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欠片2.『深峡岩要塞』

欠片(ピース)2.『深峡岩要塞(ディーニオンフォートレス)』です!


※本作の「」と間にある───の種類について説明

[]=人物名と年齢、種族、テキスト

「」=人物の話しているセリフ

『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称

()=人物の心のセリフ

《》=人外、多種族などの心のセリフ

{}=人物の念話

{{ }}=他種族の念話

【】=漫画で例えると『四角い囲みのナレーション語り』や『用語説明』

・・=強調

" "=強調、効果音など

─1本=漫画で例えると『場面転換』や『幕間』

➖─➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸

─2本=漫画で例えると『時の流れ』



【3年後】



深峡谷(ディープキャニオン)


サーチが住む峡谷(きょうこく)は、地上からとても深い地下にあり、深峡谷(ディープキャニオン)と呼ばれている。

かつて人類は、機屑物(ガーベマジル)から逃げるべく、安全な場所を求め、この深峡谷(ディープキャニオン)の岩の中に要塞を創ったとされている。


その要塞(ようさい)を『深峡岩要塞(ディーニオンフォートレス)』と呼び、そこを生活の基盤とした。


しかし、要塞といっても迎撃兵器などはない。

これから先の時代に、いずれできるかもしれないが、一体いつになるのかは誰にも分からない。


峡谷(きょうこく)の地下・最下層には、いくつもの狭い道があり、人々はその道を通って、別の施設や住宅へ移動ができる。

さらに、地上からも地下全体につながる階段が伸びていため、地上にも出ることができる。


そうして、人類は要塞を築くことで機屑物の進行から生き延びてきた。


─────────────────────────



サーチは自分の部屋で新聞を読んでいた。


月に一度届く新聞は、『ルインルーナ王国』から各要塞に届くようになっている。


今では、紙などの資源は貴重な物であり、本もまたその一つだ。人類の歴史や知識を、後世に伝える手段として、大切に保管されてきた。

サーチは働いた資金の大半を、歴史本か破片ノ武器(ウェード)に必要な素材に使っていた。



「──ルインルーナ王国が、聖騎士(パラディン)たちを各大要塞に派遣」


「ふーん」

「まあ、ここは関係ないかな〜」



【ルインルーナ王国を中心とし】


【各地に8つの 巨大な要塞が存在する】



【8つの要塞の周辺には】

【小規模な要塞がいくつか建設され】


【サーチが住む深峡岩要塞(ディーニオンフォートレス)もその内の一つであり】


【ルインルーナ王国の近くに存在している】



その後も新聞を読み進めていると、『グゥ〜』とサーチのお腹が鳴った。



「ハラへったな〜」

広場(ひろば)に買いに行こうかな」


サーチは部屋を後にして、入り組んだ通路を進んで行く。


深峡岩要塞(ディーニオンフォートレス)には様々な部屋が存在している。

そして、大きな空間にたどり着くと、食材を売っている店や武具を売っている店、糸や布、生活に必要な物、他にもさまざまな売り場が並んでいた。


そこは、『広場(ひろば)』と呼ばれる大勢の人々が行き()う、大きな部屋だった。


サーチが目的の場所まで着くと、そこにはくすんだ緑色の帽子を被り、短い黒髪の男が座っていた。



「よう、サーチ!元気にしてたか?」


商人[グレディ(28)]

  [種族:ヒト]



「グレディ!」

「まあ、それなりにな!」



「ハッ、オマエは歴史本か破片(ウェ)武器(ード)のことになったら、すぐに熱中しちまうからな」


「いつぶっ倒れやがるかわからん!」

「ダァーハッハッハ!」


そう話しながら、グレディは大笑いしていた。



「ハハハ…否定はできないな…」



「今日も乾パンでいいのか?」


「いや、今日はりんごとパンをくれないか」



「おっ!めずらしいな」


「いつもは金が無くて、乾パンしか買えねぇって泣いてんのによ」

「ハッハッハ!」



「今月は、歴史本を買わなかったんだよ」

「それに破片ノ武器(ウェード)も、いまあるので十分だし」


「だから、久しぶりに贅沢をしようかなって!ヘヘへッ!」



「なるほどねぇ〜、いいじゃねぇか!」


手際よく準備するグレディから食べ物を受け取り、通貨(シリカ)を支払う。



「ハイよ!お待ちどうさん!ちなみに、今日のりんごはいつもよりうまいぜ!」



「ほんとか!」



「ああ、今朝ルインルーナから仕入れたもんだからよ!」


「なるほどね!ヘヘッ、ラッキー!」



「まいど!またこいよ〜!」



「おう〜!ありがとう!」

「またなー!」


と、手を振りながらサーチは、広場を後にした。


─────────────────────────


深峡谷(ディープキャニオン)』の谷底から北東約200kmにある街】


白壁要塞(ランパートフォートレス)


半径500mの街を囲むように、高さ50mの白い壁に覆われた要塞『白壁要塞(ランパートフォートレス)』がある。


サーチが住む『深峡岩要塞(ディーニオンフォートレス)』とは違い、地上に(つく)られてはいるが、低地にあるため、土地全体に霧がかかりやすい。


そのため高い壁を築き上げ、見晴らしを良くしている。さらに、壁の上に固定砲台である『破片砲台(テリード)』が設置されているため、機屑物(ガーベマジル)への迎撃が可能な要塞の一つである。



"ズズゥゥゥン"…



"ズズゥゥゥン"……!



遠方から大きな音が聞こえ、足元には振動が伝わってきており、天候は悪く(きり)がかかっていた。



「ん?なんだあれは──」



「……なっ!これは!!!」


壁門(へきもん)の上にある見張り台から、双眼鏡を(のぞ)いていた見張り兵が異変に気づいた。

そして、見張り兵が門下(もんか)の兵士へと叫ぶ。



「遠方300mから大小合わせ」

獣攻型(じゅうこうがた)機屑物(ガーベマジル)が多数接近!!!」



「門を閉めろ!!!」


すぐさま壁門の上にいる別の兵士に伝令をする。


「オマエはすぐに(だい)隊長に知らせろ!!」



「はい!」


「残りの者は上から迎撃だ!時間を稼ぐぞ!!」

「門の突破を阻止しろ!!」


兵士たちはすぐに破片ノ武器(ウェード)を取り、門上(もんじょう)にある破片砲台(テリード)に、機屑物(ガーベマジル)から採れた破片(クズ)を粉末状にし、火薬と混ぜ合わせて作った砲弾を補充しはじめた。



「撃てぇぇぇぇぇ!!!」



"ドォン"!!"ドン"!"ドドンッ──"!!



迫り来る機屑物(ガーベマジル)に砲撃していくと、いくつかの小型の機屑物は倒れていった。

しかし、中型や大型の機屑物は破損はあるものの、その動きは止まらない。


数分後、大隊長が壁門(へきもん)の上に到着した。



「視界が悪いな」

「おい、双眼鏡を貸せ」


大隊長[オーディナル(42)]

   [種族:ヒト]



オーディナルは、迫り来る機屑物(ガーベマジル)を確認した。



(なんでいきなり……こんなにも多くの機屑物(ガーベマジル)が。)

(ヤツらは一体、どこからきたんだ?)




(目的はなんだ?しかも、全て獣攻型(じゅうこうがた)だと……?)



「これは、異常だ……」



(獣攻型(じゅうこうがた)機屑物(ガーベマジル)は、人や在屑物(アニマ)を襲うが……それはただ捕食が目的であって)


(基本的に狩り自体は、単体で行動をする。)



「それなのにどうしてこんなに。」



「でんれっ…ぃ…ハァ…ハァ……伝令──!!!ココより北に450kmの『機屑巨躯(きせいきょく)の大地』が、突然動き出しこちらに(せま)ってきています……!!!」



北側から息を切らしながら、歴史生物図鑑の「ウマ」に似た『屑甲馬(せっこうば)』に乗ってきた兵士が告げる。



「どういう事だ!?」

「大地が動くなんて、そんなことあるわけ無いだろう!」



「それが…」


「とてつもなく巨大な……」

甲鎧型(こうがいがた)機屑物(ガーベマジル)が出現しました……!!」



「なんだと……!?」



「見た目は…「カメ」のような姿をしており」

「とつぜん大地が揺れ、巨体が起き上がると…こちらに向かってゆっくりと進行し始めた」


「──と、中間要塞観測機関所(インスティテーション)の兵から伝言がありました」



「間違いないのか?」



「は、はい」


「こちらにくる途中、この目で見たので間違いありません。」

「推測でも…大きさは1000m以上はあったかと…」



「1000mだと!?」



「はい。中間要塞観測機関所(インスティテーション)は、この機屑物(ガーベマジル)に、"象岩亀(エレマントールス)"と名付けたようです。」


その場にいる、話を聞いた兵士たちは(みな)呆然(ぼうぜん)としていた。



(今から住民を避難させるにも……間に合うのか…?)


(すぐ目の前にも、獣攻型(じゅうこうがた)がたくさんいるってのに……)



(どうすれば……)



"ズズゥゥゥン"…!!



"ズズゥゥゥン"!!!



"ゴゴゴゴ"…



と、地面が割れるような地響きは、先ほどよりも近づいてきていた。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


4話からさらに展開が動き始めます。

5話でキャラがたくさん出てきます。

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