ルミナリーの決断
「ローズ、星を動かせて、ブラックホールから逸らせたわ」とラーノットが出てきたローズの手を握る。
「私も安全になったと聞いて安心しているわ」
ローズがラーノットの手を握り返した。そして、淡褐色の目が細くなる。
「本当に良かった」
「今、ルミナリーの元に兎が電信に行っているんだけど」とアルヴァがローズに話しかける。「姉さんにも聞いてもらいたいんだ」
ローズが姿勢を正し、アルヴァに向き直る。
「どうしたの?」
「実は魔獣の王から頼まれてて。平和条約を結びたいって言われたんだ。またこんなことがあった時のために、側近二人を王宮で働かしたいって」
「反対よ」
アルヴァが言った事にすかさず答えるローズ。
「王宮で襲われたらどうなるの?」
「私は賛成なの、ローズ。一応、ルミナリーには聞いてみるけど」とラーノットがローズを見つめる。
「ラーノット、そんな事…」
ローズが悲しい目をする。
「僕も賛成なんだ。ルミナリーが駄目なら、キルティ達にも聞いて、多数決にしようと思う」
とアルヴァが決意表明する。
「アルヴァ、本当に大丈夫だと思うの?」とローズが尋ねる。
「うん、僕は…」
アルヴァが言いかけた時に、ボンと大きな音がする。
現れたのは、ルミナリーと兎。
「宝石の力を使ってきたの、急ぎの用だったから。私の返事は決まっているわ」
ルミナリーは、大きく息を吸った。
「私は平和条約に賛成よ。危険もあるけど、このような事がまたあるかも知れないわ。側近二人には、監視をつけるけど」
「ルミナリーが言うなら」とローズが顔を上げる。「キルティ達の了解は取った?」
「勿論。皆賛成してくれたわ」
ルミナリーが、胸をはる。
「監視には、誰をつけるの?」
とローズが尋ねる。
「サーチェルとカンターメンの二人。二人なら強いから、安全だわ」
ルミナリーが了解を取るように、三人を見る。
「そうね。でも、アルトが戻ってからにして」とローズが頼む。「アルトが魔術を使えるようになってからじゃないと不安だわ」
「分かった」ルミナリーが了解する。「でも、魔獣の王には、連絡しておくわ。一週間でどう?」
「一ヶ月」とローズ。「アルトをゆっくり休ませたいの」
「それが、ベストね」とルミナリーが承諾する。「ラーノット、魔獣の王に会って、話してくれない?こちらの準備が整った一ヶ月後なら、賛成ですと」
「すぐに行くわ」
ラーノットが水晶を取り出して、眺める。
魔獣の王が水晶に現れ、だんだん遠のいて、今いる位置が分かってくる。
「魔獣の王は、ねぐらにいるわ。アルヴァ、貴方もついてきてくれない?」
「喜んで」
アルヴァは微笑んで答える。
「では、行って来ます」
ローズとルミナリーに別れを告げて、ラーノットは、アルヴァと共に、魔獣の王ゴブの元に向かった。




