辺境の地へ
ラーノットとアルヴァは、魔術師の街に到着し、門番のアウルム、ウィルデに門を開けてもらった。街には、小雨が降っていた。
「時空列車は壊れているみたいですよ」とアウルムが言った。
「そうなの?」とラーノットが困ったように言った。
「今、街の魔術師が修理しています」とウィルデ。
「じゃあ、リースの所に行かなきゃな」とアルヴァが言った。
リースのいる街の本屋に行くと、アルトとリースが話をしていた。アルトが此方を振り返る。
「大丈夫でしたか?」とアルトがラーノットに気がついて、尋ねる。
「無事平和条約を結んできたわ」とラーノットが答えた。
「王宮に行きたいんだけど」
アルヴァがリースに頼む。
「はい」
リースは、鏡のある部屋へと案内した。
アルヴァが紅玉を取り出し、呪文を唱える。
「王宮へ」
そう言うと、鏡が光出し、ラーノット達は、王宮にある鏡の前へ立っていた。
「ラーノット!」
ルミナリーが出迎えた。
「地球の戦士達は、帰ったわ。イリスが呼んでいる。来て」
ルミナリーの後をついて行くラーノット達。
イリスとキルティが食堂の前で待っていた。
「また、ブラックホールが近づいています」とイリスが口火を切った。「神が住むという辺境の地へと向かってください」
イリスは星占いの才能を持っている。おそらく、星を読んだのであろう。
「星がそう云っているのですね」とラーノットが尋ねる。
頷くイリス。
「辺境の地は、東のかなた、光さす地です。神に頼んで、ブラックホールから遠ざけてもらいましょう」
キルティが青い目でラーノットを見つめた。
「ラーノット姉さんに行ってもらいたいのです。数々の試練があるそうです。数年は帰ってこられないでしょう」
「分かりました、キルティ」ラーノットは静かに言った。「魔術師を七人用意してもらいたい」
「七人ですね」とイリスが言った。「アルクス、マギーア、マグス、フォルトナ、サピエンス、アルドル、エクエスなら、強いし、航海をするのにも長けている。すぐに招集します」
そうして、七人の騎士が呼ばれた。マグスは、キョロキョロしている。
「本当に僕もいいんですか?」
とマグス。
「えぇ、貴方は、強い。キルティの命だから、謹んで受けるように」
「分かりました」
マグスが礼をする。
「僕も行きます」とアルヴァが手をあげた。「ラーノットだけじゃ、不安だし」
「アルヴァがついてきてくれるなら、心強いわ」
ラーノットがアルヴァを見上げる。
「君の行く所なら、何処までも」
手をさし出すアルヴァ。
ラーノットは、その手を握る。
「宝石は、お返しします」
アルヴァは、イリスに言った。
「いえ、ラーノット様に持っていてもらいたいのです」とイリス。「まだ平和条約を知らぬ悪魔もたくさんいます。賢者の石も持っていてください。キルティ」
キルティが、ポケットから、賢者の石の入った瓶を取り出した。そして、ラーノットに手渡した。
「姉さん、しばらく会えなくなるけれど、必ず帰ってきてね」
「安心しなさい。私達は、必ず神の力を借りてくるわ」
キルティとラーノットがあつい抱擁をした。
「私の事を忘れてなくて」とルミナリー。「私も行くわ」
「駄目よ、ルミナリー。貴方は、スペースと王宮を守って欲しいの」
ラーノットとルミナリーも抱擁する。
「さびしくなるわ」と泣きだすルミナリー。
「おいおい、泣くなよ、俺がいるだろう」とルミナリーに話かけるスペース。
泣きじゃくるルミナリー。
「絶対帰って来てね」
「もちろんよ」
ラーノットが力こぶを作った。
そして、ラーノットとアルヴァは航海の旅に出掛けたのだ、辺境の地を目指して。雨はあがり、虹がかかっているのが見えた。




