私、橘楓。 vol.060. 「何か…隠してない…。」
「それは…そうと…。楓…あんた…???」
と、弓枝。
「…ん…???何…???」
「かあさんに…、何か…隠してない…???」
「…ん…???何を…???」
と、一切れのリンゴを口に運び、もぐもぐと…。
「群馬から帰ってからのあんた…、変わったね~!」
「ブッ!!!」
と、吹き出しながら、
「きったな~い。」
自分が吹き出したものを布巾で綺麗に拭きながら。
「図星だこりゃ。」
と、言いながら、楓の右隣の椅子に腰掛ける弓枝。
「母さん、怒んないから…言ってみな。何があったの…???」
「何が…あったの…って…。まぁ…ねぇ…。」
「母さん、群馬に行く事、許したけど、本当は心配だったんだからね~!女3人、男子も3人。良い経験とは思ったけど…。」
「……。」
「でも…まぁ…あんたの事だから、余計な心配は要らないと思ったけど…。親に似て、しっかりしてるから…。」
「ぶっ!!!」
「そこは…吹き出すところじゃないでしょ。」
「クク…。」
「だから…、笑うトコでもないでしょ。」
「ふ~~!」
腕組みをしながら弓枝。
「さぁ…観念しなさい楓。」
「まるで…時代劇ドラマのお奉行さんみたい。」
「か…え…でぇ~!」
「……。」
「か~え~でぇ~!」
「はいはいはいはい。」
「何があったの…???」
「んもう…。母~さん~。」
「何よ。」
「…んもう…。……、すきな…ひと…できた。」
と、小さな声で…。
「えっ…、えっ…???いま…何て言った…???」
と、弓枝…、左耳に手を付けて…。
「もう!!!母さん。好きな人出来た!!!」
「えっ…、もっかい…なんて…???」
「かあ…さん…???」
「はは…、はは…、そうかい、そうかい。おまえに…。」




