欠片38.『金星の縄張り』
欠片38.『金星の縄張り』です!
【岩囲水要塞 路地街】
【サーチサイド】
1人で『聖屑札』を探しに来たサーチは、街の景色に目を輝かせていた。
「スゲェ!!街が徐々にのぼり坂になってってるー!」
「しかも、地面から建物まで周りのもんが全部──」
「まっしろだ〜〜!!」
「ほんっとうにキレイな街だな!!」
「ここを見てると、オレの故郷とおんなじ世界とは思えないな…ハハッ…」
美しい水色の湖畔に囲まれた、白い数々の建造物は、水面の光が反射し、とても神秘的でキレイだった。
さらに太陽や月、星が出ている間は湖畔に反射し、さらに美しい光景となることで有名要塞の1つとされる。
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路地裏街にある、冒険者が集まると噂の酒場に、アストラは来ていた。
室内は薄暗い灯りで灯されており、カウンター席が4つとテーブルが6つ並んでいた。
その内、カウンター席には客が1人。テーブル席には1組の2人の男が座っていた。
「……。」
一番奥のテーブルの上には、ミルクが置かれており、アストラはフードを被り椅子に座って、静かに身を潜めていた。
"ガヤガヤ"──
しばらくして、アストラは2人の男が会話をしている内容を盗み聞きしていた。
「──聞いたか?この先の峠を越えた先にある、白骨屍屑山の町が襲撃されたってよ。」
「その話マジだったのか…。」
「ああ、運良く逃げのびたヤツがいてな、助けを求めてここまできたらしい」
──ガタッ。
「…他の住民は皆殺しだっ…て……」
「ん?」
話をしていた2人の元へ、上から目線で見下ろし、フードの中から鋭い目つきで、睨みつけているアストラが立っていた。
「その話……詳しく聞かせてもらおうか。」
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【ユリニトサイド】
一方ユリニトは馬を預け、馴染みがあった宿を訪れていた。
【外来地区】
少しだけ殺風景な路地だが、辺りには外から来たであろう冒険者たちが、多く行き交っている中、ユリニトは一軒家の前に立っていた。
【宿屋『水上宿屋』】
見た目は宿泊所には見えず、ただの家に見える。扉を開けると『ガランッガランッ』っと、扉の上から音が鳴った。そしてユリニトが目の前にいる猫耳の少女に声をかけた。
『こんにちは〜♩どうも〜お久しぶりです〜♩』
その声に反応して、テーブルの上を綺麗に掃除していた少女が返事をする。
『あー!!ユリニトちゃんじゃない〜!』
『元気にしてたー?』
宿屋店主の娘[リン(15)]
[種族:ハーフ獣人(モデル:ネコ)]
『やあ〜リンちゃん、久しぶりだね〜♩』
『お父さんとお母さんはいるかい?』
『うん!厨房にいるよー!』
ユリニトの質問に、部屋の奥にある厨房の方向を指さして元気に答えた。
『ちょっと呼んできてもらえるかな?』
『いいよー!ちょっと待ってねー!』
リンは答えると、部屋の奥へと消えていってしまった。
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【サーチサイド】
サーチは路地街にあるお店の中を歩いていた。
左右には宝石店や食材、武器売り場などもあったが、そのどれも外装は真っ白で美しい見た目をしていた。
「こんなキレイな店も見たことない…」
そんなサーチに串屋の店主が声をかけて来た。その人物は、茶色の丸い獣の耳をしており、丸い尻尾を生やしていた。
『お?にいちゃん、もしかして外から来たのかい?』
(くま?…の獣人)
(獣人なんて初めてみたかも)
(てか、よく見たら周りの人たちも獣人ばっかだ)
「う、うん!さっき着いたばかりなんだ!」
「この街スゲェーな!めっちゃキレイな街だな!!」
「それに街の人たち全員が、機屑物の脅威からぜんぜん不安そうにしてねぇ!」
『ハハハッ!そうだろう!』
『なんてったってここは、あのヴィーナス様の領域内だからなー!』
「ヴィーナス?あの、八天星の?」
『ああ!そうさ!大要塞彷宵徨要塞に住む女神!!』
『ウェスト・ヴィーナス様だ!!』
『ここは彼女によって、縄張りになっててな』
『何かあったら、すぐに彼女の元へ報告することになってるんだ!』
その話を聞いたサーチは驚いていた。
「へぇ〜!縄張りとかあったのか!」
「てっきり、王国が各要塞からの依頼を受けて、そこから騎士たちを派遣して守ってるのかと思ってた!」
『元々は、各大要塞に住む強者達が、王国の命を受けて聖騎士になったんだ』
『確かにみんな化け物みたいにつえーが……』
『我が領域内を統べる、ヴィーナス様こそが最強なんだ!!』
『あのお方の立ち振る舞いを見たら、オレァ〜……震えちまったぜ!!』
「めちゃくちゃ信頼してるんだな!」
『この街の人々はそうだろうよ!』
『あの人は獣人の差別なんかもしねぇし。』
『誇り高き、勇敢なお方だ!!』
「ウェスト・ヴィーナスか」
「いつか会ってみたいな!」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
実は、グダるかなって…本来、岩囲水要塞のパートは、すべて端折る予定でした。
聖屑札を確保して、進む予定だったんですが、何故か成り行きで話が出来ちゃったので、いま悩んでます。(笑)
現在
書いて良かったかなと思ってます!




