4-1.
嫌な予感がする。これは……くる。俺に参加しろと絶対言われるやつだ。
「この行事への関与度合も評価の対象になるので積極的な参加を推奨する。以上だ」
入学と同時にリースされるタブレット端末にはお知らせ機能も当然ある。
特に重要なものはホームルームで担任が補足説明して質疑応答を行う。
今まさにそれが終わり、皆が口々に感想を囀りながら帰り支度を始めている。俺もタブレット端末を閉じて帰り支度を始めた。
「玲嗣! 出場するよね? 優勝狙うよね! 学園制覇は当然だよね!」
帰すものかのタイミング。今にも吹き出しそうな表情で藤森さんが喰い付きやがった。
「玲嗣君は適任だよ」
「昨年の覇者を打ち負かすんだ!」
「くくっ! またあれを拝めるとは。応援する ぞ って ぷはっ!」
友人全員来やがった。乙女、美里、白鳥の激励を受けた俺。
「……わぁぁ」
瞳をキラキラ輝かせ感嘆の言葉で期待を表した咲紗が言う。
「玲嗣さんのあの、お美しい姿を再び拝見出来るのですね! 当日は録画します!」
咲紗の中では俺がステージに立つのが当たり前になっているらしい。
本年度学園祭実施要項の送付 送信者:学園祭実行委員会
タブレット端末にお知らせが表示され、実施要項フォルダのプレゼンテーションファイルには、校風に似合わない誘い文句が躍る。
【自分史上最大のバカ全開!】
目を疑ったのはフレーズだけでなく、一部が先行リリースされているプログラム内容もそうだった。
【変装コンテスト 出場者募集!】
別名・仮装大会 特典・優勝賞品あり!
1.お笑い部門 いじめ・下劣でなければOK
2.コスプレ部門 日本の伝統芸能を継承するのは君だ!
3.ビューティ部門 ダイバシティビューティ求む! 性別問わず
※人種・性別違和・趣味・嗜好を差別するものではなく、変装技術を競うものである。
◎出場多数の場合は予選・決勝形式とする。
◎各部門とも参加賞と豪華賞品あり!
◎審査員として着席された一〇〇名には、協賛企業から寸志進呈。
「――――。それで良いよな、玲嗣?」
「うん。――えっ、何が?」
俺がじっくり読み込む内に、どうやら背後で相談が纏まっていた様子。
皆が俺に同意を求め怪しく笑っているなら、俺にとっては嬉しくない事だろう。
ぷっ、と吹き出したのもいるから、尚のこと俺にとって良くないこと……、
だろうな。
「うん、って言ったよね」
言質まで取られた裁判は結審した様子。
「今、何を話していたの?」
皆がにやにやし続けているなら、俺はスケープゴートらしい。
「装備はお手入れして、全部保管しているよ」「海辺の衝撃が会場に」「話題独り占め間違いなし」「インパクト大きいだろうねぇ」「ご家族にもお越し頂いてはどうでしょう?」
立て続けにカブリながら皆が言う。
藤森さんが保管する何かを必要とするそれは、大きな衝撃を齎し、相当な話題になる。俺の家族にも見てもらうべきだ。
これらから想像されるもの。……何だ? 何の事だ?




