欠片4.『誓い』
欠片4.『誓い』です!
※本作の「」と間にある───の種類について説明
[]=人物名と年齢、種族、テキスト
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると『四角い囲みのナレーション語り』や『用語説明』
・・=強調
" "=強調、効果音など
─1本=漫画で例えると『場面転換』や『幕間』
➖─➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
─2本=漫画で例えると『時の流れ』
「完成ー!!!」
『やったな!サーチ!』
「おう!ありがとう!!おやっさん!」
無事に造り終えた『破片ノ銃剣』を手にしたサーチは、ツベチカと談笑していた。
"ゴゴゴ"……
"ドゴゴゴゴゴッ"……
と、聴こえてくる地響きに反応する2人。
『最近、やたら多いな』
「オレがココにいる時から、地震なんてなかったよな」
「おやっさん、昔からよくあることなのか?」
『いいや、めったにねぇなぁ』
『それにあったとしても、ここまで多いのは…』
『ハッキリいって、異常だな。』
「そうなんだ」
「もしかして、デッカい機屑物が動いてたりしてな!」
「ヘヘッ」とサーチが笑いながら話していたが、ツベチカはどこか、胸騒ぎがしていた。
『何もなけりゃぁいいが…』
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"ズズゥゥウウン"……
「なあなあ!おやっさん!」
「今から、破片ノ銃剣の試し撃ちに付き合ってくれよ!」
『今からぁ!?』
『今日はもうシメェだっての……帰って酒だ!酒ェ〜!!』
「ちぇっ〜」
『それによ、地響きがすげぇんだから』
『ガキがあんまり出歩くんじゃねぇよ』
『分かったら、さっさと部屋に帰れ』
手で"シッシッ"としてくるツベチカに、サーチは拗ねる。
「ならいいよ。オレ一人で行ってくるし。」
『たくっ…もうお子ちゃまじゃあるめぇし』
『日没までには戻ってこいよ』
『………』
『おい、サーチ』
「…なんだよ」
『きぃつけろよ。』
ツベチカの真っ直ぐ見つめる瞳を見て、少しだけ戸惑うサーチだったが、内心どこかで腹が立ってた。
(まーた子供扱いしやがって)
「分かってるって」
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"ズズゥウウン───"ズズゥゥウン──!!
「まだ鳴り響いてるな」
「それもさっきよりも大きい…?」
(音がかなり近く感じるな)
サーチはリュックを背負い、いつも行く狩場に来ていた。
谷先から、北東全体に森が広がっているが、そこから西に2km進むと、巨木が現れる。
その巨木の奥には大きな湖があり、深峡岩要塞の住民はそこで飲み水を確保していた。
そこには草獣型の在屑物もよく飲み水場として訪れており、その在屑物に、サーチは自作した破片ノ武器の試し撃ちなどをしている。
「さーて、今日はどうかな」
「アレ?」
いつもは水を飲みに来ている在屑物がいるはずだが、今日はいくら待っても現れることはなかった。
"ズズズゥゥウウン"──
「珍しいな」
「このデッカい地響きで、みんないなくなっちゃったのか?」
"ズドォォォォンンン"!!!!!
"ズゴゴゴゴゴッ"……!!!
その時、深峡岩要塞の方角からとてつもない衝撃音が鳴った。
「なんだ!?」
「あっちは街のほうだ…」
「みんな…!!」
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"ゴゴゴゴゴッ"!!
"ドゴゴゴッ"……!!!!
未だ鳴り止まない轟音と地響きが聴こえる深峡岩要塞に、サーチは必死に走った。
「…ハァ……ハァ…クソっ」
「何が起きてるんだ……?」
「……ただの地震じゃなかったのか…?……ハァ…」
「おやっさん……無事でいてくれよ!!」
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【象岩亀の活動開始から71時間後】
サーチの目に飛び込んできた光景は、衝撃的なものだった。
それは、まるで山が動いているかのような光景だったからだ。
しかし、山のよう見えた巨大な生物は、深峡谷を崩しながら直進していく。
「は?」
「なんだよアレ……」
(山……?いや、今はそんなことは関係ない)
(なんであんなもんが動いてんだよ……)
(まさか…ほんとにでっかい機屑物だってのか……?)
(いや、それよりみんなは!!)
(どうなってんだよ……!)
「おい……やめろよ…」
「そこはオレの……故郷だぞッ!!!」
「おやっさん!!みんなッ!!!」
(みんな無事なのか……?)
依然として歩みを止めない象岩亀。
深峡谷の入り口に立ったサーチは、絶望していた。
入り口の周りには、多くの瓦礫の山があり、崩れ落ちた瓦礫の隙間からは……赤い液体が地面まで流れていた。
「誰か……無事なのか?」
「誰かー!!返事をしてくれッー!!!」
「おやっさんー!!」
「みんなー!!……誰でもいいから…返事をしてくれよ…」
頭をよぎるツベチカやみんなとの思い出。
瞳から涙が溢れ出てくる。
「……ハァ……ハァ…」
「ハァ……ハァ……うぐっ。……ハッ…ハッ…ぐっ…ハッ……うぅ。」
(オレはただ、眺めてることしかできない……)
何もできない無力感と、目の前の光景に胸が締め付けられる。過呼吸になりその場に伏せるサーチ。
薄れゆく意識の中で、少年は怒りに燃えた。
その時、背筋に電撃が走ったような痛みを感じた。
"ジリッ"!!!
「うっ……ッツ…」
【この日 一人の少年は復讐を誓った。】
「ハッ……ハァ…」
「……してやる…」
(ぶっ壊してやる……!!!)
「ハッ……ハッ……ハッ…」
(ヤツら全員ぶち壊すッ!!!!!)
「ハッ……うぐっ…ゆる…さねぇ…。……ハァ……オレの大切なもん…を…」
「……奪った……や…ら…」
ドサッ……。
スタッ…スタッ……
倒れたサーチの元へ、足音が迫ってくる。
しかし、彼の意識はもうなかった。
「………。」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
序章─旅立ち─はもう少しで終わります!
ここまで長かったですが、サーチの冒険はこれから動き始めます!




