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言霊怪奇譚  作者: Mr.M
一章 明日は明日の風が吹く

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13/51

第13話 2つの事件

翌朝。

登校すると学校中が妙に騒がしかった。

教室に入ると

その喧騒がさらに大きくなった。

すぐにチャイムが鳴って、

担任の

黒木玄人くろき くろうど

が教室に入ってきた。


緩くパーマのかかった髪は

明るい茶色に染まっていた。

黒縁の眼鏡。

鼻は少し左に曲がり、

唇も薄く小さい。

ひょろりとした細い体に、

少し皺の寄ったスーツ。

全体として、

教師というより、

冴えない会社員のような印象の男だった。

生徒に熱心に関わるタイプではない。

どちらかと言えば、

面倒ごとは避けて通りたい。

そんな教師だ。

だが。

別に冷たいわけでもなく、

生徒からは比較的人気があった。

ただ単に、

教師という仕事に

少しばかり不器用なだけだと

僕はそう評価していた。


黒木の登場に、

皆がいそいそと席に着いた。

神妙な顔で教壇に立った黒木は、

挨拶もそこそこに話しを始めた。

「今朝は、

 悲しい知らせがある。

 すでに知っている者も

 いるかと思うが・・。

 昨夜。

 上京が亡くなった。

 詳しいことは今警察が調べているが、

 家に強盗が侵入したらしい」

僕は一瞬、

耳を疑った。

教室が騒ついていた。

「話は終わってないぞ。

 同じく。

 昨夜のことだが。

 山城町の『城下運動広場』で

 西陣と岩倉が何者かに襲われた。

 残念ながら。

 西陣は亡くなった。

 岩倉は病院に搬送されたが、

 まだ意識が戻っていない」

教室はさらに喧騒に包まれた。

「西陣と岩倉はこれまでにも夜遅く、

 『城下運動広場』で

 煙草を吸っていたらしい。

 いいか。

 お前達はまだ高校生だ。

 夜遅く出歩いたりするなよ。

 煙草なんて言語道断だ。

 見つかったら補導だけじゃ済まないぞ。

 最悪、退学もあり得るからな」


黒木が出ていくと、

教室は一段と騒がしくなった。

僕は明日美の方を見た。

明日美は顔を覆って俯いていた。

僕は声を掛けようとしたが、

言葉が見つからなかった。

「物騒だよな」

「上京の件はニュースになってたぞ」

「上京ん家って高江町だろ?

 あそこはでかい家ばかりだからな。

 運が悪かったよな」

そんな会話に耳を傾けながら、

僕はスマホで地方ニュースを漁った。

すぐにそれらしき記事が見つかった。

『6月15日深夜、

 高江町の住宅に強盗が侵入し、

 この家に住む高校生の

 上京英雄さん(17)が

 死亡しているのが見つかった。

 当時、

 両親は外出しており不在だった。

 深夜になって帰宅した両親が、

 部屋で倒れている圭介さんを発見した。

 警察は強盗殺人事件として

 捜査を進めている』

強盗殺人・・。

その文字を見て、

僕はなぜかホッとした。

僕は肇の席を見た。

そこは空席になっていた。


「それよりも。

 岩倉と西陣のことはどう思う?」

「どうって?」

「誰が犯人だろうな?」

「そりゃあ。

 やっぱり・・イジメられてた・・」

「松葉?

 いやいや無理だろ」

「人間追い込まれたら

 何をするかわからねえぞ」

「確かに。

 窮鼠猫を噛むって言うしな」

「いやいや。

 岩倉ならまだしも。

 さすがに西陣をヤるのは無理だろ」

そっちに関する記事も見つかった。

『6月16日早朝、

 山城町の城下運動広場で

 若い男性2人が倒れているのを、

 近くをジョギングしていた

 女性が発見し、

 警察へ通報した。

 救急隊が駆けつけた時には、

 1人はすでに死亡しており、

 もう1人は病院に搬送されたが、

 意識不明の重体となっている。

 現場となった城下運動広場は

 陸橋の下の人通りの少ない場所にあり、

 周囲を高木に囲まれているため、

 公園内の様子は昼間でも、

 通りからは

 ほとんど見えない状態にある。

 警察は

 事件が起きたのは15日の深夜とみて

 調べを進めている』

死んだのは西陣の方で、

岩倉は意識不明の重体。

僕にはそこが解せなかった。

その体格を考えても。

西陣を殺す方が遥かに厄介なはずだ。

どちらにせよ。

肇に2人を殺すのは困難だろう。


授業が始まっても、

僕はどこか上の空だった。

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