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7-7.

「アミオダロン300mg単回投与。150mg1回投与の準備もしておけ」

「ERT! 開胸心マ用意しろ!」

 あらゆるアラームがけたたましく鳴り響く手術室。

 弟の命を自ら潰えさせ、或いは救命措置の終了同意を求められるかもしれない残酷な役割を与えた執刀医を睨んだ。でもそれは間違いだとすぐに気付く。

 胸骨を押す私の手のすぐ下で、腹腔内の原色の臓器を手にする二つ、三つ、時には四つの手が忙しく動き、ある時は細かい動きで止まっている様にも見える。機能停止に陥る臓器にあらゆる手段を施し、消えようとしている命を引き戻している。誰一人無駄な動きなどしていない。まだ研修医の私でも必要なほど困難なオペだから駆り出されたのだと思い込もうとした。


 血色戻らず蒼白なままの玲嗣を目の当たりに、私は母に願った。

 ママ、嫌だよ。

 連れて行かないで。

 まだ玲嗣を連れて行かないで。


「和泉 終わりにしろ」「えっ‼」

 トッ  トッ トトト ガタン!

 後退りを始めた足が手術室の端まで運んだ全身汗まみれの私は壁に凭れ床に崩れ落ちた。

「勘違いするなよ」

 うん、分かっている。

 肩でする荒い呼吸のまま見詰める先。心電図モニターには心拍が回復した波形が映っている。規則正しいパルス音を耳にしているとその波形が滲んで歪んで見えなくなった。 

「自己心拍再開だぞ。ご苦労。後は任せろ」

 その言葉だけで声を殺して泣いた。医者だとか体裁だとか、そんなのどうでもよかった。

 死に掛けた弟が戻ってきたんだよ、泣かない訳ないだろうよ。

「ママ ありがとう」

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