欠片95.『潜入ー7日目』
欠片95.『潜入ー7日目』です!
※ 丘陵
山地より起伏が小さく、比高が低いなだらかな地形。
※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明
[]=人物名と年齢、種族
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明
・・=強調
" "=強調、効果音など
ー1本=漫画の場面転換、幕間、過去回想など
ー2本=漫画で例えた時の流れ
「予知夢を見たのか?」
「ええ。いつ起こるのかは分かりませんし、断片的なものをいくつか。」
「……。」
「それが…。」
皆がホリーを無言で見つめていた。
「この大要塞が……崩壊する未来が見えました。。」
「!!!!』
「そんな……。」
『…。』
「……ホリー様の予知夢は、必ず当たります。」
「今まで外したことはございません。」
「……そうか。」
「それと……アストラさんが先ほどおっしゃっていた幹部の特徴と似ている方たちと、皆様が戦っておりました。」
「誰と誰が戦ってたんだ?」
「サーチ様は、トンボの蟻蛾と戦っていらっしゃいましたわ。」
「アストラさんはオオカミの方と、フロデューテさんはダークエルフと対面しておりました。」
「……敵の能力も分からない、それがいつ起こるかも分からない以上」
「対策のしようはないな」
「各々が警戒する他ないだろう。」
「大要塞の崩壊についてだが、住民は救えていたのか?」
「……分かりません。下から地面が割れ、崩れる未来しか見えませんでした。」
「そうか。頭に入れておこう。」
「オマエたちも……いつでも戦闘になる準備はしておけ!いいな。」
「よし。今後の動きについてだが、ワタシはこれから情報屋を探しに行く」
「明日は大扉の中へ、潜入する。同行者はフロデューテに来てもらうぞ」
『分かったわ!あ、先に測量だけさせてね!』
「ああ。」
「オレは鍛錬を少しやって、破片ノ武器の手入れして寝るかな」
「明日はさっきも言ったけど、武器屋に寄ったり、加工場エリアを見てみるよ」
※
「明後日は丘陵まで歩くから、しばらく離れるかな」
「分かった」
「私はスキルの検証を、決行日までには試しておきたいですね。出来れば三、四名は連れて来ていただけると助かります。」
「善処しよう」
「わたくしはこのまま待機しておきますわ。」
「それでもいいが、いつ起こるかわからない崩壊に備えて、移動しておいた方が良いんじゃないのか?」
と、アストラがホリーに話しかけた。
「それが、わたくしも幹部の方と戦っていましたので…」
「いなくなるのもちょっと…」
「そうだったか。もし何かあれば逃げても良いぞ」
「お気遣いありがとうございます。」
「では、何か分かり次第また連絡する」
「皆気をつけて行動するように」
「以上だ。解散していいぞ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【貧民街エリア アストラサイド】
「まさか…あの少女の言っていた人物が情報屋だったとはな。」
(二人とも保護されているといいが)
スタッ……スタッ。"ジャリ"。
と、瓦礫で散らばった通路を歩く。
(夜はゴロツキが多いな)
闇の中から感じる視線に気づきながら、歩みを進めた。
しばらくして、少女がいた所に着いたアストラは、目を疑った。
「これは…!!」
(血の跡……)
(かなり時間が経ってるな。)
"バッ"!!とレンガの裏を見るも、そこには誰も居なかった。
「もうおらんよ。」
壁の向こうから聞こえた声は渋めの声だった。
アストラが壁の向こうに歩みを進め、声の人物を確認した。
「誰だ?」
「さぁ…名はねぇよ。無名とでも呼んでくれい。フゥ〜…。」
と、薄汚れたターバンの隙間からは黒髪が"ぴょこぴょこ"と飛び出しており、腕が包帯まみれのその男は、煙管を吹かしていた。
「……。」
「キサマが情報屋か。」
男の細い長い目が鋭く睨みつける。
「…!」
「驚いたなぁ…。どこから聞いたんだ?」
「秘密だ。」
「だが、ちょうどキサマを探していたところだった。」
「それに、さっきの言葉はどういうことだ?」
「そう慌てんなよ。」
・・・・・・
「……お嬢さんの敵は誰だい?」
「……。」
「答えられないのなら、教えられないな。」
「悪いが、あっしの情報もタダじゃないんでね。」
「まだ敵対する"確証"がない。"その為"のキサマの情報だ。」
「それは自分への"言い訳"かい?」
「本当はもう……薄々勘付いてるんだろう?」
「……。子供達は何処へ行った。」
「フゥ〜」…と、再び煙管を吹かした。
「昨晩、オオカミの獣人とスーツ姿のメガネをかけた背の低い男が一緒に来てたな。」
「その後から、ガキ共の姿は見てねぇなぁ。」
「キサマは、それをただ見ていたのか。」
「あぁ。そうだが?」
「……。なら、何の為に夜間の間、あの子たちのそばにいたんだ。」
「あ〜…?そりゃあ〜ガキどもは"使いやすい"からに決まってんだろ。情報を得るならガキでもなんでも使う。」
「それが情報屋としての仕事だ。」
「あぁ?なんだ?もしかしてお守りでもしてると思ったのか?」
「ちげーぞ〜、オレにとってはな……"情報"が命よりも重ぇ。あのガキ共には多少同情するが…んなことどうでもいい。利用価値がなくなりゃあ〜そこで終いだ。」
「………ギリッ。」
「そうか。」
話を聞いていたアストラの声は淡々としていたが、唇を噛み締め、力強く拳を握っていた。
その拳からは……"ポタポタ"と血が垂れていた。
「キサマには聞きたいことがまだある。」
「高く付くぜ?」
「金の心配ならいらん。」
「各エリアから、内側にあるプラントへ続く道を知らないか?」
・・・
「……さぁな。それは知らねぇ。」
「だが……地下"五層目の入り口"なら知ってるぜ。」
「いいだろう。教えろ。」
「報酬は白金硬貨十枚だ。」
チャリッ。
「まあ、それくらいありゃいいか。」
「まいど。」
「で、だ……五層目までの入り口は、大扉の北側にある一番内側の真ん中の扉から降りた、公爵がいる部屋からしか行けない。」
「公爵の部屋に置いてある座椅子の後ろにある壁に、隠れ扉がある。」
「その隠れ扉から地下に繋がる階段があってな…そこから行ける」
「どうやってその情報を得た?」
「"企業秘密"ってヤツだ。ヘッ。」
「その情報が間違ってないと良いがな。」
「もし間違っていた時は覚悟しておけ。」
「オレの情報は裏切らねぇよ。だから安心しな。」
「まっ、せいぜい足掻いてくれや!楽しみが増えるのは良いことなんだぜ?」
「退屈しなくて済むからな。…フゥ〜…。」
「趣味の悪いヤツめ。」
と、礼を言わずにアストラはその場を去った。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
感想やブックマーク、Xのフォローなどしていただけると、今後の励みにもなりますので、応援よろしくお願いいたします!
[今回の一言♩]
書きたいものが多すぎて、時間と脳が足りない。




