私、橘楓。 vol.070. 点を取れば、取り返す。
悠紀子がリバウンドでシュートを決めた楓の肩を叩く。
そして、
「戻って―――――ッ、来るよ――ッ!」
「誰、今のおっきい声…???」
と、メンバーが声のした方向に顔を向けると、
2階の観覧席に、既に試合が終わった男子バスケのメンバー。
そこに大輔がいた。
「行ける、行ける~~!」
「楓、あそこ。」
と、朱実。
「うん。分かってる。」
けれども強豪東星。点を取れば、取り返す。そしてズルズルと…。
それでも喰いつく桃李。
残り30秒。最後のシュートが東星。
「あ~~。」
と、落胆の桃李。その時、
「うっそ―――――ッ!」
桃李のゴール下から、悠紀子の素早いボールが、
相手側に既に走っている楓に目掛けて…。
そのボールをしっかりと掴んで、そのままライン手前からシュート。
そのボールの行方を見て、2階観覧席の大輔、拳を握り、
「ヨシ!!!」
綺麗な弧を描いたそのボールは、
そのまま東星のゴールリンクの内側に当たり、
ぐるぐるとネットの中を回りながらストン。
「うそ…???入った―――――ッ!!!」
と、楓。
東星のゴール下、床の上でトントンとバウンドするボール。
その瞬間、
「ピ―――ッ!!!!」
「勝った――――ッ!!!!わずか1点差。」
桃李の女子バスケ部員。
「すげえ~楓~スリーポイント~~!」
と、朱実。
「うそ…、うそうそうそ…入ったよ、入った…私…。」
そう言って、茫然と立ち尽くす楓に、
ドドドッと押し寄せる桃李の女子バスケ部員。
「やった、やった。勝った、勝った~やった~!」
もみくちゃにされる楓。
「凄いわね~楓ちゃん。勝ったわね、先生。」
「え~!やってくれましたよ、わずか1点差。されど1点差。…って…、えっ…???相磯先生…???いつの間に…???」




