私、橘楓。 vol.096. 涙が流れて止まらない。
「はい、お電話代わりました、名取です。……、えっ、あ…、はい、そうですか。ありがとうございます。…はい、確認させて戴きます。わざわざご連絡戴き、ありがとうございました。失礼します。」
受話器を置いた途端に名取祥子。
「やった―――――ッ!!!!」
と、大喜び。
その声に、周りにいる教師陣も…、
「ど…どうしたんですか、名取先生…???」
「地区奨励賞…取っちゃった―――――ッ!!!」
「え―――――っ、演劇部…!!!凄いや…、ははは…、おめでとうございます~~!」
「やりましたね名取先生、いや~実に素晴らしい。」
「ははは…、こりゃ活気づくぞ~生徒たち~~!」
歓喜に沸く職員室。その日の昼休みには早速校内放送でそのニュースが流れ、
それぞれの教室や体育館でも、そして校内全体でも歓喜が湧き上がった。
何より喜んだのが舞台で演じた生徒たち、その全員が涙を流した。
その中でも陽子は、楓と朱実に抱き締められ、
数分、涙が流れて止まらなかった。
それに楓も朱実ももらい泣き。
「陽子、陽子、陽子…。やった、やった。うんうん。」
そして、その演劇部の地区奨励賞受賞は、分野は違えど、
こちらにも影響をもたらした。
相磯から薦められて訪れた会場。
楓…、
「五月野…こんなところで演奏するんだ…、心臓…強いね。」
「いやはや…凄い緊張感…。」
「うんうん。」
と、朱実と陽子。
教え子だからと言う事で、ある意味では、無理やり同席させられた陣内、
「あんまり…クラッシックは…はは…。」
「ん…、萌未ちゃんも…負けてないわよ。ふふ…。」
意外と余裕の相磯。
「さ、始まった。」
朱実…、
「あっ、この曲、あん時聞いた…。」
そして楓。
「うん、メンデルスゾーン。」




