TIPS 魔法界
TIPSは本編内の世界設定をまとめたものです
普通に物語を読む際には目を通す必要はありませんので、シーズン2へお進みください
無人界と魔法界の異なる点として、まず真っ先に挙げるべきは魔法の有無だろう。
魔法界はその名の通り、魔法を中心とした世界だ。全ての民が生まれながらにして魔力を持ち、程度の大小はあれど、物心がついてから少し経てば魔法を行使できるようになる。
一方の無人界には魔法が無く、魔力を持って生まれてくる民もいない。これは魔力を貯蔵する体内器官が存在しないことが原因となっており、後天的に魔法が使えるようになった例は現在未確認である。
(注:魔導化魔法による魔法使い化については禁術を用いた事例の為、今回の資料からは除外しております)
しかし、この魔力の有無については解明されていない箇所が多く、今でも説明がつかない現象が多いのもまた事実だ。例えば、魔法使いが魔力を失った際は肉体が崩壊して死に至るのだが、それに対して最初から魔力を持たない無人界の民は何故生きていられるのか?などだ。こちらに関しては別途資料を纏めておりますのでご一読ください(資料BB-27参照)
本筋に戻ると、無人界と魔法界の差異としては魔力の有無が挙げられるが、それ以外に大きな違いがあるとは言えない。
どちらの世界にも人間がおり、犬や猫のような動物がおり、国家や宗教などの文化があり、差別や殺人などの悲劇がある。都会があれば田舎もあり、海があれば山があり、先進国があれば後進国がある。
専門家曰く、『2つの世界は元々同一だったのではないか』という仮説が現在最も有力とのことだ。
元来同一であるはずの世界が、魔法の有無によって分けられ、それぞれの成長と進化を続けてきた。それの証明として、言語や文化などに偶然の一致とは考えられないほどの同一性が確認されている。
例を挙げると、魔法界にも『日本語』という言語が存在している。魔法界では名称が異なり『スパイラス大陸公用語』と呼ばれているが、言語構造としては完全に同一である。これは元々日本語の前身にあたる言語が存在し、各世界に分かれた後に名称が改められたことが原因ではないかと推測されている。
別の例を挙げると、どちらの世界にも『ナマケモノ』という動物が生息している。無人界においてのナマケモノは非常に動きが鈍く、食事の消化に1週間以上の時間をかけ、泳ぎに長けて氾濫の時に大移動を行う動物とされている。
魔法界においてのナマケモノは、自発的移動を行わず浮遊魔法によりスローペースで移動し、捕獲魔法を使って狩りを行い、時折発生する魔力の磁気嵐によって生じた磁気に引っ張られて大移動を行う動物である。
どちらも怠けている事には変わりないが、魔力の有無によって生態系に違いが生じているのが見て取れるだろう。恐らくかつて原種となる動物が存在しており、魔力の有無によって進化に違いが生じたものと考えられる。魔力を持たない無人界のナマケモノは基礎代謝量を減らすことにより動作を最小限に止め、魔力を持つ魔法界のナマケモノは体を動かさずに魔法で獲物を捕らえる方向へと進化したのだ。
犬や猫といった伴侶動物についても魔力によって習性が異なり、無人界では家畜化によってペットとして飼うことが可能となっていても、魔法界では家畜化が行えずに非家畜動物として扱われていることがある。逆もまた然りだ。例を挙げるとヤクは無人界でのみ家畜化されているが、イタチザメは魔法界でのみ家畜化に成功している。
本件についてまとめると、2つの世界の根本的な部分は同一なれど、魔力の有無によって成長の変化が生じていることになる。
現在、無人界と魔法界の間に交流は無い。無人界は魔法界のことを知らず、魔法界は無人界に存在が露呈しないよう慎重に情報を収集している段階だ。
しかし将来的に2つの世界が交わることになれば、全ての常識と前提は覆ることになるだろう。魔法では成し遂げられない何かを、科学技術では成し遂げられない何かを、互いが埋めることだってできるはず。両世界の持つあらゆる困難に対して、ブレイクスルーが起こり得るのだ。
魔力によって栄えた魔法界、魔法がない部分を埋めるために科学技術を推し進めた無人界。もしその両方を兼ね備えることができれば、世界の終焉すら拒否することができるかもしれない。
むしろ、その為に2つの世界を生み出したのではないかとも思える。
……以上、無人界と魔法界の関係性についての推論をまとめた資料です。ご査収ください。
――――中立国家 資料YY-02
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