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言霊怪奇譚  作者: Mr.M
一章 明日は明日の風が吹く

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第6話 遅れてきた英雄

「あなた達、やめなさい」

明日美の凛とした声が教室に響いた。

教室にいる生徒達の目が

何事かと声の方へ集まった。

「な~んだよぉ、生徒会長ぉ。

 俺達は遊んでるだけだよぉ」

岩倉が口を尖らせた。

「私には無抵抗な肇を

 イジメてるようにしか見えないわ」

「鍛えてるんだよ。

 女にはわからねえだろうけど。

 そうだろ、肇?」

西陣がぎろりと睨み付けると、

肇は「う、うん・・」と小さく頷いた。

「何言ってるの、

 わかるわけないでしょ。

 肇も。

 嫌なら嫌って言わなきゃ」

明日美が倒れている肇の肩に

そっと手を伸ばそうとしたその時、

岩倉がその前に立ち塞がった。

「おっとぉ。

 邪魔するなよぉ」

岩倉が下卑た笑みを浮かべて

明日美を睨み付けた。

しかし。

明日美よりも背の低い岩倉が凄んでも

明日美が怯むことはなかった。

明日美は岩倉を無視して

その横を通り抜けようとした。

「生徒会長、

 あんたには迷惑かけてねえだろ。

 それとも。

 肇の代わりに俺達と遊んでくれるか?」

続いて西陣が明日美の前に立ち塞がった。

西陣の威圧感は、

岩倉のそれとは比べ物にならなかった。

明日美が一歩だけ後退した。

「へへへ。

 いいねぇ。

 生徒会長ぉが

 俺らの相手をしてくれるならぁ、

 肇は勘弁してやるよぉ。

 その制服の下の体ぁ。

 俺らに生で見せてくれよぉ」

「あ、あなた達・・」

明日美がもう一歩後退した。

僕は反射的に立ち上がっていた。


「何してるんだ!」

その時。

教室のドアが開いた。

声の主は

上京英雄かみぎょう ひでお

だった。

サラサラの黒い髪は

眉にかかる程度。

キリっとした二重の目。

真っ直ぐ通った鼻筋。

引き締まった薄い唇。

某アイドルグループの

リーダーに似ていると、

もっぱらの評判だった。

スラっとした体型。

成績優秀。

サッカー部のエース。

・・そして。

明日美の恋人。


「上京くん・・」

明日美の顔に安堵の色が広がった。

上京はゆっくりと

教室の奥へ歩いていくと、

岩倉と西陣の前で足を止めた。

「お前ら、何をしてるんだ?」

「は、肇と遊んでたら生徒会長ぉがよぉ。

 な、なぁ?」

「あ、ああ」

岩倉と西陣はばつが悪そうに

顔を見合わせた。

「嘘。

 肇をイジメてたくせに」

明日美がすかさず口を挟んだ。

「本当か、お前ら?」

上京が2人を睨み付けると、

岩倉と西陣は慌てて首を振った。

上京は小さく溜息を吐いた。

「もういい。

 行け」

その一言で

岩倉と西陣は気まずそうに顔を伏せ、

そそくさと教室を出ていった。

「大丈夫か?」

上京が髪をかき上げて明日美の方を見た。

「う、うん。

 ありがとう」

明日美が頬を赤らめて俯いた。

2人のやり取りを見ていた

数名の女子が囃し立てた。

明日美は周囲の好奇の視線に気付くと、

照れ隠しのように

コホンと小さく咳払いをした。

そして。

すぐに上京から離れて、

小走りに戻ってきた。

「本当、上京くんって

 誰かさんと違って頼りになるわ」

明日美は席に着くなり、

わざとらしく溜息を吐いた。

「ちぇっ。

 人の気持ちも知らないで、

 よく言うよ・・」

「崇の気持ちって?」

「べ、別に・・。

 何でもないよ」

僕は慌てて口を閉じた。

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