3-12.
「玲嗣は外面でなく、経験から学んで努力し続ける人を素敵で憧れるって言ってくれた。私に憧れてくれているんだよ! もぅ、親子して良く分かっているじゃないのよ!」
玲奈は興奮して嬉しそうに訴えた。
「じゃあ、その目的を掲げた理由は? なぜそうしたいの?」
「玲嗣の傍にいて、溺れる~って程、いっぱい愛してあげるの」
玲奈は目的ではなく別の手段を告げた。
探りを入れたのを察して逸らしたと思う。
「それは玲奈の望みであって、玲嗣はそれを望むのかな?」
「玲嗣を幸せにする為、最高の彼女になって惚れさせる。お願い、私の気の済む様にさせて。迷惑掛けないし、悪い様にしないから」
私と玲嗣に二股を掛けて玲嗣を幸せにする。
玲奈の話は破綻していると思ったが、そうではないならどの様な考えがあるのか思索を巡らせ魂胆を推察した。私は、もう少し玲奈の本心を引き出したくて言葉を投げた。
「その為の自己犠牲は必要ないと思うよ」
「今の私が根無し草の様になっているのは誰の所為なの? 渉と輝子でしょ?」
狙いが外れた。玲奈の口振りが突然変わった。
「怨んでいるか?」
「輝子が望んだ事だし、今こうしていられる。怨んでなんかいないよ」
天井を見上げる私。私を見詰める玲奈。ひとつベッドの中で話は続く。
「玲嗣は小さい頃から育ててくれた咲紗に懐いているが、今どの様な感情を抱いているかは分からない」
「だから尚更そうするの。咲紗を白鳥の彼女にした間に、玲嗣を完全に篭絡する」
白鳥の息子と咲紗が交際しているとは初耳だが、玲奈の企みが見えてきた。
「目的を達した後は、どうするつもりだ?」
「どうしましょうかね。玲嗣を慰み者のまま、渉の篭絡に本腰入れようかしら。力尽くでも既成事実を作る、なんて良いわね。まぁ、悪い様にしないから安心して」
探りを入れているなど見抜いている玲奈は自分の下腹部を掌でポンポンと摩ると、続きを打ち切ろうとしている。
口の端を吊り上げ、何か企む表情は楽しそうにも見えた。




