私、橘楓。 vol.040. 「それじゃブレイクじゃん。」
旅館での夕食を堪能して、それぞれがお出掛けの準備。
「さて…と~!行きますか。」
と、自前の浴衣姿に着替えての女子。
「行っくよ~!」
壁の向こうに呼び掛ける朱実。
「でっかい声。」
と、慎二。
そして共に笑う智志と大輔。
玄関先で西谷、
「楽しんでらっしゃい。」
そして…。
「うわ~!ムード満点、祭りだ~!」
と、急ぎ足になる女子。
もう既に、旅館の周辺には賑やかな祭りの音響が鳴り響いている。
近くの温泉場の駐車場で催されている盆踊り、
地域住民から、県外からの観光客で賑わっている。
色様々な浴衣姿に、それぞれの旅館の浴衣姿。
櫓の周りでは円を作っての盆踊り。
その光景を見た途端に、すっかりと身体を動かす女子。
そして自然にその踊りの中に吸い込まれて行く。
そして、必然的に朱実が陽子が、楓が、男子に手で、「おいでおいで」の合図。
照れながらじれったくしている男子に、痺れを切らした女子。
その瞬間、何故かしらそれぞれの女子の手が、
それぞれの男子の手を引く。あまりに自然に。
彼ら自身、何一つ意識もないままに…。
「こ…、こうか…???」
と、慎二。
「あんた慎二、それじゃ~阿波踊りだよ~。ははは。」
朱実。
「こ…こう…かな…???」
と、智志。
「かかか…、それじゃロボットじゃない智志~。」
陽子。
「こんなんで…いいでしょ???」
と、大輔。
「あははは…んもう…、それじゃブレイクじゃん、大ちゃん。」
一際笑い声で楓。
「えっ!!!」
と、大輔、
「だ…い…ちゃん。」
そしてにっこりと笑う大輔。
陽子も智志も、楓の隣で、その楓の声を聞いて、
「えっ!!!」
と、お互いに顔を見合わせる。




