私、橘楓。 vol.074. 「手ぇ~降った。誰にだよ、おい。」
体育館の入り口フロアで…。
「えっ…誰…あの子…???いや…楓~~???凄~!!!」
まだ入り口フロアでお喋りをしているバスケ部員が、相磯と朱実と楓の姿を見て…。
「凄、凄、綺麗~楓~!良い、良い。これから…結婚式ね~。あ~それで~優美子先生~。」
「うん。じゃ…、行ってくる。」
「ガッツだぜ、楓~!」
ガッツポーズをしてバイバイと手を振る朱実。
「ははは…私が主役じゃないんだから~じゃ。バッグお願いね朱~!」
「おぅ、任せな。」
体育館の外。そこにもまだ立ち話をしている、今度は男子バスケ部員。
「へっ…、あれって…、もしかして…2年の…橘か…。楓…???」
「…ん…???あっ、そうだ、そうだ、橘…。何…デートかよ、これから…。おめかししちゃって…。ひぇ~彼氏…羨ましいねぇ~!」
「って…、あいつに彼氏…いたの…???うっそ~~!」
そんなバスケ部員を見ながら楓、その中にいる大輔を見つけてニッコリと…。
そして手を振って。
そして、そんな楓に、メンバーが気付かないように手を振る大輔。
「おいおい、今…あいつ、こっち見て手ぇ~降った。誰にだよ、おい。」
それぞれを見回す男子部員。
「誰…???」
「いやいや…俺じゃない、俺じゃない。」
何も言わず、クスクスと笑う大輔。ポケットからスマホを取り出し、
「行ってらっしゃい。綺麗だぞ、楓。」
すぐさまメールに気付いてスマホを見る楓。
前を見て歩きながら、右手だけを挙げて手を振る。
そんな楓の後姿を見ながら、ニッコリと笑い、
「さ~てと、先輩、帰りますか~!!!」
「だな~。一週間後は、2回戦。鍛えとけ、大輔。」
トンと大輔の肩を叩く沖田。
既に、男子部員も橘樹から大輔に呼び名が変っていた。
「はいな。」




