神の住む地
ラーノットがCafe LuCkyと船を行ったり来たりしながら、航海を続け、五年経った。それまで、強力な魔獣に会ったり、大波に合ったり、霧の中を進んだり、話せば長くなるいろんな困難に遭った。マグスも大人になり、ラーノットとアルヴァも三十五歳になった。
ある夜。夜空の元、舵を握るラーノット。隣には、アルヴァが眠っていた。舵をしっかりとるラーノットの目に突然すっかり夜空が消えた。光に溢れているのに、暑くない。
「なんだ?辺りが明るくなった」
アルヴァが目を覚まして、ラーノットと一緒に舵を握った。前が見えない。ラーノットは、目を閉じて祈った。
『神様、助けて』
「止まりなさい」
空から声がした。
船が止まったのが、分かった。
空中には、光が満ち、背の高い長い銀髪の青年が浮いていた。背中には羽があり、金の目をしていた。
「貴方は、神様ですか?」
アルヴァが伺った。
「いや、俺は、神ではない。神の代わりにやってきた」
空から降ってくる声は女の声のように綺麗だ。
「名前を教えてください」
ラーノットは、ようやく声を出せた。
「名前はない。神の用足しは、俺一人だからな。なんとでも呼ぶといい」
彼は、そう言い放った。
「神様に会いに来ました。会う事は、出来ますか?」アルヴァが大きな声で頼んだ。
「勇気ある者よ」と神属だと言う青年は言葉を紡ぎ出す。「神は、忙しい。私が受けたまろう」
「では、お願いします」とラーノットが発言した。「私はラーノットといいます。星にブラックホールが近づいています。神様にお助けくださるように、お伝えください」
「いいだろう」
銀髪の青年は、音もなく、消えた。
真っ光の中、残されたアルヴァとラーノット。
「大丈夫かしら」
不安に襲われて、ラーノットがアルヴァに尋ねる。
「何だよ、急に」
アルヴァが笑い出す。
ラーノットも笑う。
また、銀髪の青年が現れた。
「神からお言葉を宣った。願いを叶えるには、使いが欲しい。数年働いてくれるようなな。ラーノットと言ったな、神がお前をご所望だ」
ラーノットは、その言葉に目眩がした。
「僕では、駄目ですか?」
アルヴァが舵を握りしめながら、言った。
「いや、人数は、何人でもいい。ブラックホールを動かすのに、一人の魔術師と紅石が必要だ」神属の青年は、続けた。「しばらくは、帰れないがな」
「そうですか。では、神様に会わせてください」
とアルヴァが顔を上げた。
「いいだろう」
船が光の中、ひとりでに動き出した。時間は分からないが、船は、歩みを止めた。
「ラーノットとその仲間達よ」
地の底から、声の低い女の人の声がした。姿は見えない。
「私が神と呼ばれる存在だ。願いを叶えよう。手伝いが必要だ。よろしく頼む」
「「はい」」
アルヴァとラーノットが声を合わせた。




