2-6.
「今日は悩み事相談だね? 何でも母さんに言ってごらん」
父の部屋のモダンな家具型仏壇で鈴を叩き呼び出せば、全身画像が投影されて 待ってました! と意気揚々に登場。
「何で分かるの?」
「そりゃあ表情ひとつで分かるよ。AIになったとは言え、私は玲嗣の母ですからね!」
「で、悩み事相談に最適な服装で登場しましたと」
「その通り。今日は悩める若い男の子の大好物、ビキニで~す! 万歳!」
「万歳じゃないよ……」
私を産んだ母、和泉玲子。既婚、二児の母、故人、享年四三歳。但し高音質と高精細全身画像の遺影はなぜか十九歳当時の姿。他に類を見ない特殊な遺影が目の前で万歳すれば、大きく揺れた胸部乳製品に視線が奪われる。母親であるバイアスを外して評価するなら、やはり美女だし、スタイル抜群だし。しかし、総じると、
R18ギリギリ。
「ねぇ、玲嗣。おっぱい、揉む?」
前言撤回。我が母、R18アウト。
「こら、大きくなった子供にそんな事言わないって。現物ないのにどうやって揉めって?」
ボケとエロと挑発の複合技を窘めた。
「現物か、そうねぇ。ん~、咲紗ちゃん! ちょっと、ここに来て!」
寸秒考えた母親AIは、やおら叫んだ。
「はぁい、奥様。只今参ります」
返事とスリッパのパタパタ音が聞こえると、エプロン姿の咲紗がひょこっと姿を見せる。胸元で隆起するエプロンが胴で絞られ凹凸が露な童顔少女。お世辞抜きで可愛いし美女だ。
「あら、奥様。素敵な水着をお召しですね。どの様な御用でしょうか?」
「咲紗ちゃんのおっぱい、玲嗣に揉ませてあげて」
「は?」「なぬ?」
生前父は色々大変だったかと思う。
「痛い、いたぁい。ちょっと、そんなに広げると――、痛いっ、てばぁ」
遺影の両頬を掴んで引っ張るモーションを検知して、みょーん、と頬が伸びる。
そこは合成映像の利点、カートゥーン並に派手に伸びる。私の手指には弾力も体温も伝わらず、母が私の身体に触れる事も出来ないが、楽しいギミックではある。
摘まんでいた指を離すと、ぷるん、と戻った頬を摩りながら母がぼやく。
「もぉ、悩んで落ち込んでいたから揉ませて励まそうとしただけなのにぃ~」
さも当然に同居人の乳を揉ませようとするこんな母に相談して良いものか。




