欠片3.『その一片』
欠片3.『その一片』です!
※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明
[]=人物名と年齢、種族
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明
・・=強調
" "=強調、効果音など
ー1本=漫画の場面転換、幕間
➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
ー2本=漫画で例えた時の流れ
[現在]
【ー象岩亀の活動開始から72時間後】
【その日 人類にとって二度目となる】
【歴史に残る大災害となったー】
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【象岩亀の活動開始から45時間後】
【白壁要塞の襲撃が起こった】
【それから20時間後】
【サーチが住む深峡岩要塞の人々は、白壁要塞で起きた出来事を知ることはなかった】
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【同時刻 とある場所】
顔が隠れている人物は、何かを感じたように呟いた。
「だって」
「できないのだから」
・・・
「…_フフッ」
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[現在]
【ー大災害より一ヶ月後】
「コマース公爵、調査報告書をどうぞ」
【大要塞 極子水星要塞】
大きさは、ルインルーナ王国の3分の1程度しかなく、大要塞の中で最も小さい要塞である。
この大要塞を治める公爵に、兵士が報告所を手渡した。
「ああ、ありがとう」
大要塞 極子水星要塞 公爵[コマース(32)]
[種族:ヒト]
(象岩亀の進行により)
(白壁要塞が壊滅)
(生存者報告なし…か。)
・・・・ ・・
「1ヶ月前の大災害……その一片でここまでとはな…」
「ひどい有様だったのだろう」
【白壁要塞の死者は1万人以上にも及び】
【災害当時 各要塞に知らせが届くことはなく】
【かつてそこに存在したであろう】
【白壁要塞の跡地に派遣された調査員たちによって確認された】
「しかし…ーの再建の目処は、立っていないらしいですね…」
「ー……………あたりまえだ」
「それに、この大要塞にも問題はある…!」
「ヤツが来てから…クソッ!」
「今は…」
「こちらが出来ることは、何も無いんだ。」
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【象岩亀の活動開始から58時間後】
【深峡岩要塞から北東142km地点ー】
"ズズゥゥウウン"…!!
"ドゴゴゴゴゴッ"……
地面を踏み締めた跡には、大きな凹みができており、顎先が尖った形状をしている為、岩壁を削りながら進行する象岩亀。
それに呼応して、鳥翼型の在屑物や鎧翼型の機屑物が、羽ばたいて逃げ出す。森の中では様々な在屑物や機屑物が、悲鳴を上げ逃げ惑っていた。
象岩亀の勢いは止まらない。その足は深峡岩要塞および、ルインルーナ王国を目指していた。
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『サーチ、今日は破片ノ武器の改良だったよな?』
ツベチカがサーチに問いかけた。
「そうだ!結局できたコイツは、まだ未完成なとこが多いからな」
そう答えると、サーチは破片ノ武器を取り出した。
「ヘヘヘッ どうだ!このフォルム!」
「そしてこの光沢!!」
「んふぅ〜〜///たまらん!!」
「何度見ても惚れ惚れするなぁ〜」
興奮と笑みを抑えきれないサーチに、ツベチカが問いかける。
『でもよぅ、ソレはまだ未完成なんだろ?』
『ほれ、さっさと入れろい』
「……。」
ツベチカが、溶鉱炉に入れようと促してきたが、サーチはなかなか頷かない。
「いいじゃんか!少しくらい鑑賞に浸っても〜…」
「ぅぅぅう…。」とツベチカに泣きつくサーチ。
「これからコイツは…一度死ぬんだぞ…!」
「はぁ……」
「3年前…いろいろ考えた結果、この銃剣の形にたどり着いて造ったんだ」
「そりゃ〜思い入れもあるだろ〜?」
サーチはその後も、「うわぁぁぁん〜…」と大声で嘆いていた。
『はぁ…』
『毎度のことながら、オマエの破片ノ武器愛はすごいな…』
呆れるツベチカのことは気にせず、サーチは愛銃の『破片ノ銃剣』に、頬を擦り付けて泣き喚いていた。
『破片ノ銃剣』
機屑物や在屑物からでる破片を利用した、白い装甲をした銃剣。
持ち手の部分は一部、木材を合わせているため茶色をしている。他にも銃の基盤は木材でできており、上側を覆うように、白い装甲をまとっている。
銃口までの距離は、ショットガンとライフルの中間くらいの長さをしており、通常の銃剣よりも横幅が広い。
これは銃口が横に2つ存在しているため広くなっている。
そして、銃口の下には破片でできた、鋭い刃がついている。見た目は出刃包丁の大きさを、より大きくして…逆刃、逆さまに取り付けたような見た目になっている。
『ところで、その銃剣はどう未完成だったんだ?』
「んーと…今の破片ノ銃剣はさ」
「銃口が二つあるから横幅が広いだろ?」
「だから持ち手も広くて…オレの手の大きさだと、ちょっと使いずらかったんだよね」
「それを今回…銃口を縦に二つ、縦幅が長細いものにしたらさ」
「コンパクトで持ちやすいかなって思ったんだ!」
『なるほどな。』
『よし、ワシも手伝ってやるから、さっそく作業に取り掛かるとするか』
「ほんとか!よっしゃー!」
そうして2人は、破片ノ銃剣の改良を始めた。
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【ー象岩亀の活動開始から60時間後】
【深峡岩要塞から北東117km地点ー】
象岩亀が深峡岩要塞に辿り着くまで…あと12時間。
『破片ノ銃剣』の読み方の間が空いてますが、ふりがなの都合上なので今までのもの全て続けて読むのが正しいです!