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D-DAY+169 2027年6月上旬 楽園島・イギリス国交締結式典 その4 晩餐会(State Banquet)

#### 妻たちの変身と、レセプションの戦い


各国首脳との「外交的修羅場」を凌ぎ、p.admin(朱雀)はようやく解放され、妻たちが待つゲストルームへと戻ってきました


p.admin:

「ただいま……フランスもデンマークも他の国々も、みんな注文が多いよ……」


重い扉を開けた瞬間、p.adminは言葉を失い、立ち尽くしました そこには、日本の皇室から贈られたティアラを戴き、イブニングドレスを纏った、この世のものとは思えない三人の妻が佇んでいました


挿絵(By みてみん)


◇◇◇


W子かおり

純白ピュアホワイトのドレスは圧倒的な光を放ち、彼女の清楚さを神聖な領域まで高めています。頭上には、三妃の中で最も大きく背が高いティアラ。銀の台座にローズゴールドの装飾が交わり、ルビーとダイヤの瞳を持つ朱雀と鳳凰が翼を広げています


R子リコ

浅いペールパープルのドレスは、控えめながらも素材の上質さが際立ち、彼女の儚げな美しさを引き立てています。ティアラは、二羽の鴛鴦オシドリが向き合い、水草とダイヤの星々の中から小さな朱雀が空へ飛び立つ、日本の伝統と異星の神秘が融合したデザイン


S子さや

鮮烈な深紅スカーレット。フリルとラッフルをふんだんに使ったドレスは、彼女の強気な性格と情熱を体現する主役級の存在感。ティアラは、ローズゴールドの椿の花に囲まれた玄武の亀が鎮座し、雲間から現れる月と舞い降りる朱雀が、ルビーとエメラルドの瞳で輝いています


◇◇◇


p.admin:

「……すごいな。見違えたよ、三人とも。……ん? でも待てよ」


p.adminは妻たちの首元と耳元に目を凝らしました。昨日銀座で買ったスワロフスキーや、S子愛用のTiffanyではありません

W子の胸元には重厚なサファイアとダイヤ、R子には深紅のルビー、S子には鮮烈なエメラルドの、歴史の重みを感じさせるジュエリーが輝いていました


p.admin:

「そのネックレスとピアス、俺たちが選んだやつじゃないよね? どうしたんだ?」


S子さや

「ああ、これ? ……カミラ皇后陛下からの『貸し出し』よ。私たちが持っているのは少し『カジュアルすぎる』から、英国の古い貴族たちに舐められないようにって、最強の『魔除け』を装備させてくれたの」


p.admin:

「なるほど……カミラ様には頭が上がらないな」


* PM 18:30 スケジュールと「水断ち」


N君が入室し、今後のスケジュールを説明します


N君:

「陛下、皆様。ここからの長丁場、心してかかってください。 19:00〜 レセプション 20:00〜 晩餐会(トイレ不可) 22:00〜 コーヒー&リキュール(ここでようやくトイレ休憩が可能) 22:30〜 舞踏会 という流れになります」


p.admin:

「えっ、深夜までやるのか。参加者は高齢の方も多いだろうに、大丈夫なのか?」


N君は涼しい顔で説明した


N君:

「上流社会の方々は、こうした夜会に慣れていらっしゃいますから。むしろタフですよ」


その時、W子が喉をさすりました


W子:

「ねえ、すごく口が乾いちゃった。お水飲んでもいい?」


S子は即座に反応した


S子:

「ダメよ。さっきゼリーで水分は摂ったでしょう。どうしても我慢できないなら、コップの水を唇に湿らせる程度にしなさい。ゴクゴク飲んだら、晩餐会の席で地獄を見るわよ」


W子は涙目になりながら、指先で水を付けて唇を濡らすだけで我慢しました


* PM 18:40 恥じらいのトイレリハーサル


出発の20分前。デザイナーが真剣な顔で提案しました


デザイナー:

「皆様。今のうちに必ずお手洗いを済ませてください。そして、ドレスを着た状態での『用足し』を使用人の介助付きで体験しておいてください。ぶっつけ本番では不可能なので」


W子:

「ええっ、誰かに見られながらするの!? 無理無理!」


しかし拒否権はありません

W子は使用人Cにエスコートされ、バスルームへ消えました

数分後、W子が顔を真っ赤にして出てきた


W子:

「……は、恥ずかしかった……スカートを持ち上げてもらって、ちゃんと座れてるか確認されるなんて……もうだめ……」


おなじく使用人Bにエスコートされて、お手洗いから戻ってきたR子は、茹でタコ状態で口を開いた


R子:

「……お姫様って、過酷な職業ね……」


一方、S子は涼しい顔で戻ってきました


S子:

「はい、完了……さあ、行きましょう。戦いの時間よ」


* PM 19:00 レセプション(ミュージックルーム)


会場となる「ミュージックルーム」は、豪華絢爛なシャンデリアの下、世界各国の要人がグラスを片手に談笑していました 楽園島一行は、ホストである英国王室と並び、ゲストを迎えるレシービング・ラインを作りました


配置として

チャールズ国王・カミラ皇后がホストとして一番右側


挿絵(By みてみん)


その次にp.adminとW子・R子・S子


挿絵(By みてみん)


そしてp.admin達の少し左後方、ホスト側に準ずる位置に、M子様とK子様が控えめに凛として立っています


それから、次々と挨拶に訪れるVIPたちがp.adminの前にやってきた


* デンマーク国王ご夫妻


デンマーク国王陛下:

「朱雀陛下。先ほどは迅速な対応シールドリング、感謝に堪えません。これでグリーンランドの民も枕を高くして眠れます」 国王は固い握手を交わし、皇后はW子たちに優しく微笑みかけました


* フランス大統領ご夫妻


華やかなシャンデリアの下、各国の要人たちが挨拶の列を作る中、フランス大統領夫妻の順番が回ってきた


フランス大統領夫人は元高校教師であり、男女の交際に関しては保守的な価値観を持つ彼女の視線は、にこやかなマクロン大統領とは対照的に冷ややかだった

彼女は、p.adminの隣に並ぶ三人の妻たち、そしてそのすぐ後ろに控える日本の二人の内親王へと交互に視線を走らせた


フランス大統領夫人:

「朱雀陛下。……噂には聞いておりましたが、大変お賑やかなご家庭のようですわね。教育者としての私の経験から申し上げますと、一人の男性がこれほど多くの女性の心を『平等に』満たすというのは、並大抵のことではありませんわ」


夫人の言葉には、明らかに棘があった

p.adminが軽く会釈で返そうとすると、夫人の視線は隣のW子かおりに移った


フランス大統領夫人:

「カオリ様、先月のさや妃の結婚式以来ね……ふふ、その純白のドレス、まるで初々しい花嫁のよう。後ろの「高貴な方」の件も含めて、貴女はとても『寛大な』心をお持ちのようで、感心いたしますわ」


W子は一瞬言葉に詰まったが、S子が事前に授けていた「嫌味を言われたら、最高の笑顔で『ありがとう』とだけ言いなさい」という助言を思い出し、完璧なロイヤルスマイルで応じた


W子:

「ありがとうございます、夫人。夫は少々手がかかりますが、私たちは毎日が賑やかで楽しいですわ」


夫人は鼻白んだ様子で、次の挨拶へと移っていった。


* ウクライナ


Ze大統領:

「陛下! 英連邦へのゲート開設、おめでとうございます……次は是非、キーウからロンドンへの直通ゲートもお願いしたい。J首相には話しづらいので、陛下から……」


p.admin:

「……前向きに検討しますが、まずはJ首相とよく協議してください(丸投げ)」


* 日本 K首相と外務大臣


K首相は、後ろに控えるM子様とK子様にも最敬礼した後、p.adminに向き直りました


K首相:

「この度は誠におめでとうございます……後日、東京にて改めて会談の機会を頂きたく」


p.admin:

「ええ、楽しみにしています」


短い挨拶の中に、置いていかれた焦りと、巻き返しへの執念が見え隠れしました

そして、K総理の傍に付いてきたMSB銀行頭取もタイミングをみてp.adminに挨拶しました


MSB銀行頭取:

「陛下、宮の島および朱雀の宮の建設、順調とお聞きしております。当行としても是非、長期低金利での融資を……」


p.admin:

「お心遣い感謝します。ですが、現状は自己資金で賄えておりますので、借入の予定はありません」


にべもなく断られ、頭取は残念そうに引き下がりました


* ポーランド


ポーランド総理:

「我が国とも国交を……!」


熱心に迫る総理を、N君がすっと間に入り、「詳細はこちらで承ります」と鮮やかに捌きました


* カナダ T首相 & オーストラリア A首相


T首相 & A首相:

「ワープゲートのおかげで、我々は真の意味で『英連邦』になれます……もしよろしければ、英国との国交締結国として、我々の議会でも優先的に承認プロセスを進めたいと考えております」


これは事実上の「英連邦セット承認」の提案であり、p.adminにとっては願ってもない申し出でした


* イギリスの古い貴族


挨拶してきた人々は概ね好意的であるとp.adminが思ったら、そうではない人は早速現した

列の中から一人の初老の紳士が進み出た

彼は代々続く名門貴族であり、新興勢力である楽園島が急速にイギリス王室に接近していることに強い反感を抱いている保守派の重鎮だった


彼は形式的な、しかし慇懃無礼な態度でp.adminに頭を下げた

そして、挨拶の後に、p.adminの左手首に視線を固定した。ディレクターズスーツの袖口から覗くのは、実用的なスポーツデザインの腕時計だった


初老の貴族男性:

「おや、朱雀陛下……大変『素晴らしい』腕時計をご着用なされていますね。今日の佳き日に、あえてそのような実用的な品を選ばれるとは、独自の美学をお持ちのようで」


その言葉は、明らかに「このような格式ある場に相応しくない安物だ」という嘲笑を含んでいた

周りの貴族たちも、扇子の陰でクスクスと笑う気配がした


しかし、p.adminは動じなかった。彼はゆっくりと左手を上げ、愛用のCASEO OCEANERを愛おしそうに見つめた


p.admin:

「ええ、ありがとうございます……これは、私が若い頃、エンジニアとして初めて手にした給料で買った物なんです。デザインも機能も、何よりその素晴らしい技術も、今でも深く気に入っています」


p.adminは視線を上げ、貴族の目を真っ直ぐに見据えた


p.admin:

「そして何より、この時計は、力を持たなかった頃の自分、技術者としての初心を私に忘れさせないための大切な物なのです。だからこそ、歴史ある英国王室との新たな一歩を踏み出す今日この日は、敢えてこの時計と共に迎えたいと思いました」


その力強く、誠実な言葉に、周囲のクスクス笑いはピタリと止んだ

貴族男性は、p.adminの揺るぎない自信に気圧されたように言葉を失い、「……は、左様でございますか。失礼いたしました」と小さく呟いて、逃げるようにその場を離れていった


その様子を後ろで見ていたK子様は、そっと胸の前で手を合わせ、誇らしげにp.adminの背中を見つめていた


***


午後7時45分。 挨拶の列が途切れると、司会者が声を張り上げました


司会者:

「これより、晩餐会会場ボールルームへご案内いたします!」


p.adminは深呼吸をし、W子の震える手にそっと触れました


p.admin:

「大丈夫……行こうか」


絢爛豪華な扉の向こう、いよいよ「トイレ不可」の2時間が始まります


#### 晩餐会と孤独な王座


長さ36メートル、幅18メートル、高さ13メートル。バッキンガム宮殿最大の広間である「ボールルーム」は、今宵、眩いばかりの金銀の食器と、香り高い生花で埋め尽くされていた 巨大な馬蹄形(U字型)に組まれたテーブルには、深紅のベルベットの椅子が整然と並ぶ

しかし、トップテーブル中央、主賓席の一角だけは異様だった

チャールズ国王の右隣、p.admin(朱雀 椿)に割り当てられたスペースは、他のゲストよりも1.5倍広く取られているのだ

彼の120kgの大きい体と、特注のディレクターズスーツの厚みを考慮した配慮だが、それは物理的に彼を周囲から切り離し、一種の「不可侵領域」のような威圧感を放っていた

なお、燕尾服は滑稽に見えるという本人の美学により回避された


* 家族の距離


ファンファーレと共に入場し、指定された席に着いたp.adminは、ふと違和感を覚えた


p.admin:

(……あれ? N君はどこだ? S子は?)


視線を巡らせると、頼みの綱であるN君はずっと下座の方に、S子とR子も遥か彼方の席に、見知らぬ貴族たちに挟まれて座っている

W子だけはカミラ皇后の隣にいるが、緊張で石像のように固まっていた


p.admin:

(家族なのに、なんでこんなにバラバラに座らせるんだ? これじゃ何かあった時に指示が出せないじゃないか)


p.adminは困惑しつつ、右隣に座るアン王女(国王の妹)に、礼儀正しく小声で尋ねた


p.admin:

「王女殿下。不勉強で申し訳ないのですが……なぜ家族である我々の席は、これほど離されているのでしょうか?」


アン王女は、その鋭いながらも慈愛に満ちた瞳でp.adminを見つめ、諭すように微笑んだ


アン王女殿下:

「朱雀陛下。これが『宮廷の社交』というものですわ。家族で固まっていては、身内話に終始してしまい、新たな交流が生まれませんでしょう? 異なる隣人と会話を交わし、理解を深めることこそが、晩餐会の目的なのです……ご不便かもしれませんが、そこは『公人』としての務めとお考えになって」


p.admin:

「なるほど……庶民の感覚では『家族団らん』が食事の基本なもので。勉強になります」


p.adminは納得し、腹を括った。今夜は個々の戦いだ


* 国王のスピーチ:新たな家族


食前酒が運ばれると、チャールズ国王陛下がグラスを手に立ち上がった。会場のざわめきが波が引くように静まり返る


チャールズ国王陛下:

「今宵、我々は極めて特別な友人を迎えている。いや、もはや『友人』という言葉では足りないだろう。 朱雀王家は、我々ウィンザー家にとって、家族同然の存在だ。 見ての通り、私と妻、そして愛する義理の娘キャサリンが、再びこうして健やかに皆様の前に立てているのは、すべて朱雀陛下と、その驚くべき慈愛のおかげである。 この絆が、両国の、いや世界中の人々の希望の架け橋となることを祈って……乾杯」


国王の個人的かつ最大限の感謝が込められた言葉に、会場からは温かい拍手が湧き起こった


* p.adminの爆弾発言


続いて、答礼のスピーチのためp.adminが立ち上がった。目立つ動きに、会場の空気が張り詰める


p.admin:

「チャールズ国王陛下の過分なお言葉、恐縮です……私と妻たちは、元々はただの一般人でした。とある経緯でポルポ・カラマリ文明の技術と力を託される事になり、現在に至ります。 ですが、私の信念は単純です。多数の善良な人々や、その家族を理不尽な不幸から守れるのであれば、私はどんな手を使うことも厭いません」


p.adminは一呼吸置き、会場を見渡した。その視線は、決して揺らがない鋼の強さを秘めていた


p.admin:

「イギリスは長い歴史を持ち、伝統と信義を重んじる義理堅い国です。 私は願っています。将来的には、このイギリスと英連邦の国々が、『欧米文明の中枢』としての役割を担っていただきたいと」


その瞬間、会場が大きくざわめいた

「世界」ではなく「欧米の中枢」と限定し、しかもそれを英国(と英連邦)に託すという発言

フランスのMa大統領は、まるで腐った牡蠣を噛んだような顔で沈黙し、ドイツ大使も眉間に深い皺を刻んだ

日本のK総理だけは、グラスを傾けながら冷静に分析していた


K総理:

(『全世界』と言わなかったか……あくまで欧米の秩序維持役として英国を選んだ。アジアは別、ということか? なんとも絶妙で、恐ろしい線引きだ)


* 渇きと癒やし


「乾杯(Cheers)!」 唱和と共に、全員がグラスに口をつける

水断ちを強いられていたW子は、なみなみと注がれたシャンパンを、まるで砂漠の旅人がオアシスを見つけたかのような恍惚の表情で飲み干した


W子:

(あぁ……生き返る……! お酒だけど、水分だわ……!)


その幸せそうな横顔を見て、カミラ皇后も思わず微笑んだ


給仕たちが音もなく料理を運び始める

前菜は『スコットランド産サーモンと北海道産ホタテのモザイク仕立て』

柚子の香りがふわりと漂い、W子やR子の緊張をほぐしていく


魚料理は『ドーバーソールのムニエル 台湾産カラスミ添え』

黄金色のパウダーが、英国の伝統料理に濃厚なアジアの風を吹き込んでいた


* アン王女の探り


食事中、チャールズ国王陛下が身を乗り出した


チャールズ国王陛下:

「朱雀殿。席が遠くて申し訳ないが、何かあれば私の妹、アンに遠慮なく聞いてくれたまえ。彼女は頼りになる」


p.admin:

「ありがとうございます、陛下」


p.adminが礼を言うと、アン王女がナイフを動かしながら、何気ない調子で話しかけてきた


アン王女殿下:

「それにしても朱雀陛下……義姉のカミラ、最近見違えるほど肌が綺麗になりましたわね。まるで時が巻き戻ったよう……これも、陛下の『技術』のおかげかしら?」


鋭い。王女は、若返り治療の存在を確信した上で、カマをかけてきている

p.adminは(これ以上S子の仕事と負担を増やしてなるものか)と心に誓い、のらりくらりと交わした


p.admin:

「いえいえ、王女殿下。カミラ様が美しいのは、国王陛下のご病気が回復され、心からの安らぎを得られたからこそでしょう。幸福こそが、最高の美容液と言いますから」


アン王女殿下:

「……ふふ。お上手ですこと」


アン王女は楽しげに笑い、それ以上は追求しなかった


* K子様の援護射撃


メインの鹿肉料理が進む中、正面に座るK子様が、p.adminに視線を送った


K子様:

「朱雀陛下。先ほどのカラスミ、とても懐かしいお味でしたわね。それに最後のデザートには抹茶が使われるとか……お心遣い、嬉しく存じます」


p.admin:

「ええ。シェフが私のルーツと、日本のゲストに配慮してくれました……ところでK子様、かおり(W子)のことですが……」


p.adminが視線を左隣のW子に向けると、彼女はウィリアム王太子となんとか会話を成立させようと必死だった


K子様(小声で):

「ご安心ください、陛下。かおり皇后陛下のことは、正面から私がしっかりと見守っております。言葉に詰まられた時は、私が助け舟を出しますので」


その力強い言葉に、p.adminは肩の荷が一つ下りた気がした

「同盟国」のありがたみをこれほど感じたことはない


* 腹六分目の真実


2時間の晩餐会は、食事と会話と共に瞬く間に過ぎ去った

しかし、最後の『アールグレイのパルフェ』を食べ終えたp.adminの胃袋は、まだ何かを訴えていた


p.admin:

(……足りない。全然足りない。腹六分目だ)


繊細なフレンチ・コースは美味だったが、彼にとっては少々上品すぎた

ふと、国王ご夫妻やキャサリン妃を見る。彼らは若返り治療の作用で、本来なら大量のカロリーが必要なはずだ


p.admin:

(彼らはどうしてるんだ? ……ああ、そうか。王族は『裏』でこっそり食べてから来ているのか、あるいはこの後に夜食があるのか)


「まあ、この後の舞踏会前にも何か出るだろう」と、p.adminは自分を納得させた


* バグパイプと淑女の移動


賓客の殆どがナイフとフォークを止め、歓談している最中

突如、荘厳なバグパイプの音がホールに響き渡った

それは、食事終了の合図らしい

王室専属のパイパーが会場を一周する伝統的な儀式であり

演奏が終わると、チャールズ国王陛下が立ち上がった


チャールズ国王陛下:

「では皆様、別室にてコーヒーとリキュールを楽しみましょう」


その言葉を合図に、会場にいた女性陣の多くが、目配せを交わしながら一斉に動き出した

W子、R子、S子、そしてK子様とM子様にとってもついに訪れた「トイレ休憩(化粧直し)」の時間

優雅な微笑みの裏で、「急げ、しかし走るな」という無言の号令が掛かった瞬間だった


#### PM 22:00 コーヒーとリキュール


晩餐会の緊張から解放されたゲストたちは、コーヒーとリキュールの香りが漂う「ステート・ドローイングルーム」へと雪崩れ込みました そこには、銀のトレイに美しく盛られたプティフール(一口サイズのケーキ)、最高級のチョコレート、カットフルーツ、そしてポートワインやコニャックが並ぶビュッフェが用意されていました


p.admin(心の声):

(……サンドイッチは? ないのか。甘いものと酒だけ……これじゃ腹の足しにならないぞ)


p.adminは落胆しつつ、コーヒーサーバーを覗き込みました

しかし、そこにあるのはブラックコーヒーと紅茶のみ。彼が好むミルキーなカフェラテはありません 「仕方ない」と温かい紅茶をカップに注ぎ、せめてものカロリー摂取として、濃厚なトリュフチョコレートを数個皿に取りました


周囲を見渡すと、部屋の中は黒や紺の礼服を着た男性ばかり。比率にして9割が男性です 長い晩餐会を耐え抜いた女性陣の多くは、使用人総出のエスコートにより、宮殿の奥にある化粧室へと「お花摘み(遠征)」に出かけていたのです


* 妻たちの帰還


チョコレートで空腹を誤魔化していると、化粧直しを終えたW子、R子、S子が次々と戻ってきました。 三人とも、一様に疲労の色を浮かべていますが、S子だけは瞳には大きな仕事を終えた達成感もありました


W子かおり

「はぁ……緊張で頭の中が真っ白でした。何を喋ればいいのか全然分からなくて……でも、幸いK子様が『日本での生活はどうでしたか?』とか、答えやすい生活の話題を振ってくださって、なんとか笑顔で乗り切れました……」


R子リコ

「私は怖かったわ。周りは知らない国の貴族や大使ばかりで、会話の糸口が見つからないし……それに、旦那様のあの『欧米の中枢をイギリスに』っていうスピーチの後、周りの大使たちの目つきが急に鋭くなって……料理の味がしなかったわ」


S子さや

「全くよ! あなたのスピーチのおかげで、とんでもない仕事が降ってきたわ。近くにいたドイツやイタリアの大使たちが眉をひそめていたから、私が『あれはあくまで地理的なハブとしての意味合いで……』ってフォローするのに手一杯だったのよ……チョコ頂戴。糖分が足りないわ」


S子はp.adminの皿からチョコレートをひったくり、優雅に、しかし猛烈な勢いで口に放り込みました


* フランスの襲来


そこへ、N君も涼しい顔で合流してきました。


N君:

「陛下、お疲れ様です……あのスピーチ、随分と思い切りましたね。陛下の『全体主義を嫌い、自由主義を好む』という真意には沿っていますが、フランスとドイツの反発は予想以上です」


p.admin:

「ああ。でも、誰かを立てれば誰かが立たず。八方美人は無理だからな」


N君:

「ええ。その結果が、これです」


N君が視線で合図した先から、フランスのMa大統領が、満面の笑みの中に「燃えるような闘志」を隠して近づいてきました


Ma大統領:

「朱雀陛下。素晴らしいスピーチでした……しかし、少々『※アングロ・サクソン寄り』が過ぎるのでは?」


※アングロ・サクソン

アングロ・サクソンは、5〜6世紀にドイツ北西部からブリテン島(現イギリス)へ移住したゲルマン系(アングル人、サクソン人、ジュート人)の混交民族です

先住民のケルト人を征服・同化し、七王国ヘプターキーを築いてイングランドの基礎を形成しました。現代の英語や英米文化の中心的ルーツとみなされています


Ma大統領は、スピーチへの直接的な抗議は避けつつも、p.adminの横に並び、熱っぽく語り始めました


Ma大統領:

「陛下。イギリスは確かに伝統ある素晴らしい国です。しかし、忘れないでいただきたい。 『欧州の心臓』は、ドーバー海峡の向こう側にあるのです。 哲学、芸術、そして人権思想の源流。それらは我々フランスが守り、育ててきたものです。 実務的な『ハブ』がロンドンだとしても、人類を精神的にリードする『魂』はパリにあります。 EUという巨大なエンジンを回しているのも、我々とドイツだ。 陛下が真に『調和』を望むなら、この島国だけでなく、大陸の叡智にも深く触れるべきです」


Ma大統領の言葉は、単なる嫉妬を超えた、大国フランスのリーダーとしての強烈な自負とプライドに満ちていました

「イギリスだけを特別扱いするな、我々こそが本流だ」という無言の圧力が、p.adminにのしかかります


p.admin:

(……なるほど。これが大国のプライドか。面倒だが、嫌いじゃないな)


* スローンルームへの誘い

Ma大統領がさらに「フランス式共和制の優位性」について熱弁を振るおうとしたその時。


大典侍(司会者):

「皆様、お待たせいたしました! これより『舞踏会』を開催いたします。スローンルーム(王座の間)へご移動ください!」


ファンファーレが鳴り響き、その場の空気が「政治」から「祝祭」へと切り替わりました

Ma大統領は、出鼻をくじかれた形になりましたが、すぐに外交官の顔に戻り、p.adminの手を固く握りました


Ma大統領:

「……おっと、時間切れのようですな。 朱雀陛下。続きは後日、必ずパリでじっくりと話しましょう。最高級のワインと、イギリス料理より遥かに美味な食事を用意して待っていますよ」


p.admin:

「ええ、楽しみにしています。大統領閣下」


Ma大統領は「勝負はお預けだ」と言わんばかりにウィンクを残し、夫人を伴って会場を後にしました


隣で一部始終を見たS子はため息をついて話した


S子:

「……やれやれ。パリに行ったら行ったで、また大変そうね」


p.admin:

「ああ。でもその前に……最後の仕事だ」


p.adminは、空になったティーカップを置き、カミラ皇后のドレスを借りた「シンデレラ」が待つ舞踏会場へと足を踏み出しました

やはり1話だけでは舞踏会まで書ききれなかった…ご容赦ください

舞踏会には、イギリス編のクライマックス?が待っているはずですので、もうちょっと時間かけて仕上がりたいと思います

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