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決意

 誤字脱字等がありましたらご指摘していただけるとありがたいです。

 まずはドレスを元に戻して…っと。

 礼服が見る間に淡い水色のドレスへと形を変えていき、元のものと全く同じドレスに仕上がった。そして髪の色をプリンセスブルー変えて白い真珠の髪飾りをつけたら元通り!

 そして次は…。


 魔力を両手から解き放つ。青の強い紺色の魔力が辺りを包みこむと、一気に辺りがぐるぐると動き出す。私が使ったのは時魔法。膨大な魔力を使うけどかなり便利な魔法。今は本来の魔力量だから全然魔力が減った気がしないけどね。封印状態の時だったら一回使っただけで倒れるだろうな。


 私が時間を遡った先は私がこの場所に来る少し前。ちょうど義母様にお花摘みに言ってきます、と言っているぐらいの時間だ。

 取り敢えず魔力を封印してお手洗いの部屋から外に出る。誰にも見つからないようにしなくちゃ。同じ時間に同じ人が存在するなんてあり得ないからね。

 辺りの景色と自分をカモフラージュさせるように魔力を纏う。次いでに、もしものために認識阻害でもかけておこうかな。


 既に外は暗くなっていて私を見つけることなんてほぼ不可能。つまり見つかる可能性は無いってこと。少し探険してもばれないよね…?

 少し遠回りして会場に戻ることにした。回廊は一周するようになっているから来た道と反対に進んで行っても会場には辿り着けるはず。てくてくと歩いていくと向こう側から人が歩いてくる。そしてそのまま横を素通りしていった。全然ばれなかったみたい。


 そのまま歩いていくと扉から明かりが漏れているところまで来た。会場に戻ってこれたみたい。中から声が聞こえてくる。ただ多くの人が談笑している声ではなくて、しんと静まっている中で一人の人が話しているみたい。


「何故、魔人族にこちらから協定を結ぶようにと、何故、人間が頼まなければならないのです?悪いのは魔人族でしたでしょう?」


────あ…。


 私が大広間の扉まで来ると、あのやり取りが行われている最中だった。またふつふつと怒りが込み上げてきてしまう。でもこれで一度怒ったのだから、この感情は今なら抑えられるはず。目を閉じてゆっくりと深呼吸をし、心を落ち着かせる。大丈夫。さっきと同じようなことはしない。この後私が現れて全てぶちまけてくれるから。


「魔人族が悪い?ふざけないで。偽りの、虚構の、ねじ曲げられた歴史を信じる人間が何を言うの?二百年前、何があったか知りもしない貴方が。」


 どこからともなく大広間のシャンデリアの近くに私が現れる。その瞬間に怒りだけに染まった魔力がぶわっと会場に広がった。魔力量に差がありすぎるのか、今の私の魔力量ではあの私の魔力にあてられて少し息苦しい。でも頭が痛いとか吐き気がするとかは無いから平然として立っていられる。

 辺りを見回すと残念ながら私のように取り繕える人は少ないみたいで、顔から血の気が引いている。青ざめている人もいれば真っ白くなっている人もいる。


「イリアナ嬢!こちらへ来なさい。」


 左の方から聞き覚えのある声が聞こえてきたのでそちらを振り向くと、キルケルト公爵が私を手招きしている。その隣でクラリス様が青ざめた顔でこちらを見ている。

 小走りで近寄ると、クラリス様は小刻みに震えていて凄く怯えている。ぎゅっと握りしめたクラリス様の右手を、少しでも安心してほしくて両手で包み込む。私が笑いかけるとクラリス様もぎこちないけれど笑ってくれた。お父様が言ってたけど、笑うだけでも気持ちは軽くなるんだって。


「光よ集え。我が魔力を糧にして我が願いを叶えたまえ。我が子供らを守りを。」


 キルケルト公爵が詠唱をすると私たちの周りに結界ができた。結界の中にある、あの私の魔力が結界から弾かれていき息苦しさが無くなった。ほっとしたのも束の間、キルケルト公爵を見るとさっきよりも心なしか顔色が悪くなっている気がする。


「公爵様、私の魔力を使ってください。このままでは貴方様が危険ではありませんか?」


 この結界を張っている間キルケルト公爵の魔力は消耗され続ける。そうなるとあの私の魔力にあてられやすくなってしまう。だから私の魔力を使えば良いんじゃないかと思うんだ。そうしたらキルケルト公爵は何とか無事でいられると思うから。

 手に魔力を集めてキルケルト公爵の方に差し出すと、キルケルト公爵は大丈夫だと言うように首を緩く振った。


「そうなると君が耐えられなくなってしまうよ。」


「それはあり得ませんよ。私の魔力量はシェヘラザードで1、2を争うと家庭教師の先生にお伺いしましたから。少し減ったところで大して変わりません。ですから使ってください。」


 そう言って手にもっと魔力を集める。するとキルケルト公爵は観念したように私の手を握って私の魔力を結界に流し始める。


 そういえば私はここでこんな結界が張られていたことを知らなかったな。多分、私の魔力を使っているから気が付かなかったのかも。やっぱりまだまだだなぁ。お父様と私の魔力は凄く似ていたけどお父様はちゃんと区別できていたのに…。私はできていなかったんだよね。


 そんなことを考えていると少し離れたところからコフッという音が聞こえてきた。キルケルト公爵とのやり取りの間にそんなところまで時間が経っていたみたい。上にいる私が我に返ったようで、辺りに漏れ出していた魔力が一気にあの私のところへと戻っていく。するとキルケルト公爵も結界を解いて私の手を放した。


「助かったよ…。」


 ほっとしたようで優しくお礼を言われた。私は特に大したことはしていないのでお礼を言われることは無いと思うんだけどな…。


「私はあなた方を見ています。あなた方が信用に足るかどうか。あなた方が二百年前の真実を知らない以上、今のあなた方は信用に値しない。私が信用できると判断し、それを魔神王も信用できると判断した時に協定は成立するでしょう。真実を知り、考えを改めてもらいたい。私が言えるのはそれだけ。それでは。」


 吐血した男性に癒しを施してから私がそう言って消えた。数秒の沈黙と後に波紋のようにざわめきが広がっていく。


「あれが魔人族…?」


「子供に見られてるということなの?」


「何ですかあの暴力的な魔力は。」


「二百年前の真実って何よ。」


「魔人族が悪いのだろうに。」


 大人たちがそれぞれ思い思いのことを口にし、子供たちは呆然としている。


「皆の者、静まれ。今しがた現れたのは本当に魔人族だ。実際に魔界へと行った私がここに証言しよう。そして二百年前の真実のことであるが…、これは今後調べにあたる。其方らも協力してもらえるだろうか。それがあると無いとで協定の締結に大きく響いてくるだろう。…異論がある者はいるだろうか?」


 国王様の威厳に満ちた太い声が会場全体に響き渡りざわめきが小さくなる。納得している者もいれば納得できない者もいて、それぞれの胸の内に何があるのかは分からない。ただ、この場で国王様の発言に異論を唱える者は出てこなかった。




◇◈◆◈◇◈◆




「義父様っ、義母様っ!」


 国王様が会の終わりを告げて会場から立ち去ると、私は義父様たちを見つけてそこに走って行った。はしたないのは分かってる。でも二人が無事か早く確かめたかったの。


「リアナ…!無事だったのか!良かった…。」


「リアナ!気分は?大丈夫かしら?吐き気などはしませんの?」


 私に気付いた義父様と義母様が私のところまで駆け寄ってきて抱き締めてくれた。義父様も義母様も顔が少し青いけど倒れたりはしていなかったみたいで、私のことを心配してくれている。そんな優しさに胸がキシリと音を立てる。こんな人たちに私は嘘をつき続けなければならない。本当の私はさっきまでここにいた魔人族で、ここにいて心配してもらえている私は偽物。


「はい。私はキルケルト公爵様に守っていただきました。だから平気です。」


 私はあそこで魔力を撒き散らしていた張本人です。だから平気です。ごめんなさい。あんなことをしてしまって…。

 それは言いたくても言えないこと。だって私は魔神王の命でここに来ているから。この役目を義父様や義母様に言えるわけがない。言ってはいけない。

 これがとても悔しくて、歯痒くて…。いつか本当のことを言いたい。全てを話して、本当の私を見てほしいと願うのは図々しいかもしれないけれど…。

 そんな日が少しでも早く訪れてくれるように、私も人間に協力するのは悪くないよね…?

 

 公爵邸に帰ってから、今の私に出来る限りのことをしてみようと決意した──。

 決意新たにイリアナは頑張っていきます!


 次話は時間が飛んで国立学園入学です!やっとここまで来ました!ここからがザ・本編って感じです!ちゃんと書けますよーにっ!(。-人-。)

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