私、橘楓。 vol.090. 「陣内先生、ここ…。」
その声を聞いて、前に座っている朱実と楓が、慎二と智志に振り向き…、
思わず、
「プッ。」
楓、
「大丈夫よ、陽子…頑張ってたんだから~。」
「女房が出るって…旦那が緊張してるよ、かかか。」
笑いながら楓に耳打ちする朱実。
「さすがに中央発表会ね。このコンクールで入賞すると…、もしかしたら…プロの道も…、って事に…なるケースも…あるとか…。」
そんな奥山の言葉に…、
「えっ…???そうなんですか校長…???」
奥山の隣に座っている相磯。
「じゃあ…陽子ちゃんたち、気合…入ってるでしょうね~!」
それを後ろで聞いていた楓と朱実も…、
「えっ…うそ…、凄~い。芸能界か~!」
「それだけ…、自分の演技に自信を付けさせてくれる。そういうコンクールよ、この発表会は…。」
「…す…、すみません、遅れちゃって…。…ぼ…、僕の…席って…???」
「あ~~やっと来た~!」
その朱実の声で、その周辺が陣内に注目。
「ごめん、ごめん…はは…。」
「先生、陣内先生、ここ…。」
自分の左隣の席に手を付いて相磯。
「優美子先生…さっきから待ってたんだからね~陣内先生~!」
陣内に突っ込むように朱実。
その言葉に奥山。
「おやおや…生徒たちも…分かってたのね~。ははは…。」
その奥山の言葉に朱実も楓も…、
「えっ…???もしかして…相磯先生…ほんとに…???わっ。」
そう言いながら、お互いに顔を見合わせる。
「どうした…楓…、朱実…???」
不思議がる楓の左後ろに座っている大輔。
「んんん…、後で…。」
と、クスクス笑いながらの楓。…が…。
「あれ…、この匂い…???」
いきなり楓の前から香る良い匂い。
その匂いに、朱実も気付き、
「へっ…???」
当然、陣内の隣に座っている相磯には…、
「えっ…、これって…???」




