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正義

    挿絵の解像度はサイトの関係で

    元の絵をスクショしてるので荒いです。




真っ白な空間が広がる中、金髪の少年が目を覚ます。



        「……ぅう…ここは…」



        『目が覚めたみたいよ』



         『ようやく

          お話ができそう

          ですね。』



       『まだ起きた

        ばかっかりだよ〜?』


       『彼もまだ

        びっくりしてるし〜〜』


        『もう少し様子を

         見てあげよぅ〜?』



        『そのような

         時間はないのです。

         ラファ。』



         『もうじき』


    『王国の"召喚"が始まるのですから。』




3人の女性の声が耳に聞こえる中、金髪の少年は言葉を口にしていた。



        「あの……ここは…?」



すると、黒と緑が混じった髪色の白いロングローブを着た女性が淡々と答える。



     『ここは、異界と異界の管理空間。

      惑星オリジンにおける天界です。』


     『ワタクシたち天使は

      その管理を仰せ遣っております。』



   挿絵(By みてみん)




       「天界……?惑星?天使?」


       「あなた達は、いったい

        何を言ってるんですか!?」


     「僕は東京に居たんです!

      あ!ほ、ほら!

      その、なんかテレビの撮影とか……」


    「あ!最近話題の

     ニューチューバーとかの企画ですか?」


      「だってほら!

       その頭に浮いてる輪っか……

       アレ…本当に浮いてる…?

       おかしいなぁ、はは…」


      「最近の技術って凄いなぁ〜!」



 『フンッ。』 『……。』 『ええっとぉ……。』



      「はは、あれ……違います…?」



何も言わずにただ見つめる白いローブを着た3人の天使を前に、西木太陽《にしきたいよう》は冗談まじりに茶化していた。



      「なんで僕はこんな所に……」



動揺する少年に、ピンクのショートカットヘアーの女性が荒々しく口を挟む。



    『アンタは死んだのよ。

     それで、タイミングが良かったから

     地球《アース》の神──』


     『テラ様からお願いされたのよ。』



        「し、死んだ?神?」


  「あの、さっきからなんのことかさっぱり……」


     「僕、夢でも見てるんでしょうか?」



        『そんなわけないでしょ。

         アンタ、バカなの?』


          『ここは現実』



自身の両手を眺める少年に、今度は水色をした癖のある長髪の女性が答える。



    『あわわぁ〜ごめんね〜〜。

     こんなことに巻き込んじゃうのわぁ〜

     ホントに不本意なんだけど〜。』


     『ヤハヴェ様が

      何もおっしゃらないってことは〜

      仕方がないことなんだぁ〜〜。』



        「あの、だから……」


   「説明もなく死んだって言われても

    ホントかどうか分からないじゃないですか」



再びターコイズグリーンが入った髪色の女性が答える。



          『貴方は今』


      『魂としての西木太陽《にしきたいよう》さんと──

       我々が用意した──"肉体"

       "ヒイロ"さんとして、

       ここに存在しています。』



           「え?」



         『貴方は一度──』


     『惑星アースで死んでいるのですよ。』


    『そして、オリジンに住む"彼女"によって

     貴方の魂は呼び出されたのです。』



    『つまり、別の肉体へ

     魂だけが宿っている状態なのです。』



    「ちょ、ちょっと待ってください!!」



         『と、言っても。』


    『この肉体は我々が創り出した物なので

     誰かの体を利用している。

     なんてことはありませんのでご安心を。』


      『肉体年齢は三歳下げてますが

       まあ、問題ないでしょう。』



         「こ、こんな……」

    「漫画みたいなことがあるんですか!?」


       「僕はただの学生です!」


      「昨日だって───

       あっ……いや、そんなわけ…」


         「……ウソだ。」



      『思い出されたみたいですね。』


       『貴方は昨日《さくじつ》の朝、

        学校に通われる途中で

        道路に出た子猫を助けて

        車に轢《ひ》かれたのです。』


      『テラ様からは

       そのように伺っております。』



その時、白い空間の地面に置いてある大きな水鏡を覗いていた水色の髪の女性が慌てた様子で叫びだす。



    『ガブリエラ姉さま!

     もう二人目も召喚されちゃったぁ!』



          『──!!』

       《時間がありませんね。》


      《一番重要な彼が最後とは…》



  『それから、この世界を救う勇者である貴方や

   他のお二人にはすでに授けておりますが。

   ワタクシ達からの加護を貴方にも授けます。』



        『さぁ、お手を前に。』



状況を理解出来ていないまま、水色の瞳をした金髪の少年は言われた通りに手を差し出した。



   「……あの、もっとちゃんとした説明を…」



      『そうしたかったのですが…

       もう、時間がないのです。』


       『ワタクシ達は──

        "聖女の信託"でしか

        身言葉《ミコトバ》を残せません。』


    『旅の果てに、聖教会《せいきょうかい》に向かって下さい。

     そこで、聖女の信託を受けるのです。』


    『後は、下界の方達に聞いて下さい。』



        「え?ちょっと!!」


     「何を言ってるのか

      さっぱりなんですけど…!?」



         『ごめんなさい。』


   『どうか。世界を魔の手からお救い下さい。』



         「あのっ───」


        ────バシュンッ。



そうして、白い空間の中に3人の女性を残して、日本人[西木太陽(にしきたいよう)]は[ヒイロ]として異世界転生を果たすこととなる。



─────────────────────────

─────────────────────────




   【スペース2688年──惑星 オリジン】


     【ルインルーナ王国 王座の広間】



惑星『オリジン』にて──

唯一基準値として、高度なレベルを誇る文明が築かれていた王国都市が存在した。


その王国の中心に建つ城の一室にて、国王が煌びやかな座椅子に座っていた。

そして、腰を据える国王に対して、簡素なシャツとズボンを履いた3人の人物が謁見をしていた。




     「其方《そなた》らが、此度《こたび》の異界の者共か?」


  ┏─────────────────────┓

  |     ルインルーナ王国 国王     |

  |                     |

  | [ムー・ビハインド・ニューンズ(69)]   |

  |       [種族:ヒト]       |

  ┗─────────────────────┛



3人の人物に問いかける薄い金色をした髪の長い国王は、肘を座椅子に乗せると、手首を曲げて頬を乗せていた。

その隣には金髪で、煌びやかな装飾で着飾った薄ピンク色のドレスを着た少女が椅子に寄りかかっていた。



   「そうっすよー!マジで国王じゃん〜!」


   「あの綺麗なお姉さんの言った通りだ!」

    「やっべー!全然日本と違うなー!」


    「ここ、ホントに異世界なんだ……

     すっげー!うははっ〜〜!!」


     (しかも、パッキンの

     かわい子ちゃんまでいる〜!!)



短髪の黒髪をした少年は、部屋の装飾や広間の周りに立つ鎧を着た兵士や騎士、白いローブを着た杖を持った人物達を眺めてはしゃぎ回る。



          「ええ。」



一方で、暗い紫髪のインナーに水色のハイライトが多数入っているロングヘアーの少女は、気だるそうな目で国王を見ながら呟いていた。



      「え……あ、はい。その……」


       (この人達も、僕と同じ…

        転生した人、だよな?)


      (なのに、なんでこんなにも

      落ち着いていられるんだ……)



そして、西木太陽《にしきたいよう》こと──

ヒイロは、周りを恐る恐る見ながら受け応えていた。


すると、国王が座る階段の下に立つ白衣を着た紫色の髪色をした女性が3人を見て声をかける。



        「ごきげんよう。」


     「地球から来られた召喚者様。」


    「ワタシは王国の騎士

     メリウス・マーキュリと申します。」 


    ┏─────────────────┓

    |    王国直下 聖騎士(パラディン)     |

    |     九天星(くてんせい) 水星(すいせい)      |

    |                 |

    |   [メリウス・マーキュリ]  |

    |     [種族:ヒト]     |

    ┗─────────────────┛




「うっひょ〜!   「どうも。」 「…あ…ぁあ…」

 異世界美女きた〜!」       (ヘビ……?)


 (しかも、

 セクシーな格好

 してるじゃん〜!

 えっろ!)




3名が階段の上を見上げる中、ヒイロはメリウスと名乗る女性の髪の毛から生える2匹の蛇の姿を見つめていた。



       (装飾?ウィッグとか

        コスプレの一部かな?

        …あれ?

        なんか途中から

        生えてないか!?)


       (もしかして……

        この世界の人たちって、

        ヒトだけじゃない?)


     (そもそも、勇者

      って言ってたから……

      漫画とかでいう

      魔王とかもいるってこと!?)



メリウスと名乗る人物は、顔色ひとつ変えずに手を前に差し出していた。

その手の上には紫色の水晶玉が乗っており、淡々と話を続けていく。



     「これから、皆さんには

      ある検査を受けてもらいます。」


          「魔力」


       「と呼ばれるモノの

        適性を確認し

        称号と呼ばれる

        名付けを行わなければ

        なりません。」



話を聞いていたヒイロは唾を飲み込みながら話を聞いていた。


          「…ごくっ」

     (魔力って……やっぱりそうじゃん。)



      「では、ひとりずつこちらへ。」



水晶玉に手を翳《かざ》していく2人を見つめるヒイロ。

すると、黒髪の少年が手を翳した後に、メリウスと名乗った女性が眉間にシワを寄せながら答える。



         「これは……」



       「え?なんスか〜?」

  「オレっち、そんなすごい結果が出たんスか?」


  「まあ、当然っスよね!オレっちはもちろん」



         「ゆう───」



       「巻き込まれし者です。」



         「へぇあっ?」


   ┏──────────────────┓

   |  召喚者  [巻き込まれし者]  |

   |                  |

   |  転生者  ヒツジダ ヨウ(15)  |

   |  元日本人   羊田(ひつじだ) 洋(よう)(18)   |

   ┗──────────────────┛



その場が静まり返った後、ざわつき始める王座の間にてメリウスは告げる。



         「…………。」

       (なんでこんなモノが。

        ……まぁいいか。)



    「えー……それでは貴方はあちらへ」



      「えぇ…!?え?

       ウソっしょ!?

       だって、普通この展開なら

       お決まりじゃないっスか!」


  「そ、そんなのないっスよおぉぉ〜〜!!!」



肩を落としながらトボトボと歩くヒツジダは、一般兵に端側へと連れられて行った。



         「では、次」



ヒイロが不安そうに見つめる中、気だるそうに腕をぶら下げて歩く少女が水晶玉に手を翳すと、『赤・青・緑・黄・茶・白・黒』の七色に光り輝いていた。



        「うわ…マブっ。」



         「これは──」


      「素晴らしいですよ。

       貴方は七つの属性の魔法を

       扱えるようですね。」


     「貴方は──"賢者"が相応しい。」



          「どうも。」


   ┏─────────────────┓

   |  召喚者    [賢者]    |

   |                 |

   |  転生者   マジコ(15)   |

   |  元日本人  清水(しみず) 真子(まこ)(18) |

   ┗─────────────────┛




歓声と共に盛大に沸き立つ声と共に、ヒツジダは「なんで?ねぇ!オレっちは〜〜!?」と落胆していた。


そして、ヒイロが前へ歩み出す。



         「では、次。」



          ──スッ。


        ピカァァ───!!!



部屋の中全体を照らすように、黄金色やオレンジ、黄色や白い光を大きく放った水晶玉から手を離したヒイロにメリウスは答える。




       「───"勇者"───」




      「貴方は今代の勇者です。」



       「え……ボクが…勇者?」


   ┏─────────────────┓

   |  召喚者    [勇者]    |

   |                 |

   |  転生者    ヒイロ(15)   |

   |  元日本人  西木(にしき) 太陽(たいよう)(18) |

   ┗─────────────────┛



     「え?ちょっと待って…!

      なんでボクが勇者なんですか!?」


     (待てよ。そういえばあの時

      あの天使って言ってた人は──)



➖───────────────────────



 『それから、この世界を救う"勇者である貴方"や

   他のお二人にはすでに授けておりますが。

  ワタクシ達からの加護を貴方にも授けます。』



────────────────────────➖



         「……あ……」


    (なんか違和感あると思ったら

    あの人達、初めから知ってたのかよ…!)


     (僕以外の人が勇者だと思ってた…)



       「どうかされましたか?」



メリウスの問いかけに、ヒイロは「ハッ!」としながら答える。



        「あ、いえ……。」



その時、階段の上に鎮座する国王とその娘である王女が大きな声をあげて喜んでいた。



     「ねぇ、パパ!聞いたー?

      いま!勇者って!すごーい!」


 ┏─────────────────────┓

 |        国王の娘         |

 |                     |

 | [ムー・ビハインド・クレセント(18)]  |

 |      [種族:ヒト]        |

 ┗─────────────────────┛



     「フッホッホ!ああ!何年振りだ!」


   「これで、ルインルーナは報われるのだ!」


        「今宵は宴じゃ〜〜!」

      「其方《そなた》らも参加して行ってくれ」



盛大に喜ぶ国王とその娘の様子を見るヒイロは、王室の一室へと案内されていた。



─────────────────────────



王室に集まった異世界人の3人は、メリウスから説明を受けていた。



       「宴は夜からですので

        それまでに

        この世界の説明と

        貴方方《あなたがた》の

        今後の目的について

        ご説明いたします。」



  「おお〜!」 「あーっす」 「は、はい。」



     「この世界には、"魔族"

      と呼ばれる人類の敵がいます」



      「やっぱ魔族とかいるんスね!

       ほほ〜!マジ上がる〜!」



       「コホンッ。そして、

        魔族には階級があり

        下級魔族、幹部、

        そして──魔王…」


        「…が、います。」



      「魔王って強いんスか?」



        「…ええ、まあ。」


   「そこで、ヒイロさんとマジコさんには

    勇者パーティーを組んでもらい」


  「魔王討伐を目的に旅をしてほしいのです。」


     「また、残りのメンバーは

      こちらで手配しますので。」



メリウスがヒイロとマジコを見ながら話す中──

ヒツジダが大声で割り込んでいた。



     「ちょっと待ったぁぁぁあ!!!」



       「あの?あのー!

        オレっちは?

        オレっちももちろん

        魔王討伐に──」



     「いえ。貴方は大丈夫です。

      魔王討伐までの間は

      この街で暮らしていて下さい」



        「へぇほぉっ?」



      ──チラ。   ──コク。



メリウスは横目で一般兵に合図をすると、付き添っていた2名の兵士によってヒツジダはどこかへ連れて行かれてしまった。



        ──ガシッ、ガシッ!



       「え?なんすか!

        ちょっと…いてて…!」



    「あの、え?ちょっとぉぉおお〜〜!!」



          ──バタン。



その様子を眺めていたヒイロは驚き、マジコが動揺したように尋ねる。



     「えっ…?」  「あの、彼は…」



       「ああ、大丈夫ですよ。」


      「彼には、戦う才能が

       ありませんでしたので

       この街で

       生活してもらえるよう

       国王にお伝えしましたから。

       ……ウフフ。」



感情が乗っていない笑顔で微笑むメリウスは、2人に向かって無表情のまま話を進める。



     「それでは話の続きを────」



そうして、王国に転生したヒイロとマジコがルインルーナ王国に滞在して──

2週間の時が経とうとしていた。



─────────────────────────

─────────────────────────



     【2週間後──王国上街の町中】




青空が広がる白い壁や石で出来た建物が立ち並ぶ中、ヒイロは街の中心にある入り組んだ街中を散策していた。



  「……はぁ。全然訓練しても上手くいかないや」


          (そういえば)

      (ヒツジダさんは元気かなぁ。)


       (あれから音沙汰もないし)


      (上手く馴染めてるといいけど。

       いや、あの性格なら大丈夫か。

       ははは…)



ヒイロが細い通路を通っている時、突然として暗い脇道から声をかけられる。



         「オマエさん。」



          「えっ?」



ヒイロの視線の先には、薄汚れたフードを全身に被る──白髪のヒゲを生やした痩せこけた老人の姿だった。



      「あ、ええっと……

       ボク…のことでしょうか?」


         (物乞い……かな?)



ヒイロの問いかけに、重低音の声色でしわがれた声で答える老人。



          「そうだ。」


        

      「オマエさん。勇者だろう?」



          「──!!」


          「なっ……」

           (ダメだ。)


       (何者か分からないのに

        下手に素性は晒せない。)



動揺するヒイロは平然を装うも、老人は全てが分かっているかのように語り出す。



       「オマエさんのことなど

        どうでも良《よ》いが…

        オマエさんに──」


    「してもらわねばならぬことならある。」



           (…?)



        「良いか。よく聞け。

         一度しか言わん。」



       「二週間後の今日……」



       「"この国は滅びる"。」



謎の老人から発せられた衝撃の言葉に、ヒイロは大きな声で反応すると、辺りを慌てて見渡していた。

しかし、周囲には人気《ひとけ》はなく、老人はヒイロの言葉を遮りながら答える。



        「なっ──!!?」

     (何を言ってるんだこの人は……!!)



    「そ、そんな話、信じられない!!」


       「どこにそんな根拠が…」



       「──根拠ならある。」



     「第一、そんなの……

      まるで、未来が分かってる

      ような言い方じゃないですか!」



    「そうだ。分かっているから

     こうしてオマエに会いに来たんだ。」



         「───!!?」


      「未来を…?あなたは、一体…」




         「いずれ分かる。」


        「良いか。

         二週間後──

         オマエはこの街を

         救うことは出来ん。」


     「だから、それまでにここを立て。」



      「ちょっと待ってください!!」


       「仮に、その話が

        本当だったとして……

        ここにいる人たちは

        どうなるんですか!?」



        「全員死ぬだろうな。」



        「なっ……、救う手は!

         ないんですか…?」




           「ない」



       「──そういう運命だ。」



フードの暗闇から見える緋色の瞳は、鋭い目つきでヒイロを見つめていた。



          「そんな……」


        (嘘くさい話だけど…

         この人の目は

         本気で信じているような

         気迫を感じる……。)


    (仮にこの話が本当のことだったなら…)



       「そうだ!

        今からでもそのことを

        街の人に伝えれば…!」



頬に汗をかくヒイロは焦ったように早口で答える中、老人は声色ひとつ変えずに呟く。



    「平和ボケしたこの世界のヤツらが」


      「それを信じると思うのか?」



       「無駄なことはよせ。」



         ──ピクッ。



老人の言葉にヒイロの顔色が変わる。



         「無駄って…

          なんですか?」



       「あなたは、人の命を

        何だと思ってるんだ。」




           「………」

      「何事にも、犠牲は付き物だ。」


      「そう……仕方がないことだ。」



        「仕方がない……?」


    「犠牲の必要がない世界を求めてるのが」



       「"この国の人々だ"!!!」



       「ボクは確かに。

        まだ、この世界に

        来たばかりで

        知らないことだらけだ。」


         「それでも!!」


    「困ってる人がいるなら助けたいッ!!」



        「この数日。

         たった数週間でも」



      「ここの人達から

       親切にしてもらったんです。」


       「何も分からないボクに

        優しくしてくれた。」



        「だから──

         そんな話を聞いて」


   「"見捨てるなんて選択肢はないッ"!!!」



ヒイロが怒りの表情を見せると、老人は先ほどと変わらない口調で答えていた。




       「大した"正義感"だな。」


   「まるで、アメコミのヒーローみたいだ。」



         「──!!?」


       「なんで、"それ"を……

        この世界の人は……」



      「"どうにも出来やしない"。」



          「オマエは」


      「ただ、魔王を倒す

       目的だけを見ていればいい。」


          「それが──」



    「この世界の平和に繋がるのだからな。」



          ──ザッ……



腰を上げた老人は、さらに暗闇へと繋がる通路の先を向くと答える。



        「ワシはもう行《ゆ》く。」



      「ちょっと、待ってください!

       まだ、聞きたいことが……!」

 


ヒイロが手を伸ばす中──

暗い通路の奥へと進んでいく老人が、振り返ることは無かった。


    

   ─────ギィ───……

 


     「"そこから先"は──

      運命の断片にはないことだ。」



               ───バタン。



扉の閉まる音と共に、人気《ひとけ》はなくなり、残されたヒイロは眉間にシワを寄せたまま、腕を腰の前に上げた拳を力強く握り締めた。



           ギュッ…。


       「…………伝えなきゃ。」



─────────────────────────



        【二週間後───】


      【老人の言葉は現実となり】



       【ルインルーナ王国は

        一夜にして壊滅した】


         【そして──】



      【ヒイロはそこに居なかった】




         【時を同じく】


     【定められた運命によって──】




    【少年たちの物語が 交わり始める】




─────────────────────────



   【ルインルーナ王国跡地より北に88km

    ──窪地隕孔《タマモツキ》の玉藻月面要塞《リムクレータフォートレス》 龍星街《リュウセイガイ》】




夕日が沈み帰った頃──


周辺は何もない広大な大地に、湖面に薄く円を描いたような形をした大地があった。


中心に向かって緩やかに陥没しているその中心地には、荒れ果て荒廃したような薄汚いボロボロの街が崩壊しており、炎で焦げ落ちた街並みと崩れた建物からは多くの血痕の跡が残されていた。


闇夜に瓦礫の音が鳴り響く中──

建物から荷物を漁る人影が2つあった。


ひとりは背が高く、紺色のコートを着た白髪の女性と、もうひとりは、黄緑色の髪の毛にオレンジ色のハイライトが入った一人の少年だった。


荷物を漁り終わると、ふたりは向かい合う。



      「この世界は残酷だ。

       日々、人々は死に絶え


       その度に誰かは後悔し

       帰りを待つ人々は涙を流す。」



      「オレは……救えなかった。」 



涙を流す少年に、真っ直ぐな瞳で見つめる女性は声をかける


       「そんなことはない。」

    「キミは、ワタシを救ってくれた。」



  「でも!街のみんなや……おやっさんは……!」



     「確かに。失った命は戻らない。」


         「だからこそ」


     「託された我々は、彼らの分まで

       生きなければならないんだ。」



    「サーチ。ワタシと共に来い──

     あの機屑物《ガーベマジル》を倒す為に、強くなれ。」



     ┏───────────────┓

     |    九天星(くてんせい) 宵月(よいづき)     |

     |   [アストラ(33)]    |

     |    [種族:ヒト]    |

     ┗───────────────┛



     ───スッ



女性が手を差し伸べると、サーチと呼ばれた少年は強く握り返していた。


              ──ガシッ。



    「………アストラ。オレ、強くなるよ。」


      ┏────────────┓

      |   機巧技師(きこうぎし)見習い  |

      |  [サーチ(15)]   |

      ┗────────────┛




    「オレが、この世界を変えるんだ。」



   挿絵(By みてみん)




    「星屑ノ欠片(ガラクタ)を見つけ出して

     オレは、星屑《せいせつ》の機巧技師《きこうぎし》になるッ。」

     


   「そして、必ず世界を救ってみせるから。

    おやっさんの代わりに見ててくれ!」



月明かりのように眩しい光に照らされるサーチとアストラ。

   


   「キミはワタシの弟弟子でもあるからな。

    託されたからには死んでも守るさ。」



  「死んだら見れねーじゃんかよ!……へへへ。」



        「フッ。そうだな。」



涙を拭きながら笑みをこぼすサーチに、アストラは微笑んでいた。




   欠片(ピース)1.『ボクは、あの時のキミを信じたい』





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