表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/103

4-2.

「会場の皆様、お待たせ致しました!」

 あぁ、欠席裁判の公開処刑かよ。嵌められたなぁ。


 土日二日間の学園祭初日。

 一般公開の二日目はイメージが悪化しない真面目なプログラムだけ。

 初日の今日は、学内と招待客だけなので、野放し状態の、バカ全開の日。

 体育館資材庫に設けられた出演者控室の簡易間仕切りの一角。


「この中に衣装が二組入っている。予選用と決勝用だよ」

「決勝進出確定? 予選敗退が良いんだけど……」

 藤森さんがダッフルバッグを床に置いた。

「ファイナリスト確定。大丈夫! 絶~対、優勝出来るから」

 予選敗退で良いとの愚痴など聞き流し、バッグを開けて準備に掛かる。

「スタイリストさんと~♪ 相談して~♪ 玲嗣のドレス~♪ 選んだの♪

 私♡」

 スタイリストって聞こえた。ドレスって言っていた。

 本職を介入させるなんて他の出演者の御迷惑ではないだろうか。


「はい! 最初はこれだよ」

 突き出されたそれとは夏休み以来の再会。自分の位置付けでは大量殺戮兵器。

「そんで、決勝の勝負服はこれね!」

 綺麗に畳まれたまま突き出されたニット。

「これって、何?」

 手にしたまま眺めて固まっている俺から奪いながら広げると、

「ほぉら、素敵でしょ!」

 正面背面と見せると、上体に宛がう。

「サイズ丁度良いね。さっすが私、良い仕事しているじゃないのよ」

 藤森さんの親身なお世話の度に眩暈に襲われ、涙がじわりと滲む。

「よぉし、玲嗣、お着替えだよ。ばんざーいして、すっぽんぽんになるぞぉ~」

 幼児扱いの俺はなぜか素直に従ってしまう。 はい、ばんざーい。

「あ……、一時退場して」

「良いじゃないのよ、見せたって」

 上半身裸の俺、藤森さんを押し出して下半身も着衣すると、再入場させて

顔面迷彩開始。


「素材が良いから薄味で十分だ。うん、奇麗に盛り付け出来そう」

 喜々としてメイクする藤森さんは料理人か?

「長い睫毛ねぇ。アイラインいらないか。視線だけこっち向けて。ひゃあぁ~♡ なに色っぽく流し目くれちゃってるのよぉ」 バシッ!

 やってない。要望に応じただけなのに肩口を叩かれた。

「もぅ、十分びっじんだぁわぁぁ。ここからアクセで完全武装でしょ。今日の玲嗣になら負けを認めても惜しくないなぁ」

 メイクが終わると立たされて、小道具の装着が始まった。

 より一層進化したアクセサリーの数々でゴージャスにデコレートされる俺。


 押さないで ぶははははは 見えた見えた ひゃ~素敵です


 俺も藤森さんも気付いている。

 丸聞こえの内緒話を交わしながら白鳥、多梨、早乙女、咲紗が覗いている事に。

「こら、覗くなら拝観料払え!」

 藤森さんの一喝で複数の足音が遠ざかる。拝観って俺、仏像? 拝まれる?

「出来た! これで世界を相手に戦っても勝てるっ! 皆の為、御奉公して

こいっ!」

 藤森さんに姿見の前に押し出されて、完全武装の自分と対面した。


 装備がドレスとハイヒールって何だ? 敵を悩殺しろって?

 黒い歴史を作って社会的に死ぬ。

 ……なのに俺、鏡の前でくるっとターンしたよな?

 一番盛れる角度探しているよな。

 あれっ、なんで俺、無意識に顎引いて目線作っている?

 俺、被害者なんだぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ