臆病者矢久の不安
先日、小説家になろうが発表したJINKE小説大賞。
中国JINKE社主催の、映像化を企図した……まぁ映画の原作?を募集するコンテストのようだ。大賞三十万円で映像化に際し印税を支払うというコンテスト。……印税って言葉は映像化による使用権にも使うんだなと初めて知らされた。
以下この賞について、多少悪い事も書いてしまうが、馬鹿にしたい意図も、不買運動みたいな意図もまったくない。
"興味があるから"正直な感想を書くし、それに伴う不安を列挙しているという次第だ。不愉快になるかもしれないと思えばここで読むのをストップで回れ右。
応募条件を見ていると、異世界での第二の人生……みたいな内容は禁止だったり、同性愛は禁止だったり、規定枚数十五万~二十万字完結作品が推奨だったり、正直、小説家になろうに募集をかけるのはあやまちではないかと思われる条件が並んでいる。
言うなれば、イタリア旅行に行って沖縄名産ちんすこうを探すようなというか、風邪薬をもらいに産婦人科に行ってしまうようなというか……。
このレギュレーションを小説家になろうに投げるとは、ある意味男気のある行動だなと思うのはわたしだけだろうか。
そのため興味が沸いた。
ちなみに同時期に提示されたオーバーラップ賞が十万文字以上で完結未完問わず、大賞賞金が五十万だ。JINKE賞の十五万字以上完結推奨、大賞三十万円(該当作なしの可能性あり)が、条件として渋いことは分かる。(もっとも、オーバーラップ賞が大賞を出したことは一度もないようだが)
そのような条件の元、わざわざ外国で作品を募集しているとすると、個人的には本腰を入れたものではなく、威力偵察(笑)……つまり様子見なのではないかと思われる。ただ、その根幹に「どこに名作が転がってるか分からないから」という理由で貪欲にアイディアを求めにきている部分があるのならば、素敵なことだとは思う。
故に、結局評価点数で作品を仕分けされてしまう小説家になろうの各賞とは異彩な匂いを発しているように思えて、同賞への参加を検討している。
いわゆる『小説家になろうのテンプレ小説』をかなりの部分でお断りしている(と見受けられる)賞なのだから、このサイトにありながら、評価ポイントは考査の考慮に入らないかもしれない……だとか、海外で評価されることがあれば、逆輸入のような形で日本で活躍できるようになるかもしれない……だとか、このサイトで評価されないガチ勢にとって、淡い夢を抱ける内容ではある。
同時に不安も隠せない。
なにせ阿吽の呼吸も通じなそうな外国資本のコンテストだ。取引先の商慣習もよく分からないし、そもそも著作権について寛容すぎる国である。
いざ契約にこぎつけたところで、どのような交渉になるかまったく想像つかないことに関して、まったくの不安を持たないとすれば、それは個人的には危険なことですらあると思う。そもそも日本語で交渉できるのかとか(笑)。
以前別項で、国の政策を憎んでも個人は憎むな、みたいなことは言ったが、個人的に主催者を知ろうにも手段がない。ちなみに主催者のホームページをあたったが、すべて中国語(当たり前だ(笑))。何色の呼吸をしているか、さっぱり分からない。
詳細をしっかり聞いてみたいなと思うわたしは、変だろうか。
結局、労力を払って投稿する側は立場的に弱者にしかなり得ないのが現状である。
だからこそ、不当な扱いを受けてしまうんじゃないかという不安を払拭するべき配慮が、主催者側には必要じゃないかとは思う。
ビジネスパートナーとしての人材を求めているのか、知的財産の小売業者として参加者を見ているのかということもハッキリしてほしい。
それを明示された結果、個々が納得して、かつ参加希望するかを決められるようにしてほしいところだ。
ちなみに同賞は「入賞の辞退は不可」「入賞作品の作者自身の使用不可」と記載されている。この文言で独自に解釈するのは可能だが、それがどういうニュアンスかは日本と中国で慣習が違えば違うかもしれない。勝手に解釈すれば、何か軋轢が生じた時、お互い「何で腹を立てているのか分からない」という事態に陥る可能性もある。
「文句ある奴は参加するな」と言われればそうだろうし、「日本人の主催するコンテストならその心配はまったくないのか」と言われれば、そんなことは決してない。が、あちらとこちらと意識がどれくらい違うのかは、事前に知りたくもなろうものではないか。文化が違えばなおさらだ。
紛争が起きた時は日本国の法律に照らし日本で裁判するとは書いてある。「それが誠意だから安心してね」って事なんだろうか。
結局、無知から発する不安でしかないのだが、契約するのなら満足行く形でしたいし、良きビジネスパートナーとなりたい。それを安心できる材料を揃えてほしいなと思う気持ちは、参加検討者として、持ってはいけないものなのだろうか。
わたしには三十万円で権利まで売ってしまいたい十五万字越えの自作品などない。そういう生みの親の気持ちが分かってくれる仕事相手であれば、例え宇宙人とでも契約するのだが……。




