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言霊怪奇譚  作者: Mr.M
六章 情けは人の為ならず

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第67話 殺意

一文字の目が真っ直ぐに僕を捉えていた。

その口元は僅かに歪んでいた。

「ふぅ・・」

僕は小さく息を吐き出した。

そして。

ポケットからナイフを取り出した。

「おいおい。

 何の真似だ?

 そんな物を振り回すと、

 怪我だけじゃ済まないぜ」

そう言って一文字は肩を竦めた。

僕は一文字を睨み付けた。

「その目は・・。

 本気で俺を殺すつもりか?」

「僕はまだ未成年だ。

 仮にあんたを殺しても・・。

 少年法が守ってくれる」

「ククク。

 残念だったな。

 殺人事件に関しては、

 16歳以上は、

 原則刑事裁判を受けるんだぜ」

「そ、それがどうした・・」

「強がるな。

 声が震えてるぞ。

 それに。

 人を殺したことなんてないだろ?」

一文字が一歩前に出た。

僕はナイフを体の前に突き出したまま

一歩後ろに下がった。

「あ、あんただって。

 実際に自分の手で

 人を殺したことなんてないだろ。

 呪物の力を頼ってる卑怯者だっ!」

僕が声を張り上げると、

一文字が「ククク」と笑った。

「卑怯者か。

 それが大人っていう生き物だ。

 闇雲に正義を振り回すのは、

 世間知らずの餓鬼だけだ。

 覚えておくんだな」

その声が妙に遠くに感じられた。

僕は頭を振った。

「これ以上。

 下らない話に付き合う気はない」

僕はそう呟いてから、

一文字に向かって駆け出した。


ナイフが一文字の体に触れる

まさにその瞬間、

一文字が体を半身に開いて避けた。

同時に一文字の膝蹴りが

僕の腹にめり込んだ。

「うぐっ」

僕は腹を押さえたまま

前のめりに倒れ込んだ。

息ができなかった。

「今のは正当防衛だ。

 悪く思うなよ」

頭の上から一文字の声が聞こえた。

僕はゆっくりと立ち上がった。

ナイフを体の前で構えて、

改めて一文字に対峙した。

「何度やっても同じだ。

 お前。

 喧嘩もしたことがないだろ?」

僕はその言葉を無視して、

一文字に斬りかかった。

「うあああああああ」

ナイフはまたしても空を切った。

振り下ろした手に衝撃が走り、

僕はナイフを落とした。

そのまま足を払われ、

僕はふたたび地面に倒れ込んだ。

「今日のところは見逃してやる。

 俺が本気になる前に帰れ。

 『後悔先に立たず』

 って諺があるだろ?」

一文字はナイフを拾って、

暗がりの隅へ投げ捨てた。

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