私、橘楓。 vol.078. 「はぐらかされてるわ…こりゃ…。」
「陣…内…先…生…???」
ピアノに顎を乗せて、上目遣いに相磯を見て朱実。
「え―――っ!!!」
大きな声を出す楓と陽子。
「うそうそうそうそ…、まじで…???」
「陣内…先生か~!…うん。悪くは…ないかな…。」
朱実に優しく反応しながらの相磯。
「じゃ、じゃ、じゃ~あ~あ~。」
そんな朱実に…。
「嫌い…でも…ない。…だって…、他に、素敵な先生たちもいるから…。」
「えっえっ…。えっ…たとえば…???」
「ほら…、体育の兵頭先生や、理科の加藤先生。…それ…から…、数学の野呂先生…。」
「えっえっ…うそ…、先生たちって…結婚してなかったっけ…???」
「うん、まだ…確か…みなさん…独身のはずよ。うん。」
「え~~っ、うっそ~!!!」
「完…璧に…、はぐらかされてるわ…こりゃ…。」
変顔して笑う楓。
「じゃ、先生…私たち…。ねっ、陽子、朱実。」
楓の言葉に、にこやかな顔で相磯、
「うん、じゃ。」
「え~~陣内じゃ…ないのかな~???」
頭を傾げる朱実。
そんな朱実に楓、
「ほらほら行くよ。」
その時に、音楽室のドアを開けて入ってきた五月野萌未。
「あら…、楓に陽子、朱実…???」
「五月野…???」
と、楓…。
バイオリンのハードケースを持ちながらの萌未。
「うん…。私これからちょっとだけ稽古。…優美子先生…お願いします。」
「ふ~ん。」
そう言いながら、まだ納得していない朱実を見て楓…。
「ま~だ、考えてるか…あんたは…???」
「だってさ…。」
その内、聞こえてくるピアノとバイオリンのメロディ…。
「あっ、私…この曲知ってる…。」
陽子のその声に、楓…。
「メンデルスゾーンの曲ね…これって…。」
廊下まで流れるメンデルスゾーン、バイオリン協奏曲、第一楽章。
朱実…、
「委員長、これ…練習してんだ。凄っ。」




