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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第三章─樹中海要塞〜月下に流れる希望の光〜─
307/312

欠片305.『ママ』

       欠片ピース305.『ママ』です!



 ※本作の「」と間にある───の種類について説明


  []=人物の名前、年齢、種族、テキスト

  「」=ヒト族の話しているセリフ、名称

  『』=人外、多種族などのセリフ、名称

   () =ヒト族の心のセリフ

  《》=人外、多種族などの心のセリフ

  {}=ヒト族の念話

  {{ }}=人外、他種族などの念話

  〔〕=現在の行動に合わせて他の場面や

     過去のセリフをその場面に照らし合わせて

     喋らせる時

  【】=漫画で例えると『四角いコマ内』の

    『ナレーション語り』や『用語説明』など

  ・・=強調

   " "=強調、効果音など

 ─1本=漫画で例えると『場面転換』や『幕間』

 ─2本=漫画で例えると『時の流れ』

➖─➖=過去回想に入る終わる・過去の時間軸





七つの大罪人・大魔族アウスラストと対峙したアース・オルテは、上空にて睨み合いをかせていた。



       『ストラスの敗戦後──』


   『ベレト様の怒りを買った彼は死んだわ。』



   『忌まわしき賢者の契約によって

    自身が戦線に赴くことすら出来なかった』


   『でも、その選択をしたのはストラス自身』



腕を組むような見た目で、片手を挙げるような仕草で語るアウスラストは淡々と話を続ける。



      『正直。バカだと思ったわ〜』


   『蟻蛾ギギに対して圧倒的有利な彼らだったのに

    彼自身が戦線に赴くことができないことを

    知っていながら兵を送り出したのよ?』


   『ただただ戦力をないがしろにしたバカじゃない』



           『……。』



オルテの表情が険しくなる中、アウスラストは見下すように見つめて呟く。



      『だから、ワタシは蓄えた。』


   『確実にオマエを殺せる機会を得る為に──』



そして、激しく高揚しながら叫ぶアウスラストは、両手を広げ宣言していた。



     『準備をして、ここへ来たッ!!!』



   『厄介なウェズルフェルニョルを封じた今

    元からある戦力差がさらに開くッ!!』



     『アリ共を支配下に置き

      こちらは総勢十四万の軍勢に

      アナタ達はたった二万たらず……』


        『その半数すら──』



   『これからワタシの配下へと変わるッ!!』



   『アナタ達に、勝ち目なんてあるのかしら?』



アウスラストの問いかけに、下を向いたオルテは顔を上げると、その表情は眉を上げ微笑んでいた。



    『あなたはなんにも分かってないわ。』


          ───スッ



             ・・

       『ワタシ達の覚悟(強さ)をッ!!』




    ・・・・・

   『そんなものでこの状況が変わるのならば

       奇跡なんて言葉は必要ないのよ?』



   『あなた達魔族は、足りないものがある。

    その差で!この戦いは勝負が決する!!』



          ──ピク。



オルテの言葉に、アウスラストは眉間にシワを寄せながら睨みつける。



     『圧倒的な支配の前には……

      屈することしか出来ないのよッ!!』



両手を前に出したアウスラストは、五指を広げ操り人形を動かすように呟いた。



        『それが世の理なのっ。

         ──" 魅了支配ファミサネイト"──』


      『命令よ。オマエ(師団員)達──

       残りの師団員を攻撃なさい。』


    

─────────────────────────



          【神秘しんぴ花園はなぞの



アウスラストの命令により、広範囲に広がった魔力に当てがられていた『根踏する馬達(ユグズアース)』の師団員達が反旗はんきひるがえす。




       【魔族・師団員・蟻の総数】


   【アウスラスト軍団は15万を上回る中──】



         【根踏する馬達(ユグズアース)は】

    【1万を有する戦力で対抗を強いられる】



王座のような椅子の上で肘をつくオベロンは、淡い紫色の魔力を全身から放出していた。



        『戦況はよくないね。』


   ┏───────────────────┓

   | 根踏する馬達(ユグズアース) 第八師団アルフヘイム |

   |      団長 夜夢(よむ)の参謀     |

   |                   |

   |       [オベロン]      |

   |      [種族:妖精ピクシー]      |

   ┗───────────────────┛


     『ウェズルフェルニョルが不在の中

      アウスラストが現れた今────』


     『ヤツの魔力が広がり続ける限り

      ヤツの支配は止められない……』



     『やはり、ヘッグ君の力が必要だ。』



       『わたしだけでは間に合わない。』


  『何か、この状況を打開する手段はないのか。』



         ───ドンッ!!



          『………。』



杖を持ち上げて地面に付くオベロンは、険しい表情をしながらさらに魔力の出力を上げる。

その口元からは血液が流れ出していた。



─────────────────────────




      【世界樹ユグドラシルの西の森 秋陽樹域シュウヨウジュイキ

       ─── 紅蓮黄河グレンコウガ広葉樹林こうようじゅりん


 【アレクサンドラ・ビィネット・ベニグモ・コウハ

           VS

    ───リリル・ナウマ・バハラト・ゼヌノム】



        【ベニグモVSナウマ】



巨木の側面に6本の足で体を支えるベニグモは、上半身をナウマと男の師団員達に向けていた。



    『あなたも〜堕落させてあげるから

     降りていらっしゃ〜い。うふふ〜♡』



      『その笑顔──

       すぐに変えて差し上げますわ。』



     『それは〜、あなたがここまで〜

      これれば。の話よねぇ〜?ふふふ。』



   『みんな〜!あのこわいこわ〜い

    おっきなクモさんを倒して欲しいなぁ〜。』


      『お願いできるかしらぁ……?』




  『『『はぁ〜〜〜いっ!ナウマさまぁ〜♡』』』




ナウマはあざとく師団員に向かって話しかけると、そのまま歩いて後退していく。

振り返り様に微笑むナウマを見て、ベニグモは地面に降りてきていた。



    『あなた達。戦いが済みましたら

     どのような処罰がお望みですか…?』


      『仕方がないとはいえ

       オルテ様に反旗を翻すなど』



       『言語道断ですわッ!!』



   『それまでは、おとなしくしてなさい!!』



    ───ビュルッ!──ビュルルッ!!



ベニグモは大きなお尻を師団員に向けると、お尻の先から白い糸を放出していた。



    ──シュルルル。シュルルル。


        グイッ、ググイっ!!


         ───"ギュルルルルッ"!!



そして、体に輪っかのように巻き付かせたベニグモは師団員を引っ張っり上げる。

そして、仁王立ちして体を起こすと、6本ある手足を器用に動かしながら3人の師団員達を糸でグルグル巻きに拘束していた。

身動きが取れなくなった団員達をその場に置くベニグモ。



       ──ドサッ、ドサドササ。



        『……ン"ン…ンン"〜』



     『安心なさい。息はできますので。』



     『その代わり──

      終わるまではジッとしていなさい。』



その後も次々と糸で絡め取っていくベニグモをナウマは困ったように頬に手を当てて眺めていた。



       『あぁ…わたくしの

        かわいい下僕(かわい子ちゃん)達が〜……』


     『まったく。本当にわるい女ね。』



     『──"美酒天美貌天歌ビシュテンビボウテンカ矛起ホッキ"──』



       〜〜♩〜〜♫


            〜〜♫♩〜〜♩



再び歌声を師団員に聴かせるナウマ。



    ───ムクムク。ビィ────ンッ!



       『ああ……ヤリたい……』

   『め……メスゥ〜…!メスはどこだぁ〜!』

     『苦しい……この気持ちをはやくぅ〜』



         『発散したぃ〜?』

           『ほら』


         『あ・そ・こ・♡』


     『に、おっきなメスがいるわよ〜〜』



下半身に膨らみが出来た男の師団員達は一斉にベニグモの方を見つめていた。



      『ホ、本当ダァ!メスゥゥ!!』

   『早くゥゥ…穴に……いれさせろぉぉぉ!!』



    『みんな〜!一斉にかかりなさい〜!

     あの悪い女の手足を引きちぎるのよ〜!』



     『そのあとはぁ〜……

      あなた達の好きにしていいのよ♡』



        『オレ達の好きに……』



その歌を聴いた男の師団員達の目は赤く光り、数十名の蟻蛾ギギ純獣人ピュアニの団員達がベニグモ目掛けて襲いかかる。



       ───バババッ!!!



   『『『オンナァァァァァ〜〜〜!!!』』』

    『『『メスゥゥゥゥ〜〜〜!!!』』』



          『───!!』

   《動きがッ…!急に早くなってますの!?》


    《マズイ、木の上に避難しなくては──》



       ──バッ!

            ──"ガシィッ"!!



        『……っく──!!』



その場から跳躍しようとしたベニグモだったが、力強く1本の脚を掴まれてしまっていた。



       ───シュビュヤッ!!



咄嗟に他の足で掴まれた後ろ足を切り裂いたベニグモは、そのまま木の上へと飛び乗っていた。



       ──ポタ、ポタ、ポタ……



        『いたそうねぇ〜……』


    『とぉ〜っても、痛そう…。でも……』



       『あぁ……その痛みぃ〜〜♡』



        ……ピチャン。ピチャン。



    『ねぇ、気持ちいいでしょう…?うふ//』



頬を染め上げながら体を震わせるナウマは、ニタニタしながら両手を頬に当て、足元に水滴が滴り落ちる中──ベニグモを見つめていた。



          『あなた達。』


      『ワタクシの為に

       痛みは我慢できますわよね?』


   『後からの反論は受け付けませんが、少々

    手荒なやり方でやらせてもらいますわ。』



   ───"ジャキンッ"!!

          "ギャリリリィ──ンッ"!!



        《なにかしらぁ?

         小さな、刃物…?》



ナウマが不思議そうに見つめる中、ベニグモは自身の足先に付いた『破片ノ防具(アマード)』を擦り合わせて響かせる。



  ┏───── 破片ノ防具(アマード)足蹴粧ペェディスキュア』────┓

  | ベニグモの8本の脚先に嵌められている |

  | フィンガーペーパーナイフ。      |

  |                    |

  | 鮮やかなオレンジと紅色をしており、  |

  | 指先には薄いナイフがついている。   |

  | 一撃によるダメージは弱いが、急所に  |

  | 刺した場合の殺傷能力はある。     |

  ┗────────────────────┛



        『覚悟はよろしくて?』



    『……ヴヴヴヴゥ…!オンナァァァ!!』

     『寄越せぇ!オマエの穴をぉぉ!!』



      ──ガバッ!!



      シュビッ──"ドキュッキュ"!!


          『グァッ!!』



     ──シュッシュババッ、シュピッ!


     『イテェ…!』『オレの足ガァァァ!』



6本の手足を素早く動かすベニグモは、師団員の足に鋭い『足蹴粧ペェディスキュア』を突き刺したり、脚の腱を切り裂いて身動きが取れないようにしていた。



       『後で治してもらいなさい。』


         『それが嫌なら……』

   『あのアバズレ女の命令は聞かないことね。』



     『……いま、何か言ったかしら?』



      『ええ。申し上げましたわよ?』


         『ア・バ・ズ・レ

          女と。フフッ。』



ナウマの表情は微笑みながらも口元は少しだけ震え、目元がピクついていた。



          ……ボソ。


          『酔酹歌スイランカ。』


         ──"ビビビッ"──


      ビクッ…!ビクビク…。ビクンッ!



体が小刻みに震え出すナウマの顔は赤くなり、ヨダレを口元から垂らしながら下を向いていた。

そして、小さな声でブツブツと独り言を呟き始めていた。



   『……誰がアバズレですって〜…ヒック。』

  『あのクソ女……ほんっとムカつくわねぇ……

   ヒック…。わたくしはあの子の母親なのよ〜』


     『そんなわたくしは……

      誰からも愛されるハズなのにィ!』


      『いや…愛されてる。ヒック。』

   『わたくしの母性が効かない男はいない。』


     『女が……!ヒック…ぅぃふっふふ。

      あのクソ女どもがぁぁぁ〜〜!!』


    『大丈夫。わたくしは愛されてるのよ。』

      『わたくしは…みんなのママ。』


     『見てて子供達。ママがあの女を…』



顔を上げるナウマは閉じていた目を開いていた。

薄く開いたその瞳からは、黄緑色の光りが輝き──



     『懲らしめてあげるからッ!!!』


       ──ガリガリ……ガガリ。



ゆらゆらと体を動かすナウマの動きに沿って、蛍の光のように酔い彷徨っていた。

そして、内股のまま姿勢を低くし、脱力した両手をぶら下げながら、鋭い10本の長い爪を地面に擦り付けていた。


       ススス──レロォ──……



再び顔を見上げたナウマは、長く伸びた爪を横に動かしながら舐めると呟いた。



    『……ママを怒らせたら怖いってことを

     思い知らせてやる……♡…ヒック…。』



 最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


         [今回の一言♩]

リメイクの前に、リメイクした1話目とかをこっちに移植したいと思ってるんですけど、準備することが多くてなかなか出来ません。

話はできてるんですけど、調整とあるものを追加したいのでまだしばらくかかりそうです。



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