伏しているのだが、今日のようにほとんど眠れなかった時はたまに眠りこけてしまうのだ。

「せんせー!!とーやくんが授業中にねてまーす!!」

「ちゅーいしてくださーい!!」

 凍耶をいじめている少年達が、めざとく手を挙げる。こういうときばかりいい子ぶっているため、先生もいじめをなかなか認知してくれないのだ。だが、

「・・・・・確かに良くはないだろうが、こういうときぐらいは許してやるよ」

 と、多めに見てくれる。事情が事情なだけに、担任もあんまり注意できないのだろう。

「えっこひーいき!!えっこひーいき!!」

 と、手拍子を打ちながらはやし立てるが、担任は相手にしない。それを聞いていた護が、ガタッ!と勢いよく立ち上がった。

「いい加減にしろよお前ら!!コイツだって_______」

 と、怒鳴ろうとしたときだった。





パァアアア・・・・・・・と教室の床が突然輝き始めたのだ。





「な?!これは!?」

「な、何事!?」

「もしかしてこれって、異世界転移?!」

「キ、キ、キターッ!!」

「お、落ち着けみんな!!」

 などと、各々が驚き、叫んだ。この今の状態を認識していないのは、机に突っ伏して眠っていた凍耶、ただ一人だった。

「(うるさいなぁ・・・・・・もう聞き飽きたよ)」

 騒々しさに一度は目覚めた凍耶だったが、また普段の罵声だと思い再び意識を手放す。そして・・・・・・・・・




その日、とある中学校の生徒と担任が、姿を消した。










 凍耶は、夢を見ていた。寒い寒い海の中、凍耶は水面を見上げていた。見上げた先には母親が居て、こちらに手を伸ばしている。自分も手を伸ばしているのだが、凍耶は徐々に沈んでいく。深く、暗く、寒い海の底に。





______だめよ。行かないで。凍耶____________






母親の、さみしげな声が聞こえた。様な気がした。


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