幻想白 儚燐
儚く美しい恋だなんて、そんな幻想ありはしないと思っていたんだ。
儚さなんて、人の瞳の輝きが喪失する瞬間にしかないものだと。
美しい恋だなんて、手に入らない者を眺め続けながら自身の感情を確かめ続けるものだと。
そう思っていたのさ。
この鏡に映る白銀の少女はとても美しい。
僕は女性が好きなんだ、それなのに鏡に映るは銀髪紅目の女の子。
僕は男だったはずなのに、朝目覚めたらこの姿になっていたんだ。
僕はこの女性に恋をしてしまった。
この女性は僕自身で、その恋は成就しないし、眺めることしかできない儚く美しい恋。
そんな儚く美しい恋をした僕は、妹の学生服を持ってきて試着してしまった。
とても似合う、こんなくだらないことしている自分を叩いてしまいたいが、美しい顔を傷つけてしまいたくはない。
夢から目覚めた。
ベッドから起きた私は、いつも通りの姿だった。
私は普通の高校生で、今日もいつも通り学校に通う。
でも、夢の中では男になって、誰かも知らない人になりきってしまうの。
あの男の子はこの世界に居るのか、どこの世界の人なのか。
私には分からないけれど、今日の夢はいつもと少し違った。
いつもの姿で、男の子の人格だった。
おかしいよ、私は私なのに。そんな偶然あるのかな。
妹の学生服が、私の学校の制服だったし。
あんな人は知らないけれど、どこかで会っているかもね。




