テファン
王都の辺りまで走ってきた俺達は、早速動き出すことにした。
ひとまずグレン達には変装をしてもらい、王都での暮らしに慣れてもらう。
純朴田舎っ子であるこいつらが都会で浮くことがないように、お目付役としてミリアを置いていく。
「えっ、ついていっちゃダメなの?」
「ミリアがついてくるのは全然構わないんだが……この二人だけを放置できないってのが正直なところだな」
「ふーん、そっか……いいよ、そういうことなら私が面倒見てあげる」
「わっ、すごいグレン、似合ってるよ!」
「うーん、なんだか違和感がすごいな……」
ひとまずの変装のために買ってきた毛染め薬をつけてはしゃいでいるグレン達を見ながら、ミリアがふんすと鼻から息を吐き出した。
髪染めてはしゃくとか子供かよ……ってよくよく考えたらこいつら、全然子供だった。
未成年の子供三人と成人男性一人……これって、もしかして事案なのでは……もしもし、ポリスメン?
だが悪い大人である俺は、急ぎ彼女達から離れて単独行動を開始することにした。
大人の汚いところを子供達に見せるわけにはいかないからな。
向かう先は以前見つけた情報屋テファンのアジトだ。
まあこっちは念のため、って感じだけど。
♢♢♢
テファンはかなり用心深い正確で、複数の拠点を月単位でローテーションしながら王都で暮らしている。
月が変わったので今度やってくるのは、王都の外れにあるスラムのとある一画だ。
新技の練習を続けることで以前より魔力感知の感覚が鋭敏になり、あっという間に目的の居場所へと辿り着くことに成功する。
「お代は高くつくが、どんなことだって教えて……って、なんだ、あんたか」
「俺のこと、覚えてるのか?」
「その筋肉とイカれた魔力量は、一度見たら忘れられないよ」
「へぇ……俺の魔力量がわかるのか」
ある程度魔力操作ができるようになった人間は、他の人間が持つ魔力を知覚することができるようになる。
だがそれで見ることができるのは体内から漏れ出している、全体のごく一部。
大量に魔力を持っている奴は漏れ出す魔力の多さから判別することが多い。
だが俺は身体強化と魔力凝集を使いまくった関係上、普段は外に魔力を漏らすことなく生活している。
俺と直接戦いでもしないと魔力量を判別することはできないはずなんだが……。
「で、一つ聞きたいんだが」
「ああ、金払いのいいやつは大歓迎だ」
「いや、情報云々ではなく……」
俺はそのまま、椅子に腰掛けているテファンを地面に叩きつけた。
「――がはっ!? な、何を……」
「――お前、俺が聞いた情報を余所に売ったりしてないよな?」




