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8-1.
「勝てないよなぁ。あんなの見せられたら」
玲奈が溜息と共に腕枕から漏らした。
「自分が死に掛けているって分からなかった玲嗣が咲紗を求めたのは、百パーセントの本能だったんだろうね」
見解を口走った玲奈が両の掌を上げて続ける。
「降参です。白旗ですよ。残酷なほど純粋な二者択一に敗れましたよ」
大きな溜息を吐いた玲奈は肩を竦めてお道化た。
「分かっていたけれど――、やっぱり痛いものだね」
私が本命だから気にならないけど、と言う玲奈。
「これが本物の失恋、いや、望みなんか何にもない絶望だろうね、血が流れるような痛みだよ」
うぅ~ん。だめだったかぁ。 声になり損ねた微かな呻きが漂う。
「玲嗣の彼女になったと思っていたけどさ、私は今迄何やっていたんだろうなぁ」
顔と上体を私に向けるとスプリングマットレスが沈み、重量感のあるふっくらした乳製品が私の胸板に伸し掛かり違う体温を伝える。
「仕切り直しだぁ。これから最高の引き立て役、悪女の演技を始めましょうかね」
「やり過ぎるなよ、手加減を忘れずにな」
「分かっています。色仕掛けはギリセーフまで。捨て身の肉弾戦は渉だけだよ」
捨て身はいらないよ、と断った保護者の私は願う。
玲奈が引き際を見誤らない事を。




