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言霊怪奇譚  作者: Mr.M
一章 明日は明日の風が吹く

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18/60

第18話 男

初めて女を知ったあの日から

4日が過ぎた。

放課後になって、

僕は明日美より先に教室を出た。


僕と明日美は学校ではこれまで通り、

クラスメイトとして接していた。

しかし。

一旦家に帰れば、

僕達は獣のように

お互いの体を求め合った。

僕は明日美の瑞々しく肉感的な肉体に、

溢れ出してくる欲望をぶつけた。

一方。

明日美は上京を失った喪失感を、

僕の体に求めていたのかもしれない。

今日も。

この後、

僕と明日美は体を重ねるだろう。

明日美の体を想像するだけで、

下半身が熱くなるのを感じた。


「三宝院崇くん」

家の前の路地を歩いていると、

電柱の横に立っていた若い男に

呼び止められた。


肩まで伸びた紫色の髪。

細く整えられた眉の下の

切れ長の鋭い目は、

冷ややかでありながら、

その奥にどこか柔らかな光を宿していた。

細く通った鼻筋に薄い唇。

ややこけた頬に尖った顎。

その顔立ちは穏やかで中性的だった。

「優男」

という言葉がよく似合っていた。

年の頃は20代半ば。

身長は僕よりも高い。

細身の体に

皺1つないダークグレイのスーツが

ピタリと張りついていた。

普通の会社員ではないことは、

その髪の色からも明らかだった。

舞台役者かもしれない。

それが第一印象だった。


「三宝院崇くん・・だね?」

男は同じ質問をした。

「ど、どちら様ですか?」

僕は首を傾げた。

「ははは。

 驚かせたかな。

 私はこういう者だけど・・」

男はスーツの内ポケットから

名刺を取り出した。


(名)Luna Plena

 櫓源之介やぐら げんのすけ

 社長秘書


「る、るなぷれーな?」

「うん。

 正式には

 『ルーナ・プレーナ』だけどね」

しかし。

その名前を聞いても

僕にはまったく心当たりがなかった。

僕はふたたび首を傾げた。

「まあ。

 民間の調査会社のようなものだよ。

 実は。

 数日前に『明星学園』の生徒3人が

 襲われた事件について、

 少し調べているんだけどね。

 できれば君の話が聞きたいんだけど」

「えっ?」

僕の頭の中で黄色信号が点滅した。

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