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2-8.

「藤森さんと喧嘩しているのかい?」

「喧嘩ではありません。じゃれついてくるので、仕方なく構ってあげている

だけです」

 担任教諭との進路相談開始早々に聞かれた。

 笑い声を上げた担任は、手加減を忘れずあしらう様にとアドバイスすると、全員に聞くであろう質問から面談を開始した。

「和泉咲紗さんの将来展望を教えて下さい」


 ああ、矢張り聞かれるよな。


「大学を出たら、懇意にして頂いている会社役員の方にお願いして、その研究機関か会社へ就職しようかと」

 昨晩考えた想定問答を返した。尻すぼみになった声。

 自信ありません、何も考えられませんでしたと宣言した様なもの。

「和泉筆頭理事が経営されているアドバンスド・セル・ラボラトリーかな?」

「はい」

「咲紗さんは和泉筆頭理事のご自宅に同居している親戚と伺っている」

「はい。そうです」

「う~ん、縁故入社はダメではないが、何か消極的に思えるな」

「そうですか?」

「なぜこの学校に入学したのか? 和泉筆頭理事が入学式のスピーチで皆に投げ掛けた。自分は何になりたいか決まっていますか?」


 そんな事は考える暇もありませんでした。

 本当の私を明かす事は出来ません。

 自分の素性、現在に至るまでの経歴。

 本当は高校一年生の年齢からかけ離れている事。


 言っても何ひとつ信じて貰えない私は無難な回答で誤魔化そうとした。

「半年後に進級選抜試験があります。それまでには見定めておくつもりです」

「そうか、分かった。是非そうして欲しい」

 担任の間森教諭が何か記入していたタブレットを傍らに置いたので、やっと終わったかと思っていれば、何か心当たりがあるか教えて欲しいと切り出され、

玲嗣さんの発言を伺った。


 咲紗に世話になったので、今度は自分が恩返ししたい。これからも咲紗の傍にいる為同じ大学に進むと決めている。


 担任にそう言ったそうだ。

「なんで そんなこと」

 意表を突かれて言葉が漏れた。

「咲紗さんはそれを望むか? と聞いたよ」

「何と言っていましたか?」

「全然分かりません、と言っていた。咲紗さんが世界最難関の大学へ進学するならどうすると訊ねたら、何としても同じ大学、同じ学部へ進んで傍にいる、と言っていたよ」

 言葉を出せないまま、更に続く予想外の発言を伝え聞きした私は硬直した。


 咲紗に良い人が現れて、安心して任せられるまでは傍にいる。


 なぜそこまでするのか理由が分からない。困惑していると、担任が言う。

「学校生活に大きな影響を及ぼすなら、教員がプライベートに口出しする事もあるが、これは違う様だ。何を意味するのか、後は本人同士直接確認して欲しい」

「はい……、分かりました」

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