7-5.
――潰される。
微かに、サイレンかブザー音がどこからか聞こえる。
「リング引いて! 身体を丸めて!」
白鳥に抱き付く俺に飛び付いた咲紗が叫ぶ。
バシュッ!
言われた通りリングを引くと、ベスト内蔵のエアバッグが膨らみ、首、背、胸、腹の順に圧迫を感じた。岩石交じりの土砂の上を滑り落ちていたが飲み込まれ、暗闇の中で腹が何かと激突すると肺から空気が絞り出された。背骨までめり込む強烈な衝撃。
空気を求め喘ぐしか出来なかったその時、何かが伸し掛かったのか途轍もない重さを全身に受けた。身動き出来ない。肺から息が押し出される。
悲鳴も声も出せない。
潰される――。白鳥は、咲紗は……。上手く逃げたか。
口の中がじゃりじゃりする。胃から何かが駆け上がるが吐き出せない。
「!!」
上体のどこかで、何かが折れる嫌な感覚。全身が痺れる痛み。
もう一段酷い重さが――、ここまでか。
痛っ!
痛い。瞼を通した明るさ。電子機器の音。ピッピッと。うるさい。
瞼開かない。顰めた顔、攣る。なにか聞こえる。 ここ、どこ。
「おーい、わかるかな?」
どこかで聞いた声、――大きな声。どこにいる。
「――どこ」
声出たか。分からない。感覚。ない。ふわふわ。浮いてる。
「――――起きて――玲嗣。――お願い、お願い――だから」
瞼、動かない。すぐ閉じる。――――開いた。キャップ、マスク、顔、眼。
眼だけ。分かる。姉ちゃん。
「弟が――寝坊助――――、姉ちゃん――恥ずかしいよ」
頬をつんつん。突かれた。瞼開く。何か言われた。少しだけ。分からない。
体ふわふわ。熱い――全身熱い。眠い。瞼閉まる。体重い。
「ごめん――、酷い怪我――――。パパに連絡するね。――いるから大丈夫」
涙声。瞼薄く開ける。姉の眼。滴。




