欠片308.『目先の行動に溺れる者は、敗者へと喫するが如し』
欠片308.
『目先の行動に溺れる者は、敗者へと喫するが如し』
です!
『───── "光星鱗粉"─────』
〜〜"ブワァァァァァァァァアア"〜〜
キラキラ……
キラキラキララ
『なんだこれ!まぶい〜!』
アレクサンドラが上空に飛び、4枚の翅を大きく広げた瞬間──夕焼けに煌めくように小さな光の粒がゼヌノムを包んでいた。
『あなたはもう─』
『わたくしの姿を見ることはできませんよ。』
風に振り撒かれたアレクサンドラの鱗粉は、光の反射によって光り輝いていた。
ブォオッ──!!
勢いよく翅を羽ばたかせるアレクサンドラは、ゼヌノムの背後に現れると、『円月輪』を構えて切り裂こうとしていた。
『──"羽刄音十"──』
しかし、『円月輪』を振り翳そうとした瞬間──
アレクサンドラの背後に『麟角刀』のような見た目をした双剣を横向きに構えた──暗めの紺色の羽織と黒い着物を着たゴリラの純獣人が跳躍していた。
『"茶子里猩・村正"───』
『──えっ?』
『どうして、ニシさ──』
『──"側芽・三煎仁"ィィィッ!!!』
──"ズバァン"──────ッ!!!
『ギィヤァァアッ……!!』
剣先が二又の双剣を横に振り払ったのは、第五師団団員のニシと呼ばれる師団員だった。
剣撃によりアレクサンドラの上部の大きな2枚翅は横半分に綺麗な線をなぞって切られていた。
『へっ?なになに?』
『何が起きてるの〜〜?』
目を瞑ったままのゼヌノムは、鱗粉の輝きにより事態を把握できていなかった。
その後ろで、飛べなくなったアレクサンドラは地面へと落ちていった。
ヒュゥゥゥゥ────ドシャァ…
スタッ。──ガシ、ガシ…。
『麟角刀』のような見た目をした双剣──『茶子里猩・村正』を持つニシは、指の第二関節を曲げて手の甲をつけたまま歩く「ナックルウォーク」で歩行して来ていた。
『ア"ア"ア"ァ……ぅぅ…』
《いたい…。神経が切られたような…
体の奥に刃を当て続けられたような痛み。》
『ニシ、さん。どう……して。』
『おいどんは……"アウスラスト様"の為に』
『敵を倒すべぇッ!!』
┏─────────────────────┓
| 根踏する馬達 第五師団ドールグラスシル |
| 団員 西森の護人 |
| |
| [ニシ(25)] |
| [種族:純獣人] |
| (モデル:ニシローランドゴリラ) |
┗─────────────────────┛
『……ぅぐぅ。そんな…』
《ニシさんはすでに……
アウスラストの魔力の影響を…》
『あっれれ〜?ひひっ!』
『なっかまわれじゃ〜〜ん!』
鱗粉が薄まった中ゼヌノムが地面を見つめると、翅が半分に切られ、かろうじて千切れないように付いてるアレクサンドラの様子を笑いながら眺めていた。
『ん〜?』
『きゃはっ!よく見たら〜!』
『ハネ切られてるじゃん〜♡』
《んん〜?》
《あのゴリラ、ラスト様の魔力がついてる。》
『お〜いっ、そこのゴリラ!』
『オマエ、そのままそのゴミ切っちゃえー!』
『おいどはニシ!』
『おんま、ラスト様のお仲間だべな。』
『ああ、おいどに任せろっちゃ!』
──チャキキ……。
『茶子里猩・村正』を十字に構えるニシは、精神を研ぎ澄ませた後──
アレクサンドラ目掛けて素早く切り掛かっていた。
『十字・西運河ァァアッ──!!!』
『くっ──。』
《どうやら、ここまでのようですね。》
《申し訳ありません。》
《キングさん。》
《わたくしは、約束。
守れそうにありません。》
アレクサンドラが諦めたその時──
迫り来るニシの前に、ニホンジカが口元に短刀を咥えて現れていた。
『諦めるのは、些かはやいぞ。』
『アレクサンドラ。』
『其方はまだ──
これからを背負って行かねばならん。』
───"ギャァァァン"───
ギリギリ、ギリリ。
『どわぁ!?なんだオメェ!』
──バッ! バッ──!
ニシの十字切りを鮮やかな緑色の短刀で受け止めていたのは、四鹿のダーウィンだった。
お互いが距離を離した後、ダーウィンはニシに問いかけていた。
『のぅ?ニシ。』
『お主らもそのハズだが。』
┏─────────────────────┓
| 根踏する馬達 第四師団アースガルズ |
| 鹿王季士 春鹿 花桜 |
| |
| [ダーウィン(9)(2566)] |
| [種族:古獣] |
| (モデル:ニホンジカ) |
┗─────────────────────┛
『おいどは……おいどは
アウスラスト様のためにぃぃ!!』
『…やれやれ。』
《支配とは、厄介で極まりない。
それでいて、実に不快──。》
再び両者は刀を構えて飛び出していた。
ダーウィンが呟くと左前足に翡翠色の魔力が一瞬灯り、口元には右側に伸びた半透明の翡翠色の魔力刀が出現していた。
タンッ── タンッ──
『時法印・春花──』
──ポゥ。
ス─スゥ──チャキ。
一方でニシは、左腕を上に上げるとそのまま片方の剣を振り翳す。
ドスン、ドスン、ドスン──ガバッ!
『古葉苦──』 『──緑葉王』
『一煎慈ィィィ!!』 『──鹿刃根ッ。』
──"ガキィィィ────ン"──
響き渡る刃と刃の音と共に、ニシは大きな声で叫んでいた。
『ぶへー!ぶへへ!おいどの勝ちだどぉ!』
『おんまの刀は受け止めちょる!
だけんど、おいどの右手には』
『もう一本あるんだどぉぉぉ〜!!!』
ブンッ───!!
『ルーンも甘いものじゃの。
その程度の問題は───』
『問題にすらなっておらぬ。』
《──"法印・芽吹"ッ──》
──カツンッ、シュルルル…
…ギュルルルルッ──パシィッ!
ニシが右手に持つ刃を向ける中──ダーウィンは左足の蹄を地面に向かって振り降ろした。
音が鳴り響いた瞬間、地面から青々しい植物の若葉が
勢いよく伸び始めてると、ニシの腕に絡みつき身動きを封じていた。
『目先の行動ではない。』
『常に相手の行動を見よ。と
言っておろうに。馬鹿者。』
ググググッ…… 『うごぉ…うごけんどぉ〜!』
『事が済んだら、お主らには
キツい修行をしてやらねばならぬな。』
振り返るダーウィンは、空中に浮かぶゼヌノムを見つめていた。
『お主らは別だ。』
『我らの森に入ったことを後悔させてやろう』
『たかがシカいっぴき増えたところで…』
『ウチらがまけるわけないだろ。』
『戦力がちがうんだよっー!ほら!』
ザワザワ……ザリ、ザザッ。
ザワザワ、ザワワ。
木々の間から、アウスラストの支配下に置かれた師団員達がぞろぞろと現れていた。
『アレクサンドラ。回復は済んだか?』
『グフッ…。』
『中毒』の影響によって吐血するダーウィンに、翅が元通りに治ったアレクサンドラは心配そうに見つめていた。
『はい。ありがとうございます。』
『しかし、ダーウィン様…』
『魔力を持つワタシ達の方が
おそらく、効果があるのだろう。』
『何、心配いらぬ。』
『ソレまでに彼奴を倒せば良いのじゃ。』
『後ろの者達は任せる。』
『ワタシは、此奴を片付けようぞ。』
『かしこまりました。』
互いに背中を守るように背を預けたアレクサンドラとダーウィンは、真剣な表情をしていた。
─────────────────────────
【春花樹域 七花園の花畑───
キング・コクゾウVSゾレイラ】
『……んぐぐぐぐぅ〜〜!』
《どこから攻撃が来るのかわからねぇ!》
《それに、あの野郎ッ……》
┏──────────────────────┓
| 根踏する馬達 第十一師団ニザヴェッリル |
| 副団長 鉄壁 |
| |
| [コクゾウ(33)] |
| [種族:蟻蛾] |
| (モデル:クロカタゾウムシ) |
┗──────────────────────┛
《"なんて弓矢の腕してやがんだッ"!》
花畑の運河に延びる両端にある木々を見渡すコクゾウとキングは、お互いの体を背に合わせながら、ゾレイラの攻撃から身を守っていた。
その硬い甲殻の外殻には、線のような傷が所々に付けられていた。
『ヌゥ……。』
《影からコソコソとぉ…》
『漢なら、正々堂々出てこんかァい!!』
『卑怯者がぁ!!』
┏──────────────────────┓
| 根踏する馬達 第十一師団ニザヴェッリル |
| 団長 鎧兜 又の名を漢國綱引 |
| |
| [キング(42)] |
| [種族:蟻蛾] |
| (モデル:ヤマトカブトムシ) |
┗──────────────────────┛
──ガサガサガサ……
『ブヒュヒヒッ…!』
──"ガサガサ"──
『──卑怯?』
……ガサガサガサ──
──ギリギリギリ…
"シュピンッ"──!!
『ソレは違うのではないか?』
┏────────────────────┓
| 七つの大罪人 色欲の配下 |
| サルーガ・タナシスの配下 射撃の名手 |
| |
| [ゾレイラ(2602)] |
| [種族:魔獣人] |
| (モデル:フィヨルドフォース(馬)) |
┗────────────────────┛
早口で舌を捲し上げながら喋るゾレイラは森の中を駆け、草木の揺れる音と共に、弓矢の弦を引く音が聞こえた瞬間──キングにむけて銀色に輝く矢先が迫っていた。
──"ガッ"─"ビシィィッ"!
──ギィィィン──!!
『チィ…。ワリャどこにおるか見えんッ!!』
《それに、少しずつだがワシの体に傷を……》
赤く艶やく硬い甲殻に傷が走る中、ゾレイラの声が周囲の木々の合間から聞こえて来ていた。
『これは戦争だぞ。』
『お互いの種と種の侵略を制すための──』
『勝ち負けの判別よりもッ!!』
『そこに最後まで残っていた者が!
勝利を手にするのだよッ!!ブヒヒ!』
『その過程において…
卑怯なんて言葉──』
『ワタシにとって、どうでもいい。』
淡々と語るゾレイラは、異なる方向から2人に向けて矢を放つ。
──バシュンッ!!
《"感謝弓"ッ──!!》
パシュシュシュ!!
《"感謝弓"ッ──!!》
『己の武器すら最大限に活かせんお前らに
ワタシに論議を語る必要はないのではないか?』
《んん〜〜〜〜……》
──シュババッ!!
《"感謝弓"ッ──!!》
『常日頃から世話になっている己の身。
──"その一部となる"武器に』
『ワタシは日々の感謝を忘れない』
『だがしかーし、うましかーしッ!!
もしもし!ブヒュヒュ〜〜ンッ!!』
『どうだ?』
『貴様らは己の鎧とも呼べるその肉体に
──日々の感謝を伝えているのかね?』
『その差で!我が"感謝弓"は
ワタシに力をくれるのだよ。』
『つまり───どういうことかって?』
『キミ達は、ワタシに出会った今日ッ!!』
『すでに敗北が決まっているッ!!
という事なのだよッ──!!』
『ブヒヒィッ!ブヒューヒヒヒッ!!』
木々の中から聞こえてくるゾレイラの声に、キングとコクゾウは対策を考えていた。
『兄貴、どうしやすか。』
『実際のとこォ、ヤツの精度は本物だ。』
『───百発百中で
おいどんらの体に当てて来やがるぜ。』
『問題ない。焦ればヤツの思う壺じゃい。』
『ニーズヘッグ様の言葉を聞いたじゃろう。
時間が経てば、ここにも配下のヘビが来よる』
『ヤツの機動力さえ無くなりゃあ〜
あとはワシらが仕留めりゃあええ。』
『最後にここに立っていた者が
──この戦いの勝者じゃい。』
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
モ◯ろハさんのMem◯riiという曲のギターが良すぎて作業BGMとして聴いてます。




