私、橘楓。 vol.086. 抱き締めて離さない。
慎二と智志の体をがっしりと抱き締めて離さない朱実と陽子。
「慎二、慎二、慎二―――――ッ!!!」
慎二の背中で泣きわめく朱実。
「うっうっ、うっうっ、さ…と…し…。」
涙ながらに智志の名前を智志の胸に陽子。
「朱実~~大丈夫だって…。」
「もう…あいつらいないよ、逃げたよ、陽子…。」
「慎二…、好き。」
いきなり朱実。
「私も…、さとし…、好き。」
「えっ!!!え~~~!!!」
慎二と智志。
ゆっくりと歩きながら…、鼻水を啜りながら、
慎二の右腕にがっしりと左腕で巻き込みながら、朱実。
「へへ…。」
こちらは、こちらで、智志の左腕に右腕を巻き付け、
頭まで智志の左肩にくっつけながらの陽子。
「ありがと…。」
そして慎二、智志、お互いに、
「へいへい。」
「うそ―――――ッ!!!」
大口を開けてビックリする楓、昼休みの教室で…。
その楓の声に、教室中…注目。
「あ…、いや…私…、はい…ごめん。なんでもない。」
小さな声で朱実、
「…と、言う訳です。はい。報告…終わり。」
「あ…、は…はははは…。そう…、なっちゃっ…た…か。」
びっくりと変顔の楓。
「こんな事って…。なんだか…胸…ドキドキしてる。」
「…って、あんたがドキドキしてどうすんのよ???」
にこにこ顔の陽子。
「だ…だって…、こんな…早く…、しかも…朱実も陽子も…。いやはや…。」
「えっ…???こんな…早くって…???どういう意味…楓…???」
朱実を見ながら、首を傾げる陽子。
「なんだか…、私と朱実…、こうなるって、分かっていたような…。」
そういう陽子に、朱実も…、
「楓…あんたは占い師か…!!!」
「そういう…訳じゃ…ないんだけど…。何となく…、感じてたんだ~!」
「えええ…???どういう…???」
いきなり楓の机に両肘を着けて朱実。




