3-2.
玲奈の作った美味い夕食を平らげ風呂から出ると、明日は朝七時にここを出るぞと告げてベッドに滑り込んだ。
一〇時のフライトなので九時前には空港ラウンジに入って行動予定を整理したい。移動の電車内、機内でなすべきこと、訪問先との議題を考えていれば眠気に襲われ意識が途切れたが、こそこそと何かされている感覚で目覚めた。
着衣全てが消失して私は全裸だ。
何度体験しても見事だ。否、感心している場合ではない。
これはエロが始まる予兆。
胸から脚へ異なる体温と重さが伝わる。
予想通り全裸の玲奈が身体を乗せてきた。
もぞもぞと身体を動かす玲奈に任せていると腰の上に跨った。
程なく私の象さんの先端が、異常を感知した。
半ば寝惚けていた私の意識が瞬時に覚醒すると警報を発して腰を引けと命ずる。
腰を捻り緊急回避を行うと、滑りの音を発して滑り落ちた玲奈が苦情を告げる。
「先っちょだけ、ちょっとだけで良いから」
「粘膜接触じゃないか。子供にはまだ早い、ダメ」
「私の全身で貴方を感じたいのにぃ。もしかして、イ●ポになっちゃった?」
「何度も同じ事聞くな。見るだけで勃つ女は玲子さん唯一人だけだ」
いつも通りの台詞を玲奈に返すと少し落ち込んで、ふてながら諦めて戦闘態勢を解く。仕方なく腕枕を差し出せば納まり、全身を密着すると大人しくなる。漸く眠れるとの安堵は、腕の中からのぼそぼそ声が耳から伝わって打ち消された。
「私は何を望まれて、誰の為に産まれてきたのかなって、何度も考えるよ」
「共演者や制作側と対立して降板させられた女優って、こんな気分なんだろうね。おまけに、当初の見込みが誤算でした、制作中止します、ってなったみたいだね」
「輝子から放り出されて、これから自由に生きていけ、なんて言われてもさ」
間接的に発言を強要された私は告げた。
「玲奈の人生は玲奈が決めても」
「それって、責任放棄じゃないの?」
その一言で発言の続きが封じられた。
「自由になって良いなら、玲嗣と結婚しても良いの? 籠絡するなんて簡単だよ」
「それは倫理的に駄目だろう」
研がれた刃物の様に鋭い視線が私の眼を刺す。
それは眼腔を貫き頭の中まで達するのではと思わせた。
「渉の気持ちがまだ玲子に残っているのは分かっている。でも、そろそろ目を覚まして。私なら出来る、何でもしてあげられるんだよ。私はここにいる、玲奈はここにいるんだよ」
玲奈の感情が溢れ始めた。
「目覚めてから眠るまで私の事だけ考えて。仕事していても一秒でも時間があったら私の事を考えて。他の人なんか見ないで。私だけを掴まえていて」
声が震える玲奈の下瞼に涙が滲んでいる。
「そうでないと――いなくなるからね!」




