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兄様は膝が痛い痛いと言いながら意外と私のストーカーでした。  作者: ぱんだでぴょん


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アグニア草を、花束に。編③

旅の途中。


アンジェリカたちが野営の準備をしていると、一羽の小さな鳥が空から舞い降りてきた。


白に近い淡い銀色の身体。


翼の先には、わずかに水色が混じっている。


長い尾を揺らしながら、その鳥はアンジェリカの近くへ降り立った。


「……ルル?」


アンジェリカが左腕を上げる。


するとルルは、その腕にちょこんと止まった。


アンジェリカはルルの脚に取り付けられた小さな筒から丸められた紙を取り出す。


そして、ゆっくりと開いた。


アンジェリカは黙って読み進める。


――私たちはエルビス村にいます。


「……エルビス村?」


思わず声が漏れた。


「……どうしてエルビス村に?」


アンジェリカの表情が変わった。


エルビス村。


自分がかつて暮らしていた村。


妹たちが今そこにいるということは――


「……何かあったのか?」


アンジェリカは手紙を握りしめた。


しばらく考えた後、顔を上げる。


「エルビス村に帰らせてくれ」


「え?」


ユイナが驚く。


「エルビス村に妹たちが来ているようだ」


「グランディアに行くと言っていたが、何かあったのかもしれない」


俺は少し離れた場所で横になったまま、アンジェリカを見る。


「……そうだな」


「私だけ帰るから旅を続けておいてくれ、用事がすめば必ず追いかける」


アンジェリカがそう言うと


「俺たちも一緒に行く」


と俺が返す


「しかし……」


とアンジェリカが言う


「特にあてもない旅だ、一度エルビス村に戻ってもいい」


「ユイナの兄様……」


「お兄ちゃん……」


「兄様……」


アンジェリカとユイナ、リナが俺を見る。


「俺は先を急ぐと膝が痛くなる」


「……いつも痛いって言ってるじゃん」


「だから言ってるだろ」


主人公は面倒そうに答えた。


「ただし、移動には膝のせいで俺が足手まといになる、急ぐのだろう、アンジェリカは先に向っていてくれ」


「では、先に行く、無理のない程度でいいからな」


「気をつけてくださいね」


ユイナが言う。


「ああ」


アンジェリカは一人、エルビス村へ向かった。


数日後。


懐かしい景色が見えてきた。


森を抜けた先にある小さな村。


「……エルビス」


アンジェリカは足を止める。


久しぶりに見る村だった。


「アンジェリカ様お帰りなさい!」


そこにはミロがいた。


アンジェリカはミロに聞いた。


「村にリゼットとリリアと言う名の少女が来ていないか」


ミロは何かを察し、


「はい、すぐに案内します」


とアンジェリカをリゼットとリリアのいる部屋へ案内する。


扉を開けると中にいた少女はアンジェリカに気づく


「姉ちゃん!」


「リゼット!」


二人は駆け寄り、抱き合った。


「姉ちゃん……!」


「無事でよかった」


アンジェリカはリゼットの向こうにあるベッドを見た。


「リリア!」


アンジェリカはすぐにもう一人の妹、リリアのもとへ向かい、


横になっているリリアを抱きしめた。


だが、抱きしめた瞬間――


笑顔が消えた。


「……ずいぶん痩せた」


「アンジェリカお姉ちゃん……大丈夫だよ」


リリアは笑う。


「全然、大丈夫そうに見えない」


アンジェリカはリリアの額に手を当てる。


「熱は?」


「少しだけ」


「そうか……」


アンジェリカは妹を抱き寄せた。


「もう大丈夫だ。私がいる」


「……うん」


その後、アンジェリカはリゼットからこれまでの話を聞いた。


「ミロ」


アンジェリカはミロを見る。


「二人を助けてくれたんだな」


「はい。でも……」


ミロはリゼットとリリアを見る。


「アンジェリカ様の妹さんたちだったんですね」


「ありがとう、ミロ」


「いえ……」


ミロは照れたように俯いた。


それから数日。


エルビス村では、リリアを休ませながら様子を見る日々が続いた。


アンジェリカも妹のそばを離れなかった。


だが、リリアの体調は思ったほど良くならない。


村長も何度か様子を見に来ていた。


ある日の昼。


「村長」


アンジェリカが呼び止める。


「リリアのことなんだが……」


「うむ」


村長は少し考え込む。


「ここで休ませているだけでは、難しいかもしれんな」


「……やっぱりか」


「ヴァレリアの医者が言っていたこともある。グランディアなら、もっと良い治療ができるかもしれん、と」


「だが、グランディアも今は……」


村長はしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。


「この数日間、リリアの症状を見たのだが、もしかしたら効果があるかもしれん」


「なにかあるのか」


「アグニア草……」


「アグニア草⁉……それがあれば、リリアは……?」


アンジェリカが尋ねる。


「必ず治るとは言えん」


村長は首を横に振る。


「だが、試してみる価値はあるかもしれん」


アンジェリカはリリアを見る。


眠っている妹の顔は、どこか苦しそうだった。


「……どこにある?」


「……わからん、ただ、非常に高温な土地にしか生えないという事じゃ」


村長は答える。


……高温な土地⁉


それを聞いていたミロは、村長に聞いた。


「その草にはどのような特徴がありますか?」


「つぼみは赤く細長く、表面には棘のような模様がある。やや光沢があり、毒々しい雰囲気をもつ」


ミロは考えた。少しして、


「心当たりがあります!僕が取りに行きます!」


アンジェリカも立ち上がる。


「では、私も――」


「いえ、アンジェリカ様はリリア様とリゼット様の側にいてあげてください」


「しかし……」


「大丈夫です!ここから少し離れた山の奥です。昔、そこを通ったときに似たような草を見たことがあります」


アンジェリカはミロを見る。


「危険じゃないのか?」


「少し時間はかかりますが、散歩程度の道のりですよ」


ミロはそう言って笑った。


「一人で行くのか?」


「はい、すぐに戻ってきますよ」


アンジェリカは少し考えると、


「……そうか、では任せてもいいか」


そう言うと、ミロはそのアンジェリカの言葉に


「はい!」


と答えた。


こうしてミロは一人、


リリアのためのアグニア草を求めて――


山へ向かった。

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