ワタシはここに書き記す──
挿絵の解像度はサイトの関係で
元の絵をスクショしてるので荒いです。
【800年前】
【空から降り注いだ『星屑』によって】
【人類が支配していた
世界に終わりを告げた】
【星屑の影響により
『機屑物』が誕生し】
【人類は何度も戦いに敗北した】
【そして───
人類は数を減らし】
【機屑物から隠れて生きながらえてきた】
ーmmm∫1.
─────────────────────────
【オリジン1888年】
暗い地下空間にある研究室にて、机の前に座る人物は分厚い本に筆を綴らせていた。
「これでいいだろう。」
「これからの人類に」
「頑張ってもらわなければ。」
パタン──
──コト。
本を閉じた人物は、筆を置くとその場を立ち去った。
「ワタシの、物語の為に」
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欠片1.『■■、何者にもなれなかったあの日の少年』
【スペース2688年──惑星 オリジン】
【窪地隕孔の玉藻月面要塞 龍星街】
周辺は何もない広大な大地に、湖面に薄く円を描いたような形をした大地があった。
中心に向かって緩やかに陥没しているその中心地には、荒れ果て荒廃したような薄汚いボロボロの街が立ち並んでいた。
───"カァァン"
───"カァァン"
工房のような鍛冶場には、レンガでできた大きな竈があり、火にかかる薪がくべられてあった。
その横には石で出来た台や工具箱が置いてあり、背丈は小さいが体格が良く、少し尖った耳に赤茶色の髭を生やした男が金槌を振るっていた。
『………フンッ。』
「………。」
(スゲェ集中だ)
部屋の中の温度はかなり高温だったが、彼から感じる集中力は凄まじく──
その背後には黄緑色の髪の毛にオレンジ色のハイライトが入った少年が立っていた。
「おーい!」
『……』
男からの返事はない。
「ツベチカのおやっさーん!!」
「聞いてんのか!」
『……』
「おやっさんてば!!」
『──ん?
なんだ、サーチか』
『いつからいた』
┏───────────────┓
| 機巧技師 |
| |
| [ツベチカ(56)] |
| [種族:ドワーフ] |
┗───────────────┛
「さっきから呼んでるのに
無視されてるっての!!」
┏────────────┓
| 機巧技師見習い |
| |
| [サーチ(12)] |
┗────────────┛
『すまんすまん!』
『全く聞こえんかった!』
『ガッハッハッハ─!!』
サーチが機嫌悪く話すとツベチカは大声で笑っていた。
その様子を見てソワソワした様子でサーチは質問をする。
「おやっさん」
「前に見つかったのは──
"星屑ノ欠片"だったのか?」
『……いやぁ〜
ただの"破片"だった。』
「そっか。」
「また違ったのか……クソッ。」
『……サーチよぅ。』
『オメェ……
まだあの夢見てんのか?』
「………」
「…うん」
「オレは、絶対に"星屑の機巧技師 "になる!!」
「幼い頃に見た……」
「本に書いてあったんだ。」
「この世界が機屑物に支配されて800年──」
「大昔に機巧技師が
星屑ノ欠片を使って造った伝説の武具──」
「それが"星屑"だ」
「機屑物の硬い装甲をも
簡単に破壊できる武器。」
「800年前の星屑の機巧技師達は
星屑を王国の九人の『聖騎士』に
渡して機屑物と戦った。」
「そして、彼らは勝利しかけた……」
静かに聞いていたツベチカが、遮るように喋りかける。
『だがぁ、強力な力をもつ機屑物に敗れた』
『だから今も、細々とこうして
オレ達は戦い続けてんだろ?』
「……オレは諦めない。」
「どこかにきっとあるはずなんだ……!」
「まだ見つかってない……」
「星屑ノ欠片があるかもしれない!」
『だったらどうしたってんだ。』
「見つけ出して──」
「ヤツらをぶっ壊す星屑を造る!!!」
『だが、それでもヤツらには勝てねぇよ』
『歴史が語ってんだろ』
「なら……」
「伝説の星屑を超えるもんを──」
「オレが造ってやるよ!!」
『………。』
サーチを見つめるツベチカの表情は真剣な眼差しをしていた。
しかし、すぐに煽るように作業へと手を戻していった。
『フンッ。』
『オマエみたいなヒヨッコじゃすぐに死ぬぞ』
『おとなしくここで
破片の武器でもつくっとれ』
「ハッ!やだね!」
「オレは、いつかここを出て──」
「星屑ノ欠片を探す旅に出る!!」
「そんで、ヤツらをぶっ壊す──」
「星屑を造るのがオレの夢だ!!!」
『………』
作業に戻るツベチカは手を止めると、落ち着いた声でサーチに呟いていた。
『テメェみたいなガキにゃあ、まだはぇよ。』
─────────────────────────
【3年後──】
サーチは自室にて、古びた用紙に記述された新聞を読んでいた。
「──ルインルーナ王国が
聖騎士たちを各大要塞に派遣……」
「ふ〜ん」
「まあ、ここは関係ないしな〜」
【ルインルーナ王国を中心とし──】
【各地に八つの巨大な要塞が存在する】
【八つの要塞の周辺には
小規模な要塞がいくつか建設され】
【サーチが住む玉藻月面要塞も
その内の一つであり、
ルインルーナ王国の近くに
存在している】
─────────────────────────
【玉藻月面要塞より──
北東200キロメートルにある要塞】
【───白壁要塞】
半径500メートルの街を囲むように、高さ50メートルの白い壁に覆われた要塞『白壁要塞』が存在する。
湿度が高く低地にあるため、土地全体に霧がかかりやすく、高い壁を築くことで見晴らしを良くしている。
さらに、壁の上には──
固定砲台である『破片砲台』が設置されているため、機屑物への迎撃が可能な要塞の一つである。
"ズズゥゥゥン"────…
───"ズズゥゥゥン"……!
遠方から大きな音が鳴り響く中、壁の上に立つ見張りの兵士の足元にも振動が伝わってきていた。
天候は悪く、霧きりがかかっている中──
見張の兵士がその異変に気が付く。
「……ん?」
「なんだ、あれは……」
「──なッ!!
これは──!!」
壁門の上にある見張り台から双眼鏡を覗いていた兵士は、すぐに門下の側にいる兵士へ叫ぶ。
「遠方三〇〇メートルから大小合わせ」
「獣攻型の機屑物が多数接近!!!」
「"門を閉めろ"!!!」
すぐさま壁門の上にいる別の兵士にも伝令をする。
「オマエはすぐに大隊長に知らせろッ!!」
「──はいッ!」
「残りの者は上から迎撃だ!
"時間を稼ぐぞッ"!!」
「門の突破を阻止しろ!!」
兵士たちはすぐに破片ノ武器を手に取り、門上にある破片砲台に、機屑物から採れた破片を粉末状にし、火薬と混ぜ合わせて作った砲弾を補充し始めた。
「"撃てェェェッ"!!!」
"ドォン"──!!
──"ドン"!
──"ドドンッ──"!!
大きな音と共に発射された砲弾は、迫り来る機屑物目掛けて放たれる。
いくつかの小型の機屑物は倒れていったが、中型や大型の機屑物は破損はあるものの──その動きは止まらなかった。
数分後、大隊長が壁門の上に到着した。
「視界が悪いな」
「おい、筒鏡を貸せ」
┏───────────────┓
| 大隊長 |
| |
| [オーディナル(42)] |
| [種族:ヒト] |
┗───────────────┛
オーディナルは迫り来る機屑物を確認すると共に思考を巡らせる。
(なんでいきなり)
(こんなにも多くの機屑物が……)
(ヤツらは一体、どこから来たんだ)
(目的はなんだ)
(しかも、全て獣攻型だと……?)
「これは、異常だ……」
(獣攻型の機屑物は
人や在屑物を襲うが……
それはただ捕食が目的であって)
(例外はあれど……
狩り自体は単独で行動をする)
「それなのにどうして……こんなに」
「で、でんれっ…ぃ…ハァ…ハァ……」
「"伝令"──!!!」
北側から息を切らしながら、歴史生物図鑑の「ウマ」に似た『屑甲馬』に乗って来た兵士が告げる。
「ココより北──
四五〇キロメートルにある
『機屑巨躯の大地』が、
突然動き出し………
こちらに迫って来ています……!!!」
「──どういう事だ!?」
「大地が動くなんて
そんなことあるわけ無いだろうッ!!」
「それが…」
「とてつもなく巨大な──」
「甲鎧型の機屑物が出現しました……」
「なんだと……!?」
「見た目は……」
「亀のような姿をしており
突然大地が揺れると──」
「周辺一体の大地ごと起き上がると
こちらに向かってゆっくりと進行し始めた。」
「──と、中間要塞観測機関所の
兵から伝言がありました!!」
「…………。」
「……間違いないのか?」
「は、はい。」
「こちらにくる途中……
この目で見ましたので。
………間違い、ありません。」
「推測でも……
大きさは、五〇〇メートル以上は
あったかと……」
「五〇〇メートルだとッ!?」
「はい。」
「中間要塞観測機関所によると
この機屑物は"象岩亀"ではないか。と……」
話やや聞いていたその場にいる兵士たちは、皆呆然としていた。
「バカなッ──!!」
「それは、伝説上の……!」
「過去の書物に書かれた──
"怪物に過ぎないハズだッ"!!」
歯を噛み締めるオーディナルは、拳を握ったまま選択を迫られていた。
(今から住民を避難させるにも
……間に合うのか…?)
(すぐ目の前に、獣攻型が
たくさんいるってのに……)
(どうすれば……)
"ズズゥゥゥン"───!!
──"ズズゥゥゥン"!!!
"ゴゴゴゴ"………
地面が割れるような地響きは──先ほどよりも近づいていた。
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─────────────────────────
【象岩亀の活動開始から71時間後
────サーチの故郷 玉藻月面要塞】
街中に現れた多くの獣攻型の機屑物によって街は壊され、人々は逃げ惑っていた。
混乱の最中──
ツベチカは大きな白い斧を背負うと、サーチと会話をしていた。
『サーチィ!!
オメェはここから逃げろッ!』
『みんなと一緒にここを捨てるんだッ!』
「おやっさんは!?」
「おやっさんはどうすんだよ!!
それに、この状況で逃げろって……」
「街も!みんなも襲われてる!」
「助けなきゃ!!」
『いいか。』
『今は自分のことだけを考えてろぃ。』
『街の脇まではオレが連れてってやる。』
「でもっ!」
『オメェを拾って十年──
今まで言ってなかったけどなぁ……』
『これでもオレァ!
昔は王国の騎士を務めてたんだぜ。』
「えっ?」
『ただのガラクタオヤジじゃねェっつってんだ!』
『バァヤロォ。』
『荷物まとめたら行くぞ。
オメェの武器も持ってけ。』
「う、うん。」
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『準備出来たか?』
「うん。」
サーチとツベチカは崩壊していく故郷を見ながら走り始めた。
『……チィ。』
《クソッ──数が多いな。》
シュバッ──
───"ザンッ"──!!
"ガシャァン"……バチチ…チ……
大きな白い両刃の斧を振り回しながら、真っ白の装甲をした肉食獣の見た目をした機屑物を切り裂いていくツベチカ。
「す、すげぇ…」
(おやっさんが……
こんなにも戦えたなんて知らなかった)
『──グルルルッ……ガァ─!!』
サーチがツベチカの後を追いかけていると、通路の横から「ハイエナ」の機屑物が飛び出して来ていた。
「──!!」
(オレだって!)
ガチャ──
"パパァ──ン"!!
横に飛び、機屑物の噛みつき攻撃をかわしながら、サーチは背中に背負っていた『銃剣』を取り出し──銃口上部をコッキングするとそのまま引き金を引いた。
"ズビュビュ"──
──"ボチュ"!!
ショットガン型の銃口から放たれた2つの銃弾は、ハイエナの姿をした機屑物の胴体に大きな穴を空けていた。
──バチィ……!
……バチチチ……"ガシャァン"。
「ハハッ、やった!」
その場に倒れる機屑物とサーチ。
擦り傷を負いながらも、目の前で複数の機屑物を切り倒していくツベチカの後を追っていた。
「……ハァ……ハァ…
……ゴクっ。」
(なんとか動けたけど、
あとちょっとでも遅かったら
噛みつかれてた…)
(それに、仕留め切られたのも
改良して軽くなった──
この『破片ノ銃剣』のおかげだ)
「……フゥー。はやく、
おやっさんに合流しなきゃ…」
スゥゥゥゥゥゥゥ────
サーチがツベチカの方へ向かっていたその時──
ツベチカは目の前の機屑物を倒した後に振り返っていた。
その瞬間──ツベチカの視界には、サーチの背後から迫る巨大な影を捉えていた。
──────ゥゥゥゥゥ……
『───!!!!!』
《……なん──だと…!?》
《なんでいきなり……》
・・・・・
《そんなもんが現れやがるッ!!?》
……"ググッ"……
バッ──!!
パッ──"ガシィ"!!
「──えっ?おやっ」
────"ブンッ"──!!!
「──うわっ!」
───ズシャァァァァ……
暗い影がサーチを覆い尽くす寸前──
ツベチカはサーチの元へ一歩で駆けつけると、勢いよく腕を掴んで自身がいた方向に投げていた。
────"ググググググゥ"………
『……ハァッ!ハァッ!
───ッ───……』
──ガバッ!
「何すん──」
放り出され地面に這っていたサーチがすぐに振り返ると、そこには巨大な何かが頭上に乗った状態で、ツベチカが両手で支えている姿が視界に捉える。
「は?」
(なんだよ、あれ)
スッ──
「───!!!!!」
サーチが頭上を見上げると、四足歩行でその場に立つ巨大な「カメ」の姿をした機屑物の下側が見えていた。
「……なんだ……コイツ…」
『サァ"ァ"ァ"ァ"チィッ──!!!』
「──ハッ!」
「おやっさんッ!
早くそこから……」
『ムリだァ……ハァ…ハァッ……
オレは、ここから動けねぇ……。』
「なにいって……そのままじゃあ!」
───"ズズゥゥゥゥ──ン"───
一足──50メートルは超える足の裏に押し付けられているツベチカは、その重みによって地面へと凹み続けていた。
『ヌ"ゥ"ゥ"ゥぅ…!』
『ウグゥ…ッアッ!!
……ハァッ、ハァ…』
顔中から汗がこぼれ落ちる中、目を瞑ったツベチカはサーチを優しい眼差しで見つめていた。
『サーチ。よく聞け。』
「──え──」
『オレァ……』
『オメェの夢が…
──叶うと信じてる。』
「おやっさ───」
──"ズズゥゥゥゥ──ンッ"!!!!!
ツベチカが微笑むと、手を伸ばすサーチの声を遮るように静寂が辺りを包んだ。
実際にはサーチのみが体感している出来事であり、周囲には人々の悲鳴と大きな地響きは鳴り続いていた。
(──は?)
(なんだ?)
(あれ……おやっさんは)
(なんで目の前に、いないんだ?)
「さっきまで…目の前に…」
───""ジリッ""───
「……ッ!!」
首元に近い背中に電撃のような痛みを感じたサーチは視線を下に逸らす。
その背中の辺りはオレンジ色の光で光っていた。
そして、再び目の前を見るサーチの目の前には──
ツベチカの片腕が落ちていた。
「おやっさん?」
「……うぁ…」
(あれ…)
「……ハァ……ハァッ──」
(なんだ…?)
(なんだよ、これ。
さっきまで一緒に……)
「……うぐっ……」
(そこに、いたじゃんかぁ……!)
「……ハァ…ぅぐっ。……ハァ…!
おいッ──!!どけよっ!!」
「そこをどきやがれッ!!
この"カメ野郎ッ"!!!」
涙を流しながら、目の前に反り立つ巨大な銀色の装甲に向かって拳をぶつけるサーチは、装甲に擦れて血が流れるほど拳を叩きつけていた。
──"ガンッ"!
──"ガンッ"!!
しかし、『象岩亀』はピクリとも動かずにただその場に立ち尽くしていた。
「なんで……」
「オレなんかのために……」
➖───────────────────────
『おう。どうしたァ?
あぁ?この前、工房貸してやったろ?』
『またァ〜?
仕方ねぇなぁ……たくっ。』
『で、なぁに造ろうってんだ?』
────────────────────────➖
「………おやっさんは…」
➖───────────────────────
『オイ、メシィ行くぞ。
さっさとしねーと置いていくからなぁ』
『忘れてねぇよなぁ〜?
──ガッハッハッハ!』
『今日は、オメェの奢りだろうがよ!』
『あぁ〜!?バァヤロッ!!
先週も、その前も
オレが払ったじゃねぇか!』
『このッ──!!』
──ゴチンッ!!
「いってぇぇぇぇ〜〜!!
へへへへっ、分かったよ!」
「仕方ねぇなぁ!」
────────────────────────➖
「オレの……」
➖───────────────────────
「なぁなぁ、ホントに星屑ノ欠片見つかるかな?」
『ホシクズか?』
『ありゃ〜800年前から見つかってねェんだ。
そんなほいほい見つかるかっての、バァヤロ。』
「でも、わかんねーだろ!」
「オレが大人になったら!
ここから出て、旅をして探すんだ!」
『ハッ、テメェは
その辺の機屑物の糞にでも
なっちまうかもなァ!』
「なんだとぉー!?」
「見とけよッ!!
ぜってー!見つけてやっから!」
『ガッハッハッ!!なら……
オレはまだまだ、
長生きしなきゃなんねぇな!』
「おうっ!」
「オレが星屑を造る時
おやっさんに見届けて欲しいんだ!へへっ!」
『………。』
「ん?おやっさん?」
『いや!なんでもねぇ!』
『それまでに、オレ様が
おっ死んでなきゃいいけどなッ!』
「おやっさんがしぬかよ〜!」
「ここは機屑物もめったにでねぇし
年中酒ばっか飲んで暮らしてんのにさ」
────────────────────────➖
「たったひとりの……家族だったんだ。」
……グググゥ…ガリリ。
地面に爪を立てながら拳を握るサーチ。
「返せッ──!!!」
──"ガンッ"!!
……ピチャ…。
「──"返せよォォオッ"!!!」
──"ガァァァァンッ"!!!
……ポタ……ポタタ……
地面に落ちる赤い血と、地面の色が濃く変化していく様子をサーチは眺めていた。
──スゥッ
空を見上げるサーチの視線は、空高く首を伸ばす『象岩亀』を睨んでいた。
距離が離れて見えるハズもないサーチには、『象岩亀』が自身を見つめているように感じていた。
[活動限界が近いため セーフティーを発動します]
「……うっ……」
(なんだ……意識が……)
(まだ…コイツを……)
「……覚えてろよ……ぅ"ぅ"……!!」
「オマエは……オレが……!!」
「かなら──」
「ず……」 ──ドサッ。
(オマエは……)
(オレが……ぶち壊してやるッ……!!!)
(だから)
("待ってろよ"……!!!)
突然意識を失ったサーチに、『象岩亀』はただ見つめていた。
──ザッ──ザッ
「この子が……」
そして、サーチの元に紺色のコートに白髪が覗く何者かが立っていた。
─────────────────────────
─────────────────────────
【3日後】
星空の下で目を覚ましたサーチの側には、白髪のポニーテールに、灰色に汚れた白い服を着た女性が、簡素な料理を作っていた。
「目が覚めたか。」
サーチの体中には包帯が巻かれており、頭痛の痛みに耐えながら目の前の女性に質問していた。
「…アンタだれだ…」
「──!そうだ!
みんなは…」
「──おやっさんはどうなったんだ!?」
スープを器に装い、黒いブーツでサーチの元へ寄る女性は声色一つ変えずに答える。
「生き残ったのは我々だけだ。」
「は?」
「おやっさんが死ぬわけ…」
──"ズキンッ"!!
「ウッ……!」
「まだ安静にしていろ。
余計なことは考えるな。」
「余計な……こと、だと…?
オマエッ!おやっさんは──」
「おやっさんは…」
────"ゾワァァァ"────
目の前で踏み潰されたツベチカの光景を思い出すサーチは、吐き気を催していた。
「……おげぇぇぇぇ…」
──ビチャチャ。
「……ハァッ…ウソだ……
……ハァッ……。」
「少し落ち着け。」
「"落ち着いてられるかよッ"!!!」
「おやっさんや街のみんなが!」
「……あの後…どうなったんだ…!
オマエはそこにいたのか?」
「今のキミには
何を言っても受け入れ難いだろう。」
「だが、事実のみを伝えてやる。」
「キミの故郷はもうない。」
「滅びた。……と、言った方がいいか。」
「そして、ルインルーナ王国も滅びた。」
「は?」
「あの巨大な機屑物は
キミが意識を失った後──
王国に向けて動き出した。」
「──もう、三日も前のことだ。」
「王国は崩壊し、壊滅。
生き残りの確認は不明──
その場には今も尚、
あの機屑物が佇んでいるままだ」
「なら──今からアイツをッ!!」
──ググ……バッ!
──ドサッ……。
立ち上がったサーチの足元はおぼついており、数歩歩いた後に倒れてしまっていた。
「何をしている?」
「なにって……
……くんだよ。」
「"今からアイツ"を…」
「──"ぶっ壊しに行くんだよッ"!!!」
「キミがか?」
腰をついて片膝に腕を乗せる女性を睨むサーチ。
──キッ。
「なんだよ……文句あんのかよ。」
「力を持たないキミに何ができる?」
「なにもせずに見てろっていうのかよ!!」
「──急いては事を仕損じる」
「"あぁ"…?」
「急いだところでそれは失敗し
みすみす機会を逃してしまう。
と言う昔言葉だ。」
「今のキミが向かったところで
何も出来やしないだろう。」
「ただ死ぬだけだ。」
「……"なら"、"どうしろってんだよ"。」
「キミが決められないのなら
ワタシが決めてやろうか?」
「……ギリッ。」
悔しそうに唇を噛みながら女性を睨むサーチ。
「ワタシの弟子になれ。」
「はっ?」
「そして──」
「ヤツを討ち取るための力を身に付けろ」
「アンタの、弟子に……」
「そうだ。」
「なんで、オレを」
「ワタシの気まぐれだ」
「アンタのとこで修行したら
オレは強くなれんのかよ」
「それはキミ次第だ。」
「だが、やるからには
戦いの基礎から叩き込んでやろう。
その代わり」
「鍛錬は厳しいと思え。」
唾を飲み込み再び立ち上がったサーチは、木を背にして座る女性の前に立っていた。
「アンタの名前は。」
「アストラだ。」
「アストラ……
オレは、サーチ。」
「……よ。」
「やってやるよ。」
「どんだけきつかろうが……
アイツをぶっ壊せるんなら──」
「"強くなるためになんでもしてやるッ"!!!」
【一筋の流星が流れ落ちる中】
【──その日】
【一人の少年は復讐を誓った】
─────────────────────────
【とある場所──】
薄暗い空間に輝く光に照らされる人影があった。
『ようやくだ。』
『ここから、ワタシの物語は始まる』
『……クク……フフフ…
ハハハハハ──ッ!!』
『全ては…この日の為に』
この後は欠片2へと繋がります。
[次へ]を押されると
他の分岐エピソードへと移行します。




