4-7.
鳴ったインターホンをしかめ面の咲紗が見ている。そのモニターには藤森さん。
家に入るといきなり場所貸してと言って脱衣所に向かった。
「はぁ~い! 良い子の皆、お待たせぇ♪ セクシーサンタだよぉ~。おっと、
いけねぇ大盛りお乳、ポロリするとこだった」
「待ってねぇよ、露出狂」
両腕を上げたポーズを決めて現れた藤森さん。咲紗は嫌なものを見る目。
現役女子高生モデルのセクシーサンタコスとは何と有り難いことだ、と内心を
隠す俺。胸が荷崩れを起こしたと後ろを向いて直す藤森さんの姿を見ていた俺は気付いた。
この姿とノリ、母さんと同じじゃないか?
咲紗も同じ事に気付いた様で、合わせた視線で頷くと母親AIの元へ向かった。
チーン
鈴を鳴らしても母が現れない。電源もスイッチも正常だがなぜか現れない。
「なぜ出てこない?」
「幽霊じゃないですから。でもどうしたのでしょうね?」
ぶつぶつ言いながらリビングに戻れば、露出度高めのセクシーサンタが
待ち構える。
「れ、い、じ、くうぅ~ん」
小首を傾げ、上体を少し倒してさらりと流れた髪を指でかき上げ耳に掛ける。
上目遣いで見詰めるその下には深い谷間を形作るふたつの豊かな胸部乳製品。
人差し指と中指を唇に添えると弾いてチュッと投げキスを飛ばした。
バシッ!
飛ぶ虫に見舞うが如く、咲紗が掌で投げキスを叩き落とした。
男に媚びる女を見た女は苛立ち、そんな女をちやほやする男を目の当たりにすると更に立腹する。
どこかで読んだ記事もたまには当たるものだ。酷い形相でいる咲紗が正にそれ。
さっさと仕事するぞ、首から掛けて乳隠ししろよ、と毒づく咲紗が藤森さんにエプロンを渡してキッチンの隣に並ぶ。なんだかんだ言っても一緒に仕事している姿に安心した俺は、軽い気持ちで口を滑らせてしまった。
「咲紗はサンタコスしないの?」
「あ、咲紗はちっこいトナカイ姿の方が」
「私は今包丁を持っています。投擲も得意です」
「いやいや、料理してくれ!」
「では、どの部位を薄く削ぎましょうか」
「話聞いて! 人間を食材扱いしないで!」
その時咲紗の口の端がわずかに上がった。
「冗談です。まずは血抜きと筋切りからですので」
「グロ過ぎて、惨劇の予感しかないから止めてぇ!」




