私、橘楓。 vol.056. 祝儀袋と名刺。
「そうか~お手伝いか…。」
と、三浦。
「はぃ~良い子たちばかりで…、本当に助かってます。実は、私の妹の子のお友達なんです。」
「そう…だったか~!いや…、珍しく元気で活発な若者を見た。…それでなんだが…、なぁ…女将…。」
そう言いながら自分の懐から…、
「女将には申し訳ないが…、あの若者たちに、これを…渡してくれないか。…私からの少しばかりの…良いものを見させてもらったお礼だ。」
と、祝儀袋を朋江の前に。
「えっ…、そんな…先生…、これは…戴けません。困ります。」
「じゃ、女将…頼んだよ。」
そう言って、その場を立ち、廊下に向かう三浦。
その後、朋江が三浦の部屋を訪ねて、祝儀袋を返すと言う行動を取ったのだが、
三浦はその朋江に快く、
「お願いしましたよ。」
の一点張り。
顧客の好意を断る事も出来ずに、仕方なく、預かっていたのであった。
「本来であれば戴く訳にはいかないものなんだけど…。どうしたって、引っ込めてくれるようでもないし…。ありがたく戴いたって事なのよ。」
「うそ…、そう言う事ってあるの…???」
と、陽子。
「旅館、始まって以来、初めてよ、こういうケースは。」
「うわっ!!!」
と、朱実。
祝儀袋と名刺を見て陽子と楓、
「ほんとだ、拓植大学教授、三浦彰人…だって。」
「拓…植…、えっ…バスケットの名門大学じゃん、そこって…。」
と、大輔。
…と、その大輔の話を聞いた途端に今度は楓が、
「あ―――――ッ!!!」
いきなり身体をビクッとする面々。
「びっくりした~~何よ楓~~!!!」
と、隣の陽子。
変顔して楓…、
「私のお兄ちゃん…。」




