欠片1.『少年の夢』
星屑の機巧技師始まります!
欠片1.『少年の夢』です!
冒頭のみですが漫画を描いてます。
※作者脳内イメージをアニメーション化した内容の説明と漫画のコマ当てをしているようなイメージで物語を書いております。
※本作の「」と間にある───の種類について説明
[]=人物名と年齢、種族、テキスト
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると『四角い囲みのナレーション語り』や『用語説明』
・・=強調
" "=強調、効果音など
─1本=漫画で例えると『場面転換』や『幕間』
➖─➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
─2本=漫画で例えると『時の流れ』
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【子供の頃に読んでもらった本の内容に感動した】
【あの日からオレの夢は─】
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【800年前】
【空から降り注いだ『星屑』によって】
【人類が支配していた世界に終わりを告げた】
【星屑の影響により『機屑物』が誕生し】
【人類は何度も戦いに敗北した】
【そして人類は数を減らし】
【機屑物から 隠れて生きながらえてきた】
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ー2668年ー
辺りは深い谷。高さ500m程はあろうか。
谷底にはいくつもの道が迷路のように続き、周囲は岩で囲まれている。岩壁に、不自然に出来た窪みがあり、高さ2m、横幅は1.5m程の線が出来ていた。
しばらくすると"ゴゴゴゴゴッ"と音が鳴り、その線が切り抜かれたように、石扉へと変わり横に開く。
黄緑色の髪の毛に、一部オレンジ色の髪が混じり、瞳の色がオレンジ色の少年がいた。
背丈は150cmくらいで、その少年は扉から出ていく。
少年は白い服に、オレンジのダイヤ模様が入っているシャツを着ており、黒色の半パンに先が丸みのある茶色いブーツを履いていた。
しばらく歩みを進めると…入り組んだ谷の間を通り、また別の石扉の前に辿り着く。扉を開くと少年は中に入っていった。
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"カァン" "カァァン" と音が響く洞窟の先には、大きな空間があった。
その空間はまるで、工房のような部屋になっており、レンガでできた大きな竈の中には炎がくべられてある。
その横には石の台や工具が置いてあり、背丈は小さいが体格が良く、少し尖った耳に大量の髭を生やした男が、金槌を振るっていた。
部屋の中の温度はかなり高温だったが、彼から感じる集中力は凄まじく、なかなか話しかけられずに少年は見守っていた。
「おーい!」
『……』
男から返事はない。
「ツベチカのおやっさーん!!」
「聞いてんのか!」
『……』
「おやっさん!!」
『ん?なんだ、サーチか』
『いつからいた』
機巧技師[ツベチカ(56)]
[種族:ドワーフ]
「さっきから呼んでるのに無視されてるっての!」
主人公[サーチ(12)]
[種族:ヒト]
『すまんすまん』
『全く聞こえんかった』
そう答えると、『ガハハハッ』と大声で笑っていた。
「おやっさん」
「前に見つかったのは"星屑ノ欠片"だったのか?」
『…いや』
『ただの"破片"だった』
「そっか」
「また違ったのか…クソッ」
『……サーチよぅ。オメェまだあの夢見てんのか?』
「ああ」
「オレは絶対に"星屑の機巧技師 "になる!!」
「幼い頃に見た……本に書いてあったんだ。」
「この世界が機屑物に支配されて800年」
「大昔に機巧技師が、星屑ノ欠片を使って造った伝説の武具」
「それが"星屑"だ」
「機屑物の装甲も、簡単に破壊できる武器。」
「800年前の星屑の機巧技師は星屑を王国の九人の『聖騎士』に渡して機屑物と戦った」
「そして、彼らは勝利しかけた……」
静かに聞いていたツベチカが、遮るように喋りかける。
『だが、強力な力をもつ機屑物に敗れた』
『だから今もオレ達はここで暮らしとる』
「……オレは諦めない。」
「どこかにきっとあるはずなんだ…」
「まだ見つかってない星屑ノ欠片があるかもしれないだろ」
『見つけてどうする?』
「ヤツらをぶっ壊す星屑をつくる!!!」
『だが、それでもヤツらには勝てねぇよ』
『歴史が語ってるだろ』
「伝説の星屑を超えるもんを──」
「オレが作ってやるよ!!」
『……』
サーチを見つめるツベチカ。
「いつかここを出て」
「星屑ノ欠片を探す旅に出る!!」
「そんで、ヤツらをぶっ壊す星屑をつくるのがオレの夢だ!!!」
『フンッ、オマエみたいなヒヨッコじゃすぐに死ぬぞ』
『おとなしくここで破片の武器でもつくっとれ』
そう答えると、ツベチカは再び作業に戻った。
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【──星屑の飛来により、自然界に存在する物質の原子や遺伝子に変化が起きた。】
【それにより生物や植物、鉱物までにも影響を及ぼした。】
【その結果、環境は大きく変化し…動植物、鉱物などは『機屑物』と『在屑物』の2種類に大きく分類された。】
【2種の大きな違いとして、『機屑物』は星屑によって突如生まれた機械生命体や、機械物質のみを含んで創られた生命体や鉱物である。】
【一方で『在屑物』は、この惑星に元々存在していた生物や植物、鉱物などが星屑から生成された微量な機械物質と融合し、遺伝子が変化。その後、再形成された生命体や鉱物などをそう呼んだ──】
800年間『機屑物』の進行により、人類の研究はあまり進んでいない。
生きることに必死だったのだ。
この惑星の変化が、全て解明できたわけではない。
まだこの世には知らないことが沢山あるのだ。故に未知。
この先起こる出来事を、サーチはまだ──
あの時まで、知るよしもなかった。
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【翌日】
「ツベチカのおやっさん」
「今日は使っていいんだよな?」
『ああ、1時間だけだぞ』
「ヘヘッ!よっしゃー!!」
「ありがとう!」
『んで……どんな破片ノ武器をつくるんだ?』
「ん〜やっぱ銃かな!あとは斧とかも造ってみてぇ!」
『まあ、オメェさんの体格だと銃はアリかもなあ』
「うまくできるかな?」
『心配すんな!このオレ様がついてんだぜ?』
(アンタだから心配なんだよ…)
「いつも…ヘンテコな破片ノ武器しかつくってねーのに?」
と、サーチは呆れていた。
『うっせぇ!あの破片ノ武器のよさが分かんねーヤツらはな、なんも分かっちゃねぇんだ!』
『いいか!この破片ノ武器なんてな』
そう話すと、ツベチカは武具がたくさん置いてある箱の中から、手袋と靴を取り出してきた。
『この手袋と靴にゃあ、手足の平にある吸盤を使うことで、崖を登れることができるんだぞ!』
『すげぇだろぅ!!』
「……」
「階段でいいじゃんか」
『……』
「今は地上まで階段で行けるし」
『……ぐぬぬ。』
『…えぇーい!うるせぇな…!』
「もっと人類に意味のあるもんつくってくれよ〜」
「ハァ……。」と、ため息がでるサーチ。
その隣でツベチカは、まだ自慢するように語っていた。
(もう、おやっさんはほっとこう)
「それじゃあ!オレの破片ノ武器」
「つくりますか!!」
【破片ノ武器】
機屑物か在屑物から採れる素材で造られる武器。
高温の火を通すことで、形を変形させることが可能である。人類がもともと使用していた従来の武器とは違い、その強度はより固いものとなっている。その為、火が通るとはいえ、細深部まではなかなか通りにくく、加工が難しいため技術が必要とされる。




