欠片42.『亡霊』
欠片42.『亡霊』です!
教会から追い出されたサーチが扉の前で立っていると、白い大きな階段を登ってくるアストラに出会った。
「あ!師匠ー!なんでここにいるんだ?」
「さっき、路地街でオマエの姿を見かけた。なにやら、忙しなさそうに走っていくオマエの姿を見て、何かやらかしそうだと思ってな。」
「え……?オレって……」
「そんな、厄介ごとを呼び寄せる悪魔みたいに思われてる……?」
「……」
「え?え?師匠〜〜〜!?」
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【聖堂内 奥の部屋の地下室】
「──定時連絡の時間だ。」
「一旦戻るぞ。」
「ああ、分かった。」
「おい、動くんじゃねぇぞ。クソ亜人がよ」
鎖に繋がれた赤髪の女性は、全身ボロボロになっていた。
『グッ…ウゥッ…』
『情けない…クソッ!!』
『あの〜…大丈夫ですか〜?』
他に誰も居ない空間で、いきなり声が聞こえて来たことに驚く女性。
すると、目の前の背景がホログラムのようにジリジリと光り出した。
次第に背景だと思って見ていた景色が変わり始める。
そして、そこには居なかったはずのユリニトの姿が現れた。
『ヒィアッ──!!』
『な、なに!?だれぇっ!?』
『さっきのヤツらの仲間!?』
『アンタらなんか、必ずおねぇ…姉がボコボコにしに来るんだから!!』
自分のペースでつらつらと喋る赤髪の女性に、ユリニトは困惑していた。
『あっ……、ちょっとちょっと〜待ってください〜!』
『ボクはさっきの人たちとは無関係ですよ♩』
怪しそうに眉をひそめながら、『ジー』とユリニトを見つめる赤髪の女性は尋ねる。
『なら、誰なのよ』
『ん〜通りすがりの商人?ですかね〜♩』
『アハハハッ〜♩』と、笑いながら頭の後ろに手をかざすユリニト。
その反応を見た赤髪の女性は思わずツッコミを入れていた。
『どこにアンタみたいな怪しそうな商人がいるのよ!!』
『アハハッ〜……それはごもっともですねぇ…』
『しかし、今はお困りなのでは?』
『──ッハ!!』
『そうよ!アナタッ!!ここからアタシを連れ出しなさいよ!』
『見ず知らずの、怪しい商人なのに〜〜?』
『うぅっ〜……!!』
『と、とにかく!今は、助けてもらえるならなんでもするから〜!!!』
『なんか喋り方もさっきと違いますね〜。』
『だ、だって……舐められたらいけないと思って…。仕方ないじゃない〜!!うぅ…。』
落ち込む彼女の様子を見て、少し考えたユリニトは答えを出した。
『分かりました。』
《サーチくんはどこかな》
ピィィィン───。
目を瞑り魔力を探知するユリニト。
そして、魔力の波が周囲に伝わると、脳内に広がる暗闇の中に白い線画で表示される2人の姿を発見していた。
《見つけた。アストラさんと一緒か》
『ちょうどいいですね〜♩』
『いま教会の外に、ボクの仲間がいますので。』
『ここから出ましょうか♩』
口元を『ニヤリ』とさせるユリニトに、赤髪の女性の顔は汗をかき口を開けたまま引き攣っていた。
『へっ?』
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【教会前 サーチとアストラサイド】
「なるほど。」
「それで追い出された──と。」
「ああ、何が何だか分かんねーよ」
「……怪しいな。」
「怪しいって?」
「この街、表面上は素晴らしい街だろう?」
「だが、路地裏街の酒場で妙な噂を聞いた」
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「聞いたか?まーた教会から、夜な夜な誰かの悲鳴のような声が聞こえてくるんだとよ……。」
「そ、それって……」
「ああ。なんでも……死者の亡霊なんじゃないかってウワサだ!!」
「………。」
(亡霊……か。)
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「死者の亡霊ー!?」
「いやいや、そんなのいるわけないじゃんー!」
「師匠ってば、そんなもの信じてるのー?ププッ」
ギロッ─。
「タ・ン・レ・ン」
声に漏れないような小さな声で放たれたその言葉に、サーチは怯えていた。
「ヒィィィィ……なんでもないです!なんでもありませんんんん〜〜!!」
"ドゴォォォォォォン"!!!
その時、教会内から大きな物音が聞こえた。
「っへ?」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
見た目とかでネタバレしちゃうことだって…あるよね。。
Xでも愚痴ったけど。。




