2-2.
「まだ起きないか。どれほど驚いたか……、愛あるお仕置で思い知れ」
エプロンを外し、シャツを脱ぎ、外したブラをそっと渉の頭に飾る。格好の被写体は寝たままだが撮影はしない。
「それっ!」
「……。ん……、ぶ……ぐっ、ぶっは!」
やっと起きたかと安堵の溜息を吐いて、カーテンを閉めると部屋の明かりを
点けた。
「健やかなお目覚めですか? 晩御飯出来ましたよ」
「永遠に眠らせるつもりか?」
胸の谷間を押し付ける目覚まし限定の戯れにクレームを呟く渉。
対照的に機嫌上向きな私は両手を腰に、両足を肩幅に胸を張る。
「これ、お嫌いでしたかしら?」
自慢の大型乳製品を両手で下から持ち上げると さぁ見ろ! と渉の眼前へ突き出す。
「嫌いではないが」
呟く渉の手が麗しの胸元へと伸びる。さぁ、来い! まずはその手で揉むんだ!
ペチーン!
「痛ったぁ~ぃ! 何で胸を叩くのよぉ! 貴方の大好物でしょ? 丁寧に扱って!」
「本当に嬉しいが、この歳になると心配が先立つんだよ。風邪ひくから早く
仕舞え」
渉の好物を並べたダイニングテーブルは賑やかだ。並んだ皿から湯気が立ち
のぼる。
笑い声が弾み、視線が絡み合い、空気まで温かい。
昨日は違った。
テーブルの端に、私ひとり。レンジの電子音が鳴る。ラップを剥がす。テレビだけが喋るダイニング。湯気越しに空いたままの席。箸は、自分の器だけ往復する。
これが、いつもの夜。慣れているはずの光景。でも、やはり、嫌だ。
「女子高生肉布団攻撃! どうだぁ?」
「タイトルが未成年禁止だぞ。そんで顔に胸を乗せて押し付けるな。窒息する」
亡き妻和泉玲子との想い出に生きるこの男。
和泉玲子を揺るぎなく今も愛し続けているこの男。
ベッドで戯れてアピールしても反応しないこの男。
インポになったかと聞いても現役と答えるこの男。
難攻不落。だが、考え付く限りの手を尽くし、何としても結婚してやる。
益々発展する世界企業の社長夫人の座を得るなら、親子ほどの年齢差など気にしない。
目的の為なら既成事実を作る手段もありだ。その為に会得した秘儀、瞬間脱衣。
渉の奥義、先っちょ外しで連戦連敗なので一刻も早く打破せねばならない。
和泉渉の妻になる事こそが私の人生の目的。
私は、和泉玲嗣の誘惑も始めた。焦る事無く在学中にじわじわと、私のこの身体を晒して色仕掛けで陥落させる。
いつも傍にいる邪魔者、咲紗も術中に嵌めてやる。




