5-6.
「御用は何かしら?」
敬愛する旦那様が、今でも亡き奥様を慕っているお方が、自分の子供と同い歳の娘に靡くだろうか?
私は何か変だと思ったので、ストレートに奥様へ質問した。
「旦那様が若い女の子とお付き合いされていたら、如何なさいますか?」
「渉とその女をこの部屋に連れて来てそこに座らせてくれるかしら。そうしたら、当事者以外は家から離れて欲しいの」
「激しいお説教をなさるから、ですか?」
「それもあるけど、関係ない人を巻き添えにしたくないのよ」
「そうですよね」
「家ごと爆破するから」
多分、私の口は開いたまま唖然としていたと思う。
「大丈夫よ、爆破範囲は精密に計算するから」
「……誤差は?」
「安心なさい。お庭のお花は無傷にするわ」
黙礼した私は、ダイナマイトが時間差で火を噴き、巨大な建物が自らの重さだけで真下へと崩れ落ちる、あの芸術的な爆破解体の映像を思い浮かべた。
奥様は微笑んでいる。危険だ。本当にやるかも知れない。
「旦那様は私がお守り致します!」
私は初めて奥様が固まったのを見た。
でも奥様AIは賢い。じゃれ合っている内に意図を見抜いて先に言われた。
「若い女って藤森玲奈でしょ? 彼女が相手なら平気よ。問題にならないから」
「いえいえ、問題ですよ。未成年の高校生に手を出したら」
「渉は私以外で勃たないから平気! 勃たないから安心! 勃たないから問題
なし!」
両手を腰に、仁王立ちで、自信満々に、勃たない! と三回も言い切った。
でも、なぜなのですか? と聞いてみればイ●ポじゃないんだけど、と別方向へ離陸を始めたので強制着陸させて聞いた。
「理由は然るべき時に、渉から説明がある。説明されるまでは渉を信用して見守ってあげて。大丈夫だから」
煙に巻かれた私だが、承知した旨返した。




